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【16-07】アジアの大学の評判高まる 英教育誌の国際ランキングで裏付け

2016年 5月10日 小岩井忠道(中国総合研究交流センター)

 英国の教育誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」が4日、「世界の大学評判ランキング2016」を発表、中国、日本を中心にアジアの大学の国際評価が高まっていることが裏付けられた。100位内には、東京大学をはじめアジア勢が18校入っており、前年の10校から大幅に増えている。

 中国からは、清華大学18位、北京大学21位、復旦大学71-80位、上海交通大学71-80位、浙江大学81-90位の5大学が入り、東京大学12位、京都大学27位,大阪大学51-60位、東北大学61-70位、東京工業大学81-90位の5大学の日本と数で肩を並べた。日本、中国とも前年は100位内にランク付けされていたのはそれぞれ2大学のみ。清華大学北京大学が前年より8、11位、それぞれ順位を大幅に上げているのが目立つ。

 日中両国以外で100位内に入ったのは、シンガポール国立大学26位、香港大学45位、ソウル大学45位、香港中文大学71-80位、香港科技大学71-80位、KAIST(韓国)81-90位、南洋理工大学(シンガポール)81-90位、国立台湾大学81-90位となっている。

 アジア勢の躍進と対照的に目を引くのが欧州勢の退潮。英国は100位内に10大学が入って米国に次ぐ位置を保ったが、2大学が100位内から姿を消し、10大学のうち7大学が前回より順位を下げた。ドイツも100位内の6大学のうち4大学が,オランダも5大学のうち4大学がそれぞれ順位を下げている。前回1大学が入っていたデンマークとフィンランドはゼロとなった。

 タイムズ・ハイヤー・エデュケーション誌はアジア勢躍進の理由として、大学システムの発展という大学独自の取り組みのほか、研究力強化や国際学術誌への論文発表のために政府が集中的に投資していることや、多くの政府が経済、社会の変革に対する研究、知識転換、イノベーション、技術の重要性を認識している、といった声を紹介している。

 タイムズ・ハイヤー・エデュケーション誌は、指導・学習環境、研究の質・量、論文引用数、資金獲得能力、外国人職員・学生数などを総合的に評価した大学のランキングも毎年公表している。「世界の大学評判ランキング」は、これとは評価法が異なり、1万人を超す世界の一流高等教育機関の研究者から、それぞれの専門分野で教育と研究能力のレベルが最も高いと評価する大学を15まで挙げてもらい、その結果を基に大学をランク付けしている。この際、研究に対する評価点は教育に比べ倍の重みを与えている。

関連リンク:タイムズ・ハイヤー・エデュケーション誌プレスリリース
World's most prestigious universities 2016

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