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【18-04】中国の評価引き続き上昇 英教育誌アジア大学ランキング

2018年2月9日 小岩井忠道(中国総合研究交流センター)

 英国の教育誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」は2月6日、中東を含むアジア地区の大学ランキングを発表した。昨年同様、1位は3年連続でシンガポール国立大学。2位以下は清華大学北京大学、香 港大学、香港科技大学と昨年同様、中国、香港の大学が上位に並んだ。清華大学北京大学を抜いて初めて中国でトップになったのが目を引く。

 今年のランキングに名を連ねた大学は359と、前年の298大学に比べ、約60増えている。日本は、これら上位359大学の中に最も多い89大学が入った(前年は298大学中、69大学)。しかし、2 年前に1位から7位に落ちた東京大学は、前年、前々年からさらに一つランクを落とし、8位。中国は上位359位に63大学(前年は298大学中、54大学)が入り、多くの大学が前年よりランクを上げた。香 港も上位10位に3大学、上位60位に6大学が入るなど、中国の躍進、香港の高評価は前年に続く。韓国は359位内に24大学と前年より二つ減らしたが、上位50位には前年より二つ多い11大学が入った。上 位50位で比較すると、中国の9大学、日本の7大学を上回り、最も多い。

「アジア大学ランキング2018」トップ30
(タイムズ・ハイヤー・エデュケーション「Asia University Rankings 2018」から作成)
アジア
順位
前年
順位
前々年
順位
大学名 国・地域
1 1 シンガポール国立大学 シンガポール
2 3 5 清華大学 中国
3 2 2 北京大学 中国
4 5 4 香港大学 香港
5 6 6 香港科技大学 香港
5 4 2 南洋理工大学 シンガポール
7 11 13 香港中文大学 香港
8 7 7 東京大学 日本
9 9 9 ソウル大学 韓国
10 8 10 KAIST 韓国
11 14 11 京都大学 日本
12 10 8 浦項工科大学 韓国
13 13 12 成均館大学 韓国
14 12 16 香港城市大学 香港
15 15 14 中国科学技術大学 中国
16 16 19 復旦大学 中国
17 25 29 南京大学 中国
18 19 25 浙江大学 中国
19 17 22 香港理工大学 香港
20 18 32 上海交通大学 中国
20 29 37 延世大学 韓国
22 蔚山科学技術大学 韓国
23 23 26 キング・アブドゥルアズィーズ大学 サウジアラビア
24 20 17 高麗大学 韓国
25 22 20 テルアビブ大学 イスラエル
26 24 15 国立台湾大学 台湾
27 21 17 エルサレム・ヘブライ大学 イスラエル
28 32 30 大阪大学 日本
29 27 27 インド理科大学院 インド
30 26 23 東北大学 日本
「アジア大学ランキング2018」31~50位大学(中東は除く)
(タイムズ・ハイヤー・エデュケーション「Asia University Rankings2018」から作成)
アジア
順位
前年
順位
前々年
順位
大学名 国・地域
33 30 24 東京工業大学 日本
35 35 34 名古屋大学 日本
36 33 35 国立清華大学 台湾
38 38 39 漢陽大学 韓国
39 31 32 光州科学技術院 韓国
40 36 42 慶熙大学 韓国
42 41 28 国立台湾科技大学 台湾
43 47 40 中山大学 中国
44 44 42 インド工科大学 インド
45 49 55 武漢大学 中国
46 59 59 マラヤ大学 マレーシア
47 43 50 マカオ大学 マカオ
48 45 48 九州大学 日本
48 39 31 国立交通大学 台湾
50 60 70 中央大学 韓国

 タイムズ・ハイヤー・エデュケーションのアジア大学ランキングは、同誌が毎年、公表している世界大学ランキングと同じ評価法によっている。教育、研究、論文引用の影響度、国際性、企 業からの収入の五つの評価指標をそれぞれさらに細分化した合計13項目について点数を付け、合計している。例えば教育については、世界の著名な研究者1万人以上から得た大学に対する評価のほか、教 員数に対する学部学生数の割合、学士数に対する博士授与数の割合、教員数に対する博士授与数の割合、教員1人当たりの大学収入の計5項目が評価される。

 研究も、教育同様、世界の著名な研究者による評価に加え、教員1人当たりの収入と、論文発表数が評価対象となっている。教育、研究に加え、大 学に所属する研究者の論文が過去6年間にどれだけ主要学術誌に引用されたかを基に論文引用の影響度を数値化した指標が最も重視されており、この3指標で総合評価の85%を占める。ただし、ア ジア大学ランキングは世界ランキングに比べ、アジアの大学の特質を反映した調整が行われているという違いがあるとされている。

 清華大学が、世界大学ランキングも含めて今回初めて北京大学を追い抜いたことについてタイムズ・ハイヤー・エデュケーションは、論文引用の影響度が高かったことや国際共著論文の多さ、さ らに研究収入の伸びの速度が北京大学を上回っているという理由を挙げている。

 日本の大学に関しては、3年前の「アジア大学ランキング2015」では、トップの東京大学をはじめ日本の5大学が上位20位に入っていた。しかし翌年は、東京大学が前年の1位から7位に急落したほか、9 位の京都大学が11位、15位の東京工業大学が24位、18位の大阪大学が30位、19位の東北大学が23位と、上位20位の5大学すべてが順位を下げた。昨年もこの流れは変わらず、東 京大学は辛くも同じ7位を保ったが、京都大学は11位から14位、東北大学は23位から26位、東京工業大学は24位から30位、大阪大学は30位から32位と上位5大学はいずれも2年連続で順位を下げた。今 年は、京都大学と大阪大学は順位を上げたものの、上位50位に入った残りの5大学は同順位だった名古屋大学以外、さらに順位を落としている。

 上位100位まで広げても状況は似たようなものだ。3年前から19、14、12と数を減らしてきたが、今年は11大学とさらに一つ減った。

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