【18-10】中国向けロボット輸出急増 前年比49.0%増の過去最高額に
2018年5月24日 小岩井忠道(中国総合研究・さくらサイエンスセンター)
中国向け産業用ロボット輸出額が、昨年、前年に比べ49.0%増の2,599億円と過去最高になったことが、23日、日本ロボット工業会が公表した年間統計で明らかになった。ロ ボットを重要産業として位置づけている中国政府の支援策がロボット需要を押し上げているのでは、と日本ロボット工業会は見ている。
日本ロボット工業会の年間統計(サービスロボットは除く)によると、会員社と非会員社を含めた年間受注額は前年に比べ27.8%増の9,447億円、生産額は同じく24.8%増の8,777億円と、そ れぞれ過去最高となった。日本国内の需要が堅調であったことに加え、それ以上に輸出が大幅に伸びたことによる。
出荷額も前年比25.1%増の8,956億円で、国内出荷額が11.6%増の2,462億円だったのに対し海外への輸出額が31.1%増の6,494億円と、輸出の好調さを示している。輸 出で伸びが目立つのは電子部品実装ロボット(輸出額は前年比43.3%増の1,904億円:台数は同47.9%増の1万2,418台)や、溶接用ロボット(前年比24.1%増の1,031億円:同29.3%増 の4万1,321台)となっている。生産額、出荷額とも4年連続のプラスとなった。
輸出先を見てみると、中国が最も多く、輸出額2,599億円と全体の40.0%を占めた。中国に次いで多いのは米国の1,183億円(前年比10.8%増)で、以下ドイツ546億円(同32.3%増)、韓 国459億円(同1.0%減)、台湾400億円(同10.3%増)。中国向けが額、前年からの伸び率とも突出しているのが分かる。
(日本ロボット工業会年間統計から)
世界の産業用ロボットメーカーは、日本の安川電機、ファナックとスイスのABB、ドイツのKUKA(クーカ)が4強といわれる時期が続いた。一昨年、クーカが中国家電大手の美的集団に買収されたことが、日 本でも話題になった。中国でロボット技術が重視されている現われと受け止められている。スイスのABBも中国に生産拠点を置いており、今後、中国市場では、クーカの買収で急激に力をつけた美的集団とABB、日 本のロボットメーカーとの競争が激しくなるとみられる。
関連サイト
- 日本ロボット工業会プレスリリース「 ロボット統計受注・生産・出荷実績について」
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- 2016年06月30日 SPCデイリーチャイナ「 ドイツ産業用ロボット大手が買収受け入れ」