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【18-11】日本の若手科学技術担当者訪中団、北京に到着

2018年6月27日 中国総合研究・さくらサイエンスセンター編集部

 中国の科学技術部に招待を受けた第3期「中日青年科学技術交流計画日本訪中団」が6月25日、北京に到着し、6日間にわたるプログラムがスタートした。

 「中日青年科学技術交流計画日本訪中団」プログラムは中国の科技部が日本政府の行政官および科学技術分野の中心的人材が中国への理解を一層促進するため、また中日科学技術協力を推進させるために発表された交流計画である。2016年は78人、2017年は107人を招へいした。これまで参加したメンバーのほとんどが初めての訪中であった。2018年、科技部は本プログラムに対しさらに力を入れ、訪中団の人数は150人まで増え、6月と10月の2回の実施となった。なお日本側は科学技術振興機構(JST)が本プログラムの実施のための窓口機関となっている。

 6月の訪中団は85名で、そのメンバーは、総務省、外務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、厚生労働省、特許庁などの中央省庁、愛知県、福岡県、三重県、和歌山県、豊田市、水俣市などの地方自治体が多くを占めた。このほか、名古屋大学、東北大学、九州大学などの大学や研究機関の若手研究者も参加した。

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図1 「中日青年科学技術交流計画日本訪中団」に参加したメンバーの集合写真

 6月25日の夜、北京の外国専家ビルで、歓迎レセプションが開催された。レセプションは中国科学技術部国際合作司の蔡嘉寧副司長が司会を務めた。科技部の張建国副部長は一行を歓迎しながら「国の交流とは人々の交流。今年は改革開放40周年。百聞は一見に識かず。中国の科技の状況を見、中国国民の友情を持ち帰り、イノベーション協力に貢献してほしい。また、さくらサイエンスプランおよび創設者の沖村憲樹さんに感謝している。これまでの中日科学技術交流に対するご尽力は大きな応援となった」と述べた。

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図2 張建国副部長

 在中国日本国大使館の四方敬之首席公使は、「さくらサイエンスプランは2014年から6600人もの中国国民を受け入れた。5月には、林芳正文科大臣と王志剛科技部部長が北京で会ったとき、私も招待されたが、さくらサイエンスプランへの言及があり、大変、評価されていた。日中関係の発展に大きな貢献をしてくれた。人と人とのつながりこそが、科技イノベーションを進展させるのだ」と日中双方の往来の重要性を強調した。

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図3 四方首席公使

 訪中団団長を務めるJST中国総合研究・さくらサイエンスセンターの沖村憲樹上席フェローは、「さくらサイエンスプランは10000人の中国からの来日を目指して2014年にはじめた。私の信念の事業だ。多くの省庁をまわったが、中国の科技部は唯一、応援してくれ、いままで一貫してサポートしてくれた。大変感謝している。低成長を迎える日本にとって、中国をはじめアジアの国々との交流は重要。ところが残念ながら、日本側はあまり熱心ではない。3年前、科技部の王鋼部長(大臣)の指導のもと、日本の若手行政官を招へいする事業が始まり、大変嬉しく感じた。今回、将来の日本を背負う優秀な若手人材を厳選させていただいた。ぜひ現場を見て、いまの中国を知ってほしい」と述べた。

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図4 沖村上席フェロー

 訪中団の日程は6月26日よりはじまり、まず中国の各機関の科学技術関連の幹部との交流の場が設けられ、北京大学清華大学及び中関村などを訪問する。6月27日からは広州・深圳を訪問するグループと大連を訪問するグループに分かれ、各地の地方政府が手配した現地のトップ大学、研究機関、サイエンスパークおよび有力企業などを見学する。