【18-19】日本の若手科学技術者の訪中団を程永華駐日中国大使が激励
2018年9月18日 箕輪大(中国総合研究・さくらサイエンスセンターフェロー)
9月13日、東京の中国大使館において、日本の若手研究者・大学関係者・行政官らにより構成された短期研修訪中団の壮行会兼報告会が開催され、会場は150名を超える熱気に包まれた。
日中の科学技術・文化交流をさらに推進するため、2016年に中国政府による日中若手科学技術担当者交流計画がスタートした。2016年は78名、2017年は107名の日本の若手研究者・大学関係者・行政官が、中国における短期研修を実施した。今年は6月25日から6月30日までの日程で第1陣の84名がすでに北京、大連及び広州を訪問している。
第2陣の76名が10月22日から10月27日までの訪中に先立って、9月13日に駐日中国大使館において壮行会および過去の訪中団参加者による報告会が行われ、程永華大使、山脇良雄文部科学審議官、元文部大臣・元東大総長で、科学技術振興機構中国総合研究・さくらサイエンスセンターの有馬朗人センター長らが参加し、研修参加者を激励した。
程大使は、「2014年以来、JSTの実施するさくらサイエンスプランにより、7,000人以上の中国の若者が来日した。これに応えて、2016年以来、日本の若手研究者や行政官を招いて中日の青少年科学技術人材交流プログラムを実施してきた。今年は日中平和友好条約締結40周年を迎える。皆様には、訪中の機会を利用して、中国の科学技術発展に対する理解を深め、中国との関係を強化し、友情を築き、友人を増やし、日中の科学技術交流協力を促進し、両国関係の発展に尽力していただきたい。」と激励した。
写真1 挨拶する程大使
山脇審議官からは、「今年は5月には安倍総理と李克強総理との対談があり、8月には3年4ヶ月ぶりに日中科学技術協力委員会が開催され、王志剛科学技術大臣が来日した。10月には安倍総理の訪中も計画されている。日中の大学間においても5,000を超える協定があり、留学生の4割以上は中国から来ている。こういった機運をとらえ、科学技術のみならず、文化や生活の面でも積極的に人々と交流し、将来のネットワーク形成に役立ててほしい」という言葉があった。
写真2 挨拶する山脇文科審
濵口道成科学技術振興機構(JST)理事長は、「日中間の協力をさらに推進していくためには相互理解が極めて重要。中国の一流大学、研究機関や企業を訪問し、中国のイノベーションの現状を知っていただくと同時に、政府関係者や若手研究者との積極的な交流を通じ、共通課題の解決に取り組むための良い機会としていただくことを期待したい。」「群盲象を評す、という言葉がある通り、いろいろな形の中国があると思う。古い街並みの商店に掲げられた看板の漢字の美しさや、もはや財布が不要となりつつあるスマート社会への急速な変化など。中国のダイナミックな現状を肌で感じて帰ってきてほしい。」と述べた。
写真3 挨拶する濵口理事長
宴もたけなわのころ、沖村憲樹JST上席フェローによる「本日、有馬先生は米寿を迎えられた。有馬先生は100回以上の訪中経験があり、現在も中国の研究者と共同で論文を執筆されている。日中交流に多大な貢献をされた有馬先生の米寿を、本日、中国各所で祝っている」という言葉があった。
写真4 挨拶する沖村上席フェロー
大使館の粋な計らいによりバースデーケーキが運び込まれ、誕生日の歌が流れた。有馬先生は、「若手の皆さんには大いに期待している。躍動する現在の中国をよく見てきてほしい。中国では、科学技術や原子力、あらゆる点において、政府、産業、社会が一致団結して推進している。とくに若者がたいへん張り切っている。21世紀はアジアの世紀。若手を中心として中国、日本、シンガポール、韓国などが一致協力し、米国、欧州と肩を並べる世界の第三局として結束し、世界の発展を力強くけん引し、その成果を次の世代へ繋げてほしい。」と激励した。
写真5 挨拶する有馬センター長
写真6 花束を受け取る有馬センター長
過去に訪中したメンバーからは、「行く前は不安を感じていたが、とても新鮮な感動を受けた。帰国後に国際担当への異動を希望し、今は中国との協力プロジェクトに関わることができた。」「訪問した大連理工大学では、日本語を一所懸命に学ぶ、生き生きとした学生たちがいた。関係を大事にしたい。」「中国では科学技術や経済発展のロードマップを産官学が一致団結して進めており、学ぶところが多いと感じた。」「帰国後も訪中メンバーたちとの交流会が続いており、この繋がりを大事にしたい。」といった声があった。
また10月に訪中するメンバーからは、「百聞は一見に如かずという言葉通り、ぜひ中国の最前線を肌で感じ、その成果を学び、期待される役割を果たしていきたい。」「出発まで1か月あるが、気持ちを新たにできた。よりよい成果を持ち帰えれるよう準備したい。」といった言葉が聞かれた。
写真7 全体集合写真
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