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【19-33】経営者・管理職よりロボットを信頼 中日インドで顕著、米企業の調査で判明

2019年11月26日 小岩井 忠道(中国総合研究・さくらサイエンスセンター)

 マネージャー(経営者や管理職)よりロボットを信頼する。そう考えている人が、インド、中国、シンガポール、日本というアジア諸国で特に多いことが、米国のソフトウェア会社「オラクル」と調査会社フューチャー・ワークプレイス社の共同調査で明らかになった。

AI採用の好意的受け止め増加

 この調査は、米、英、フランス、中国、インド、オーストラリア・ニュージーランド、シンガポール、アラブ首長国連邦(UAE)、ブラジル、日本の従業員、マネージャー、人事部門リーダーを対象に今年7月から8月にかけて実施された。18歳から74歳にわたる計8,370人から回答を得ている。調査は昨年に続き2回目。職場で何らかの形で人工知能(AI)を利用していると回答した従業員は昨年32%にとどまっていたが、今年は50%に増えている。

 国別で見ると、最もAIの採用が進む国はインド78%と中国77%。これに対し、日本29%、フランス32%、英国38%が平均(50%)を下回っている。平均すると過半数(65%)の従業員は、ロボットの同僚がいることを歓迎しており、約4分の1は、職場でのAIとの関係に満足している、と回答した。AIを最も歓迎しているのは、インド(60%)と中国(56%)の従業員。それ以外の国は、UAE(44%)、シンガポール(41%)、ブラジル(32%)、オーストラリア・ニュージーランド(26%)、日本(25%)、米国(22%)、英国(20%)、フランス(8%)となっている。こうした結果をオラクル社は、職場でAIの採用が増え、多くの人々が好意的に受け止めていることを示す、と見ている。

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職場にAIを採用している割合
(ORACLE、Future Workplaceプレスリリースから)

64%がマネージャーよりロボット信頼

 マネージャーよりロボットを信頼すると答えた人は全体の64%に上る。ただし、国による差は大きく、インド89%、中国88%、シンガポール83%、ブラジル78%、日本76%と上位5カ国のうち、4カ国をアジアで調査対象国となった国が占めた。これに対し、英国54%、フランス56%、米国57%と欧米3カ国は50%を超えるものの平均(64%)を下回る。UAEは74%、オーストラリア・ニュージーランドは58%と、調査対象国の中では比較的平均に近い結果となった。

 マネージャーよりロボットの方が物事をうまくこなすと答えた人は、回答者の82%に上る。ロボットがマネージャーより優れているのは何かという問いに対しては、「作業スケジュールの維持」を挙げたのが34%、「問題解決」が29%、「偏見のない情報の提供」が26%、「予算管理」が26%だった。一方、ロボットよりマネージャーの方が優れているとみる能力については、「従業員の感情の理解」を挙げたのが45%。「従業員の指導」33%、「職場文化の創出」29%と合わせて、上位3位となっている。

 これらの結果からオラクル社は、職場でのAIの浸透は従業員とマネージャーとの接し方に大きく影響し、人事チームとマネージャーの従来の役割が変化していることを示すとみている。

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マネージャーよりロボットを信頼する人の比率
(ORACLE、Future Workplaceプレスリリースから)

変化求められるマネージャー

 従業員がAIに対するより簡単な扱い(シンプルなエクスペリエンス)を求めている実態も明らかになった。従業員の76%と人事リーダーの81%が、職場での技術変化の速さについて行くのが大変だと感じている。より優れたユーザーインターフェイスを求める従業員が34%に、ベスト・プラクティス・トレーニングを求める従業員が30%に上った。

 今回の調査結果について、オラクル社のプレスリリースは、専門家の次のようなコメントを紹介している。

「AIは従業員とマネージャーの関係を変化させるだけでなく、AI主導の職場におけるマネージャーの役割も変化させていることを示している。マネージャーはソフトスキルの使用に注力し、技術的なスキルやルーティーンタスクをロボットに任せることができれば、将来も関係を維持できる」(ダン・ショベル=Dan Schawbel フューチャー・ワークプレイス・リサーチ・ディレクター)

「すでにAIやロボットを受け入れる土壌は整いつつあり、日本のマネージャーは変化することが求められることを示唆している。上意下達で部下を指導する旧来のやり方ではなく、その人でしかできないマネジメント手法がないと、マネージャーの存在価値はどんどん薄れていく。人事、経理、総務といった部門でも、データの活用やテクノロジーの導入に向け、データサイエンティストなどと折衝する力が必要。早く始めないと、場合によっては企業価値に影響するといったことにもなりかねない」(岩本隆 慶應義塾大学大学院経営管理研究科特任教授)

関連サイト

Oracle & Future Workplace AI@Work Study 2019 Oracle & Future Workplace AI@Work Study 2019

日本オラクルプレスリリース
日本の「職場におけるAI」調査:AI利用は、世界10カ国・地域の中で日本は最下位
「職場におけるAI」調査:回答者の64%はマネージャーよりもロボットを信頼」