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【22-35】村に「グリーン発電所」を 貴州初の新型電力システムモデルエリア

李 泵 劉玲玲 何星輝(科技日報記者) 2022年11月30日

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納木村の民家屋根太陽光発電システム。画像提供:取材先

 貴州省六盤水市盤州市羊場郷納木村に入ると、電力網建設作業員が秩序正しく電信柱を組み立て、電気ケーブルなどの設備を運んでいた......。中国南方電網有限責任公司が投資・建設する初の新型電力システムモデルエリアがこのほど、納木村に進出した。新型電力システムプロジェクトの貴州省への進出も初めてとなる。

 六盤水市盤州市電力供給局のスタッフである王祖峰氏によると、同プロジェクトは主に電力網建設と科学技術設備建設の2つの部分に分かれる。現場の施工者は急ピッチで建設を進めており、現在の電力網建設部分の全体的な進捗率は75%に達している。

電力が自給自足 予定外の収益も

 羊場郷納木村新型電力システムモデルエリアの建設は2022に着工し、25年にかけて3段階に分けて実施される。モデルエリアは完成後、多層的な構造を持つ「分散型スマートグリッド」を実施・応用する。年内に一部の重要技術がモデルエリアで導入される。今後2~3年は「分散型スマートグリッド」をプラットフォームとするグリーンで低炭素なエコチェーンがモデルエリアで閉ループをほぼ実現し、一連の設備と「分散型スマートグリッド」のシステムソリューションを形成する。

「自分で発電し自分で使用し、余った電力は蓄電できる。変圧器の点検修理の際には村の『大型モバイルバッテリー』によって電力供給できる......」。納木村支部書記の楊興団氏は、このテクノロジーの要素が満載な電力システムに期待している。納木村の多くの民家の屋根にソーラーパネルが設置されている。彼らは自家発電、自家消費、余剰売電により、自身の「グリーンな発電所」を持つようになった。盤州市羊場郷納木村では現在すでに361セットの民家屋根分散型太陽光発電装置が使用されている。1セットの出力は3kW。将来的には、太陽光発電の設備容量は持続的に増加する見通しだ。

 王氏は、「モデルプロジェクトの建設はクリーンエネルギーの消費を促進し、モデルエリアの利用者の電力の需要に保障を提供し、電気使用コストを削減する。村人のグリーンで安全な電力使用を保証すると同時に、村人に収益をもたらす。従来の電力供給システムと比べると、新型電力システムは屋根の太陽光発電の電力を蓄電し利用者に提供するとともに、その他のエリアと共有する。余剰電力は電力会社に売電でき、予定外の収益をもたらすことができる」と述べた。

農村電力網を改修し、農村振興に寄与する

 国有企業改革3カ年行動における農村振興寄与戦略を推進し、貧困脱却攻略戦の成果を定着させ、それを拡大し、新たな農村電力網改修・高度化プロジェクトを実施するため、貴州電網六盤水電力供給局はいち早くオンライン監督・検査プラットフォームを構築し、デジタル化・情報化のイノベーション駆動的役割を果たした。監督・検査任務の速やかな注意喚起、フォローアップ、全面的なフィードバック、効果的な監督の閉ループ管理を実現した。新型電力システムモデルエリアプロジェクトの立ち上げ当初、同局はプロジェクト前期と建設作業を特別に監督・処理し、前期手続き処理の時間制限を厳しくコントロールし、「デジタル化+監督・処理」を通じ1週間毎のオンライン監督・処理、電話監督・処理、文書監督・処理を実施した。同プロジェクト前期のフィジビリティスタディの承認や施工設計の承認などの重要な業務の節目を正確に把握し、プロジェクトの進捗を定期的に報告するようにした。監督の視点から主体としての責任を徹底し、電力網建設プロジェクトの一部の施工から稼働開始までの期間を当初計画より3ヶ月短縮した。

 南方電網貴州電網公司は「フレキシブル相互接続交直流混合回路マイクログリッド建設」の建設アプローチを採用し、南方電網有限責任公司の重点科学技術プロジェクト4件と貴州省科学技術支援計画プロジェクト1件を通じ、「分散型スマートグリッド」の盤州市羊場郷での設置とモデル運営をサポートするとともに、盤州市羊場郷を南方電網の「フレキシブル配電網モデルエリア」に指定した。交直流の同時架設、エリア間の互助、分散型太陽光発電+蓄エネ新技術を試験的に運用し、高比率太陽光配電網自動化技術を確立した。電力の質、電力網の損耗、故障分離、分散型エリアの管理制御などの問題を重点的に解決した。低圧配電網のフレキシブルなコントロール能力と農村電力網の電圧合格率などを大幅に高めた。最終的にフレキシブル交直流相互接続農村スマートマイクログリッドを完成させた。


※本稿は、科技日報「"分布式智能電網"譲民擁有自己的"緑色電駅"」(2022年1月11日付7面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。