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【23-01】新型コロナワクチン4回目接種はどのように打つか?治療薬の生産は追い付いているか?

張 佳星(科技日報記者) 2023年01月12日

 中国国務院共同対策メカニズムが12月14日に開催した記者会見で、中国疾病予防管理局衛生免疫司の夏剛司長は、「交互接種、或いはオミクロン株に由来する成分のワクチン、オミクロン株対応のワクチンを接種することを、優先して推奨する。接種計画では、現時点で条件付き承認もしくは緊急承認されたワクチン13種類全てを2回目のブースター接種に使うことができる」と説明した。

 予防という視点から見ると、2回目のブースター接種は、大半の人にとって4回目の新型コロナウイルスワクチン接種となる。では、どのように接種すれば、オミクロン株の感染により良く対応できるのだろう?また、治療という視点から考えると、新型コロナウイルスに感染した後に使う治療薬のニーズが明らかに高まっているが、生産能力が追い付いているのだろうか?そうした疑問に、専門家が回答した。

重症化リスクが高い人々は4回目接種を推奨

 夏司長によると、現段階では、新型コロナウイルス対策が依然として厳しい情勢で、高齢者を含む重症化リスクが高い人々は引き続き感染リスクにさらされている。そのため、国務院共同対策メカニズムは最近、新型コロナウイルスワクチン接種計画をさらに調整・改善し、感染のリスクが高い人々や60歳以上の高齢者、深刻な基礎疾患を有する人、免疫力が低下している人などは、1回目のブースター接種から6ヶ月以上の間隔が空いている場合、2回目のブースター接種を受けることができるとした。

 国家衛生健康委員会は現在、各地が関連業務を実施するよう指導している。具体的な接種計画は、現地の実際の状況に合わせて制定される。条件を満たす人は、積極的に、できるだけ早く接種するよう勧められている。

十分な新型コロナウイルス治療薬の生産能力

 中国工業情報化部(省)消費財工業司の周健副司長は、「中国の新型コロナウイルス治療薬の生産能力は、患者の治療薬のニーズを満たすことができる。患者数が最近増加し、治療薬のニーズも激増しており、一部の地域では一部の治療薬が入手しにくくなっている。現時点で、当部を含む当局が企業に対して、迅速に生産を安定させ、フル稼働させるほか、生産能力を拡充して、生産を増やすよう推進し、重点治療薬の市場への供給を強化し、合理的に、秩序に基づいて、的を絞った取り組みを行い、薬が手に入りにくいという問題を緩和できるよう取り組んでいる」と説明する。

「新型コロナウイルス肺炎診療案(第9版)」と「新型コロナウイルス感染者の自宅における中医薬の使用ガイド」に含まれている治療薬について、工業・情報化部は、関連メーカーや重点関連企業を「ホワイトリスト」に組み込んで管理し、企業がフル稼働で生産する状態に迅速に入るようするサポートしている。また、企業が薬ごとに、増産・生産能力拡充プランを制定するほか、技術改良や生産ライン新設、委託生産といったスタイルで、現有の生産能力をフル活用し、生産量を増やすようにサポートしている。同時に、大型のオンライン薬局が、患者がオンラインで治療薬を購入できるプラットフォームを開発し、実名認証を行い、抗原検査証明をアップすると、速やかに患者の元に治療薬を配送できる状態を整えるなど、的を絞った取り組みを行っている。

コミュニティと専門医療機関のマッチングメカニズムを活用

 10項目からなる新型コロナウイルス対策の新しいガイドライン「新十条」は、コミュニティと専門医療機関のマッチングメカニズム構築を推進し、一人暮らしの高齢者や未成年者、妊産婦、障がい者、慢性疾患患者などに便宜を提供することを強調している。では、それはうまく進んでいるのだろうか?

 中国国家衛生健康委員会・医療応急司の高光明副司長によると、医療改革深化の過程で、中国の医療システムは常に都市医療連合体、県域医療共同体を積極的に推進し、医療リソースの上下の意思疎通、協調、連携を強化してきた。当面、三級医療サービス体系における上下の転院ルートがスムーズに進んでいるため、このマッチングメカニズムは既に構築されていると言えるだろう。

 では、どうすれば、既に構築されているメカニズムをうまく活用して、診療の必要な新型コロナウイルス感染者に、より良いサービスを提供することができるのだろう?高副司長は、「『新十条』実施後、軽症者、無症状感染者、基礎疾患が比較的安定している感染者は、自宅で治療するよう推奨されている。医療機関は、遠隔指導やオンライン医療と、オフライン治療を組み合わせた治療を行い、自宅で治療する感染者に、回復指導・サポートとカウンセリングなどを提供することができる。一方、重症患者や、重症化リスクが高い患者は、指定の医療機関で治療を受けることができる。基礎疾患が比較的深刻な場合は、総合病院と専門病院で治療を受ける必要がある。その時は、近くにあるコミュニティ衛生サービス機関を通して、病院と連絡を取ることができる。機関の転院サポートを受けることもできれば、直接関連の病院に行って診察を受けることもできる」と説明する。


※本稿は、科技日報「第四針来了,怎麽打?新冠用薬産能如何?権威回応2022年12月15日第02版」(2022年12月15日付2面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。