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【23-56】広州開発区、新型エネルギー貯蔵特別支援策を発表

葉 青(科技日報記者) 2023年08月28日

 中国広州開発区は、このほど開かれた2023年第2四半期(4~6月)重要プロジェクト集中着工調印式で、区・県レベルの新型エネルギー貯蔵特別政策「広州開発区(黄埔区)新型エネルギー貯蔵産業の質の高い発展を促進する若干の措置」を打ち出した。こうした措置が中国の経済開発区と粤港澳大湾区(広東・香港・マカオ・グレーターベイエリア)で発表されたのは今回が初めてで、同産業の飛躍的発展を推進していく。

 今回の「措置」には、プロジェクト投資建設の支援、企業の連携・集積発展の推進、企業のイノベーション活性化、企業の海外市場開拓支援、製造・発電・貯蔵・使用の一体化発展の支援、金融支援の強化という6つの注目点がある。

 プロジェクト投資建設支援では、新規導入で固定資産投資額が5000万元(1元=約20円)以上の優良プロジェクトを対象に、固定資産投資総額の10%を支援する。1プロジェクト当たりの上限は1億元となっている。政策の有効期間内に同開発区に進出された、同開発区でオフィス施設や工場を借りて自分たちで使用する、年間売上高5000万元以上の優良企業を対象に、家賃の50%を補助する。1企業当たりの補助金は年間最高50万元となっている。また、重点プロジェクトを対象に、企業ごとに異なる政策や対応策による支援も行う。

 企業の連携・集積発展では、太陽光発電や新型エネルギー貯蔵電池、重要エンドユーザー応用、重要情報技術・製品の深い融合と革新的応用を促進する。そして、政策の有効期間内に、モデル応用プロジェクトを年間最大10件選び、プロジェクト1件につき最高20万元の支援を提供する。また、新型エネルギー貯蔵関連の特色ある産業パークを支援し、政策の有効期間内に、新型エネルギー貯蔵モデルパークを年間最大3カ所選び、1カ所当たり最高50万元の運営支援を提供する。

 企業のイノベーション活性化では、同開発区は新型エネルギー貯蔵企業に対し、新エネルギーの重要情報技術・製品の開発・応用の展開を奨励する。政策の有効期間内に、アドバンスト・コンピューティングや産業用ソフトウェア、インテリジェント・インテグレーション、スマート運営・メンテナンスシステムなどの製品を年間最大10種類選び、1種類につき年間最高20万元の支援を提供する。

 企業の海外市場開拓支援では、製造した新型エネルギー貯蔵関連の新製品・新応用が欧州連合(EU)や米国、日本、韓国などの各種市場の権威ある参入認証を取得した場合、1企業につき年間最高100万元の奨励金を支給する。

 製造・発電・貯蔵・使用の一体化発展支援では、条件を満たす設備容量1メガワット(MW)以上の新型エネルギー貯蔵施設を対象に、1プロジェクト当たり最高300万元の支援を提供する。

 金融支援の強化では、複数の投資・融資マッチングイベントを展開し、新型エネルギー貯蔵産業の発展を支援する。

 同区工業・情報局の譚志彬チーフエンジニアは「『ダブルカーボン』(カーボンニュートラルとCO2排出量ピークアウト)の目標が掲げられる中、新型エネルギー貯蔵産業は『1兆元級』のブルーオーシャンを迎えており、産業市場が非常に大きく、大きな発展のポテンシャルを秘めている。措置の発表は、同開発区が新型エネルギー貯蔵産業の発展戦略におけるチャンスをしっかりと掴むための革新的実践だ。開発区は今後、国の新エネルギー総合利用モデルエリア建設を活用し、政策誘導を強化し、供給側から着手して製造側に力を注ぎ、ハードテクノロジーを方向性とし、産業化を目標として、新型エネルギー貯蔵全産業チェーンとマルチシーン応用モデルに焦点を当て、コアコンピテンシーを備えた新型エネルギー貯蔵産業イノベーション先進地の構築に取り組む」と語った。


※本稿は、科技日報「广州开发区出台新型储能专项政策」(2023年6月28日付7面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。