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【23-61】再生資源産業は大規模化、規範化、基準化に向かう

操秀英(科技日報記者) 2023年09月14日

 中国物資再生協会がこのほど発表した「中国再生資源回収業界発展報告(30周年特別版)」によると、中国の再生資源産業の規模は急速に拡大しており、特に「第11次五カ年計画(2006~10年)」以降は、主要品目の再生資源回収量は年々、増加の一途をたどっている。

 中国物資再生協会の許軍祥会長は「物資再生業界は既に、都市・農村部の人々を雇用する重要な業界となっており、中国の経済発展、社会の安定、環境保護に多大な貢献をしている」と指摘。日々深刻化する環境汚染や資源不足などの問題について「中国の再生資源に対する需要は今後も高まり続け、業界にさらに多くのビジネスチャンスと利益の余地をもたらす」との見方を示した。

再生資源産業の規模が拡大の一途

 報告によると、中国で回収されている再生資源は主に、スクラップ、有色金属、廃プラスチック、古紙、廃タイヤ、廃電子機器、車両、繊維系廃棄物、廃棄ガラス、廃棄電池などで、その種類は多岐にわたる。

「第12次五カ年計画(2011~15年)」期間中、中国で回収された再生資源は2億3810万6200トンで、「第11次五カ年計画」期間中から91.75%増加した。「第13次五カ年計画(2016~20年)」期間中はさらに増え、3億1681万6600トンに達し、「第12次」期間中から33.06%増加した。再生資源の回収価値も上昇傾向にあり、「第12次」期間中の価値は毎年平均6554億22000万元(1元=約20円)で「第11次」期間中と比べて72.26%増加した。「第13次」期間中、その価値は毎年平均8248億6800万元に達し、「第12次」期間から25.85%増加した。

 許氏によると、現時点で中国には再生資源回収企業が9万社以上ある。中小企業が中心で、従事者は約1300万人となっている。産業規模は近年拡大の一途をたどっており、中国全土のほとんどの地域で、回収ネットワークが構築され、回収、ピッキング、集散が一体となった再生資源回収体系が少しずつ整備されている。

 中国物資再生協会の高延莉副会長は「『インターネット+』の回収スタイルが中国の物資再生業界で幅広く活用されている。『第11次』期間中に、早くも『インターネット+』の回収スタイルが模索、実践され、これまでにスマート回収や自動回収機といった新たな回収方法が発展を続けている。また、インターネット企業がインターネットやビッグデータを活用して情報を収集し、データを分析し、動きを追跡しており、QRコードなどのモノのインターネット(IoT)技術を通じて、製品や廃棄物の動きを追跡し、資源の集約や回収ルートの整理、回収地点の最適化など、再生資源回収体系を整備している」と強調した。

回収利用体系のさらなる整備が必要

 許氏は「物資再生業界の質の高いモデル転換と発展を妨げる難題もたくさんある」と直言する。

 許氏の分析によると、まず、再生資源回収地点のカバー率が低い。「再生資源回収ポイント建設管理規範」は、都市部は2000世帯につき1カ所、農村部は2500世帯につき1カ所の回収ポイントを設置するように要求している。しかし許氏は「現段階では、中国の再生資源回収地点は主に都市部に分布しており、カバー率が低く、関連のピッキング・加工設備が不足しているほか、輸送、保管が不便といった問題が際立っている。農村部と都市部の接合部の回収地点も不足しており、その問題はさらに大きい」と指摘した。

 次に、物資再生業界の企業は小規模である場合が多く、業界の集中度も低い。再生資源回収に従事している企業の80%以上が中小企業で、技術やコストなどの影響を受けている。これらの企業は生産を重視しても、研究開発を重視しないケースが多く、荒っぽい解体や処理の混乱、「二次汚染」などの現象も目立っている。同質化競争も深刻で、製品の付加価値は低く、規範化レベルも低い。

 基準が不足していることも、業界の規範化や、秩序に基づいた発展の足かせとなっている。許氏は「中国の物資再生分野の基準体系構築は『基準のカバー範囲が狭い』『管理プロセスが厳格でない』『制定、改正がタイムリーでない』『技術水準が低い』『内容が重複、または矛盾している』といった問題に直面している。全面的に整備された基準体系がまだ作り出されていない」と訴えた。

 だが専門家は、今後の発展に楽観的な見方をしている。許氏も「今後、国からの物資再生業界に対する政策支援がさらに強化され、回収利用体系もさらに整備されるだろう。また、再生資源の回収、利用率も高まり続け、業界は大規模化、規範化、基準化の方向に向かって発展する」との見解を示した。

 中国物資再生協会の于可利秘書長は「当協会は今後、業界が発展する上で直面している共通の問題に焦点を合わせ、再生資源パブリックサービスプラットフォームの構築や、業界基準体系の整備、グリーンなサプライチェーンの構築などを継続的に推し進め、汚染と炭素の削減相乗効果を促し、再生資源回収産業のグリーンで質の高い発展を推進する」と語った。


※本稿は、科技日報「再生资源行业将走向规模化、规范化、标准化」(2023年7月7日付5面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。