【24-39】小さなタニシ麺が大きな産業に成長
周思同(科技日報記者) 2024年10月09日
広西螺霸王食品科技有限公司(以下「螺霸王」)のタニシ麺(米で作った麺とタニシのスープを合わせた汁ビーフン)文化展覧館に入ると、棚にはタニシ麺関連の商品がズラリと並び、壁にはたくさんの特許証や賞状が張り出され、大型スクリーンにはタニシ麺の販売数が1千万食を超えたことなどが表示されていた。螺霸王の業績は、広西チワン族自治区柳州市のタニシ麺産業が近年、力強く発展していることを物語っている。
2023年、同市のタニシ麺産業チェーン全体の売上高は669億9000万元(1元=約21円)に上った。製品は28カ国・地域に輸出され、「柳州タニシ麺」のブランド価値は110億2200万元に達し、「2023年中国地理的表示(GI)農産物地域公共ブランド」の8位に入った。小さなタニシ麺が今、柳州の経済発展に新たな活力を注入している。
10年前までは無名のニッチな産業だった「柳州タニシ麺」が、今や中国内外で人気になっているとは、誰が想像できただろうか。
柳州タニシ麺産業の発展史について、螺霸王の姚漢霖董事長は「2014年にインターネット上で初めて『柳州タニシ麺』を目にした。当時、自家製のタニシ麺をネット上で販売する柳州市の人が多くいたが、生産量が非常に少なく、知名度も非常に低かった」と振り返った。
姚氏によると、10年前は大半のタニシ麺メーカーが小さな工場で手作りしていたため、生産量が限られ、消費期限も15~30日と短く、タニシ麺の販売が制約を受けていた。
姚氏は「タニシ麺を柳州市以外の地域に拡大するためには、生産を機械化する必要があった」と説明。当時はまだニッチな産業だったため、専用の生産設備がなく、適切な技術を見つけるため各地を奔走し、他の産業の経験を参考にしたという。「当時、福建省には梅菜(漬物)やタケノコの千切り加工に使える設備があった。そこで、浙江省温州市にある関連メーカーを訪ねて、設備の使い方を教えてもらった。そして、関係機関と協力してその設備を改良し、タニシ麺とその材料を生産できるようにした」と語った。
その後、数年間にわたり、多くの「柳州タニシ麺」メーカーが技術を学ぶようになり、小さな工場での手作りから、生産の機械化、自動化へと進歩を遂げた。今では、5Gデジタル作業場で「柳州タニシ麺」が生産されるようになっており、各生産段階のリアルタイム監視が実現し、品質も向上し、生産量が百倍以上になった。姚氏は「最初、当社は1日当たり2000食のタニシ麺しか生産できなかったが、今では30万~40万、繁忙期には60万~70万食生産できる」と胸を張った。
柳州市党委員会と市政府の指導により、現地のタニシ麺メーカーは相次いで工業化生産を実現し、「柳州タニシ麺」産業チェーンの売上高は上昇の一途をたどり、産業規模も拡大し続けている。2023年、柳州市の包装済みタニシ麺のメーカーは135社に増え、一定規模(年売上高2000万元)以上の工業企業は64社に、市レベル以上の農業産業化重点リーディングカンパニーは32社に達した。
「柳州タニシ麺」産業の発展により、現地で約30万人の雇用を創出した。螺霸王だけでも、柳州市内の20カ所以上の農業拠点と提携し、現地の農家500世帯以上の増収につなげ、1世帯当たりの平均年収が3万元以上増加した。悠久の歴史を誇る柳州市のご当地グルメであるタニシ麺は、工業化の思考パターンと現代的なマーケティング手法を取り入れて、世界各地への進出に成功し、「ビーフン経済」における「優等生」へと成長している。
※本稿は、科技日報「小小一碗粉 "嗦"出大产业」(2024年9月4日付8面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。