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【25-02】中国の大気中の二酸化炭素濃度、23年は2.3ppm増

付麗麗(科技日報記者) 2025年01月21日

 中国気象局は2024年12月に「中国温室効果ガス報告(2023年)」を発表した。それによると、2023年に青海省の瓦里関全球大気バックグラウンドステーションで観測された二酸化炭素(CO2)の年間平均濃度は421.4±0.1ppmで、北半球の中緯度帯の平均濃度とほぼ同じだった。2022年比では2.3ppm増加し、過去10年間の増加量の平均値(2.4ppm)をやや下回った。

 中国気象局科学技術・気候変動司の黄瑋副司長は「中国は13年連続で国内の温室効果ガスのモニタリング状況を発表している。衛星リモートセンシングのモニタリングによると、2023年、陸地エリアの大気中のCO2平均濃度増加量は、ここ10年(2014~23年)の平均増加量(2.4ppm)をやや下回った。メタンの年間平均濃度は2022年比で8ppb増の1986±0.6ppb、亜酸化窒素は0.8ppb増の337.3±0.1ppbと、世界の増加量を下回った。23年に中国の地域大気バックグラウンドステーションで観測されたCO2とメタンの濃度は、2022年比で増加傾向にあった」と説明した。

 黄氏によると、「中国温室効果ガス報告」は、中国気象局が気候変動対応や中国の「カーボンニュートラル・CO2排出量ピークアウト」の目標達成に必要な意思決定を支える報告の一つで、世界気象機関(WMO)が発表している「温室効果ガス年報」にも呼応している。WMOが24年10月に発表した第20号「温室効果ガス年報」によると、23年における世界の大気中の主要な温室効果ガス濃度は引き続き、観測装置による過去最高を更新した。年間平均濃度はCO2が2022年比2.3ppm増の420.0±0.1ppm、メタンが11ppb増の1934±2ppb、亜酸化窒素が1.1ppb増の336.9±0.1ppbだった。

 中国気象局はこれまで、世界大気バックグラウンドステーション1カ所、国外(南極)に設置した大気バックグラウンドステーション1カ所、地域大気バックグラウンドステーション7カ所、大気バックグラウンド試験ステーション10カ所、高精度温室効果ガスステーション120カ所からなる国家温室効果ガス観測ネットワークを構築してきた。「京都議定書」が削減・抑制を求める7カテゴリー30種類以上の温室効果ガスの観測を行い、観測、運営・監視、保守・校正、品質管理、応用・分析が一体となった温室効果ガスバックグラウンド観測業務システムを構築している。うち、瓦里関全球大気バックグラウンドステーションは、WMOが世界32カ所に設置している大気バックグラウンドステーションの一つで、30年の建設期間を経て、全天候で高密度の温室効果ガス観測を実現した。その観測データの信頼性と国際比較可能性は、国際社会で高く評価されている。

 黄氏は「中国気象局は今後、中国の主要な都市と地域をカバーする国家温室効果ガス観測ネットワークの構築を加速させ、大気中の温室効果ガスの高精度モニタリングと動的分析を強化し、二酸化炭素排出源・カーボンシンクの評価・算出技術の研究を持続的に推進し、中国の『カーボンニュートラル・CO2排出量ピークアウト』の目標を達成するために、効果的なデータ支援を提供していく」と説明した。


※本稿は、科技日報「2023年我国大气二氧化碳浓度增量略低于近十年平均水平」(2024年12月11日付5面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。

 

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