【23-09】山東省青島市:「十百千万」計画で「博士の頭脳」を誘致
宋迎迎(科技日報記者) 2023年07月13日
画像提供:視覚中国
中国山東省青島市政府は5月26日、「青島市の『十百千万』博士研究員のイノベーション・起業3年行動計画(2023~25年)」を発表した。
「十百千万」とは、25年までに同市全体で、博士研究員の人材とプロジェクトとのマッチングを図る「掲榜掛帥」(イノベーションプロジェクトのリーダーの年齢・職位にとらわれない自薦による公募)プロジェクトを10件成功させ、博士研究員向けステーション(拠点)100カ所を新たに設置し、博士研究員によるイノベーション・起業プロジェクトを千件育成し、青島でイノベーション・起業を行う博士研究員を累計1万人以上誘致することを目指すというものだ。
同市党委員会組織部副部長で、同市人力資源・社会保障局局長の劉学俊氏によると、「十百千万」計画では人材・産業・資金の各チェーンの相互融合と博士研究員のイノベーションプロジェクトの実施と成果実用化を重視し、博士研究員の誘致集結、博士研究員のイノベーション・起業プラットフォーム拡大、博士研究員のイノベーション・起業プロジェクト成果実用化、博士研究員の若手人材育成、博士研究員向けサービス向上の5つを実施することで、国際的影響力を持つ国内トップクラスの博士研究員人材地域を構築する。
青島市では計画に基づき、博士研究員支援策を実施。ステーション(拠点)に在籍する博士研究員について、ステーション運営機関との間で契約・合意に調印して社会保険料を納めている場合、関連規定を踏まえて2年連続で毎月最大1万3000元(1元=約20円)の生活費を支給する。ステーション(拠点)の外に出た博士研究員で、同市に居住して市内の企業・事業機関と3年以上の雇用契約を交わし、社会保険料を納めている場合は、最高40万元を支給する。
計画によると、青島市は24の重点産業チェーンに焦点を当て、「専精特新(専門化・精密化・特徴化・新規性)」の中小企業や、製造業の特定分野の優れた企業に照準を合わせ、全市博士研究員ステーション(拠点)備蓄庫を設立。「入庫」する企業の選抜育成を着実に進め、博士研究員ステーション(拠点)の「貯水池」を構築する。博士研究員ステーション(拠点)の「共同体」を創設し、全市の重点産業パーク、新興産業(人材)インキュベーション拠点の実際状況に基づき、プラットフォームの優位性を発揮し、入居企業を統合して、パーク主体の博士研究員ステーション(拠点)を設立する。さらに、ステーション(拠点)の総合評価を行い、上位10%に入ったステーション(拠点)には30万元を支給する。
同市はまた、博士研究員が関心を寄せる社会保障や昇進、キャリアアップ、賃金、福利厚生などに焦点を当て、支援・保障政策の制定・施行を統一的に推進している。博士研究員の子どもの教育や住宅保障などの問題を解決し、彼らが同市で発展を遂げるための環境構築に力を入れている。
ここ数年、青島市の良好な科学技術創造環境が多くの博士研究員を引き付けている。
同市は今年4月末までに累計6972人の博士研究員をステーションに誘致。ステーション在籍者は2761人、ステーションを出て青島にとどまった人が2753人となっている。同市の博士研究員数、プラットフォーム数はいずれも山東省内トップで、博士研究員の科学研究成果の実用化は350件に上り、これまでに生み出した付加価値は累計60億元を超えている。
※本稿は、科技日報「山东青岛:发布"十百千万"计划招"博"引智」(2023年5月29日付5面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。