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【25-12】上海の大学、産官学連携でドローン分野の専門人材を育成

李 均(科技日報記者) 2025年08月28日

 上海中僑職業技術大学(以下「中僑大学」)でこのほど、低空経済産業学院の除幕式典が開かれた。式典直前には、ヘリコプターが大学のグラウンドに着陸し、機体から降り立った乗組員らが、学生に対して「低空経済」(低空域飛行活動による経済形態)の実地授業を行った。

 式典当日、同大学では「低空経済産業産学融合新エコフォーラム」も開かれ、複数の政府系プラットフォームや研究開発・製造・応用系企業との協定が結ばれ、「上海湾区低空応用技術市域産学共同体」が発足した。これは、「産官学研」(企業・行政・大学・研究機関)の連携によって、低空経済における教育と産業の融合に向けた革新的な実践をさらに深め、産業発展の青写真を共に描いていくことを意味する。

 中僑大学は、上海市内で唯一、学部レベルの職業教育実証校として認定されている大学であり、長江デルタのドローン産業の中核エリアである上海市金山区に位置している。2018年8月、華東ドローン基地が金山区で稼働。19年に同大学ではドローン応用技術専攻の設立が承認され、20年に初の学生募集を行った。華東ドローン基地は、同大学ドローン専攻の学外実習拠点となり、学生に豊富な実践機会を提供してきた。

 大学は基地に入居する企業と協力して、ドローン育成プロジェクトを次々に実施し、数多くの専門トレーニングを共催。これまでに累計1000人以上の学生を募集・育成し、中国における民間ドローン分野の人材育成を力強く推進している。

 中僑大学情報工学学院の教員である丁丹鳳氏は、「学生たちはドローン技術を学ぶ際、機材を壊したり無くしたりするのを恐れて、なかなか思い切った操作ができない。そこで私たちは『壊しても、無くしても責任は問わないから、安心して思い切り使いなさい』と励ましている。また、私たちのドローン実験室10室は、24時間学生に開放されていて、いつでも自由に練習できる」と説明した。

 夏炎さんも、そうした教員の励ましの中で育った技能人材の一人だ。夏さんは22年に中僑大学ドローン応用技術専攻に入学した学生だ。現在、夏さんのクラスでは、44人の学生のうち半数が低空経済関連企業から内定を受けているという。夏さんは、「同級生たちは将来、ドローンの操作研修や巡回点検、3D測量といった仕事に就く予定だ。私自身、すでに5社から卒業後の入社を打診されている」と語った。

 中僑大学の曹雨平校長は、「今後は企業と連携して人材育成計画を共同で策定し、教育チェーン、人材チェーンと、産業チェーン、イノベーションチェーンの有機的な接続を実現していく。これにより、上海や全国の低空経済の発展のために、強固な人材の基盤を提供していきたい」と述べた。


※本稿は、科技日報「政企学研共育无人机领域专业人才」(2025年7月4日付)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。

 

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