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【20-006】メーデー5連休の消費指数から見る新型コロナ流行のターニングポイント―中国新型コロナ防疫リポート(1)

2020年05月21日

楊保志

楊保志(風生水起);広東省科技庁科技交流合作処副調研員

河南省潢川県出身。入学試験に合格し軍事学校に入学。26年間、軍務に就き大江南北を転戦し、その足跡は祖国の大好河山に広くおよび、新彊、甘粛、広東、広西、海南などの地域で銃を操作し弾を投擲した。メディア、組織、宣伝、人事などに関する業務に長年従事し、2013年末、広東省の業務に転じた。発表した作品は『人民日報』『光明日報』『中国青年報』『検査日報』『紀検監察報』『法制日報』『解放軍報』『中国民航報』などの中央メディアの文芸・学術欄に、また各地方紙、各軍関連紙軍兵種報紙にも掲載され、『新華文摘』『西部文学』『朔方』などの雑誌や、ラジオ、文学雑誌にも採用され、"中国新聞賞"文芸・学術欄銀賞、銅賞をそれぞれ受賞し、作品数は500篇に迫る。かつては発表を目的に筆を執っていたが、現在は純粋に「自分の楽しみ」のためとしている。

 5月1日から5日までのメーデー5連休を前に、中国国内の公共予測機関などが連休中の移動指数やその消費水準の予測を始めた。

 4月21日、中国社会科学院財経戦略研究院、中国社会科学院観光研究センター、社会科学文献出版社が発表した「観光緑書:2019-20年中国観光発展分析・予測」(旅游緑皮書:2019~2020年中国旅游発展分析与予測)によると、メーデー5連休中の旅行者数は延べ3,100万人で、観光収入は計165億7,800万元(約2,500億円)と予想。新型コロナウイルス感染症の流行により旅行者数は1億9,700万人減少し、その減少幅は86.4%に達し、観光収入も1,247億7,300元(約1兆8,800億円)減少、減少幅は88.27%に達すると予想していた。

 今年のメーデーは、中国が2008年に祝祭日のガイドラインを調整して以降初の5連休となった。中国観光研究院によると、今年の清明節(先祖を祭る中国の伝統的な祭日、今年は4月4日)にともなう3連休期間中の中国国内旅行者数は延べ4,325万4,000人だった。旅行サイト・携程網は、それを基に、メーデー5連休中の旅行者数は、清明節の2倍以上に達し、今年初の旅行のピークを迎えると予想した。

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5月1日、故宮博物院。故宮は1日当たりの入場者数を延べ8万人から5千人に制限した。
(撮影:中国新聞社記者・盛佳鵬)

 上記の予測では、いずれも楽観的な数字は並んでいない。しかし、実際に連休が半分を過ぎたあたりから、予測を大幅に上回る数字が発表されるようになった。

 人民網が中国文化・観光部(省)の情報を引用した報道によると、5月1日から4日の4日間で、中国国内観光者数は延べ1億400万人、観光収入は約432億3,000万元(約6,500億円)に達した。5月4日の1日だけを見ると、国内観光客数は延べ1,931万3,000人で、観光収入は約81億8,000万元(約1,240億円)に達した。

 省別に見ると、1日から4日の4日間に、湖南省がモニタリングしている省内の景勝地129ヶ所を訪れた観光客数は延べ219万2,000人、営業収益は1億2,548万9,900元(約18.9億円)に達した。

 広東省では、連休期間中、省全域におけるA級の景勝地426ヶ所のうち、72.5%に当たる309ヶ所が一般公開され、1日から4日の4日間に、モニタリングされている重点景勝地100ヶ所を訪れた観光客数は延べ200万9,000人だった。

 四川省では、連休期間中、省全域におけるA級の景勝地の91.2%を占める619ヶ所が一般公開され、1日から4日の4日間に、それらを訪れた観光客数は延べ580万2,000人、入場料収入は、7,553万4,500元(約11.4億円)に達した。

 山東省では、1日から3日の3日間に、省全域でモニタリングされている景勝地100ヶ所あまりを訪れた観光客数は延べ165万4,000人で、入場料収入は3,992万3,000元(約6億円)に達した。

 こうした数字は、事前の予測を大きく上回り、多くの人の気持ちを高揚させた。連休前には、中国全土各地の公務員や企業・事業機関の従業員向けに、省や市から出ないようにと求める通知が発表された。中には、教員や児童、生徒に対して学校再開まで、旅行で省や市から出ないようにと求める省や、中3・高3の生徒や教員に対して、学校から出てはならないと求め、全ての学校に対して出入りを厳しくチェックする「封鎖式管理」を行うよう求める地域もある。こうした人の移動を厳しく制限する措置が講じられる中、そのような目を引く数字が並んだのは、本当に予想外のことだった。

 5連休中の消費は、全般的に回復に向かっていた。上海は、経済活動促進イベント「五五購物節(55ショッピング・フェスティバル)」により、期待通りに消費が回復した初めての都市となった。共同購入サイト・聚劃算の統計によると、5月1日、2日の2日間に、上海の消費者がオンラインショップの「買い物かご」に入れた商品の数は前年同期比で2.4倍だった。旅行予約プラットフォーム・飛猪を通して、1日に上海の観光施設への入場・ホテルを予約したユーザーの数は、直近90日間で最高値を記録した。また、近場旅行が大人気となったことが追い風となり、崇明や金山などの観光消費が激増し、支付宝(アリペイ)の統計によると、崇明だけでも、オフライン決済の増加幅が約40%に達した。

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今年メーデー5連休は、地元旅行、省内旅行が旅行の特徴となった。画像は驢媽媽旅遊から

 クォークの統計によると、今年のメーデー5連休の旅行に関する検索総数は昨年より減少したものの、近場旅行の検索数は120%増だった。飛猪の統計によると、中国全土の旅行者が多い出発都市と旅行先をあわせて見ると、広州や深圳、上海、杭州、成都が、最も人気の出発都市であり、かつ最も人気の旅行先でもあった。また、近場旅行が主流だったため、高速道路の混雑が緩和され、家族と一緒に公園を散歩するという人が多かった。

 高徳の統計によると、北京で人出が最も多かったのは、オリンピック公園、朝陽公園、北京動物園で、上海ではサファリパーク、上海科技館、東方明珠、浙江省では杭州の西湖、湖北省では武漢市の中心にある東湖だった。

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「安全コード」をスキャンして入園する女性(画像は杭州西溪湿地が提供)

 公園でピクニックがメーデー5連休の新たなトレンドとなった。フードデリバリーサービス「Eleme」の統計によると、5月1日から3日、武漢公園へのデリバリーの注文数が4月同期比で4.3倍と、中国全土で最高の成長率となった。都市によって、公園でのピクニックで利用する人気のデリバリーもさまざまで、上海で一番人気なのはコーヒー、昆明は肉の串刺し、哈爾浜(ハルビン)は麻辣燙(ピリ辛風味の煮込み料理)だった。

 ますます多くの店が営業を再開するにつれて、ナイトタイムエコノミー(夜間経済)も次第に回復してきている。支付宝の統計によると、メーデー5連休で、ナイトタイムエコノミーはすでに90%回復した。阿里巴巴(アリババ)の現地生活の統計によると、4月30日から5月1日、上海の飲食店に対する「Eleme」を通じた注文件数が、前月比で4割以上増となり、営業を再開した事業者の数も同3割以上増となった。

 携程が発表した「2020『メーデー5連休』観光消費新トレンドビッグデータ報告」によると、メーデー5連休中、入場券をオンラインで事前予約できる景勝地の数は4,000ヶ所を超えている。携程の入場券のビッグデータによると、予約できる景勝地の数が最も多い省・市は、浙江省、江蘇省、広東省、山東省、四川省、河南省、雲南省、安徽省、広西チワン族自治区、江西省だった。これは、観光の回復や新型コロナウイルス感染症の収束を、別の側面から示している。

 アリババが5月5日に発表した「メーデー5連休」中の消費・行楽報告によると、新型コロナウイルス感染が流行後、初の大型連休で、人々の安全、衛生に対する意識が明らかに向上していた。5月1日から3日の3日間で、ショッピングサイト・天猫でのマスクの販売量は前年同期比で567%増、消毒系商品は同126%増だった。最も売れた商品は、除菌ウェットティッシュ、除菌ハンドソープ、消毒ハンドジェルなどだった。

 中国では昨年12月末に、新型コロナウイルス感染流行の警報が発令されて以降、ターニングポイントが間もなく到来すると複数回発表してきた。地域によって時期は異なるが、どの予測、判断にしても、感染者数のピーク値を最初の判断基準としている。つまり、新規感染者数が何日も連続で減少した場合、減少した1日目がターニングポイントとなり、退院者数の数が当日の新規感染者を超えた時も1つのターニングポイントとなる。また、新規感染者が0人となった時もターニングポイントとなり、全ての患者が退院して現在感染者数が0になった時が最後のターニングポイントとなる。

 そうしたターニングポイントにおいて、言及されていないのが人々の心理的ターニングポイントだ。それは、中国政府が全国両会(全国人民代表大会・全国人民政治協商会議)の開幕日を5月22日に決定した時だ。これは、新型コロナウイルス感染症の流行が間もなく過去のこととなり、それをコントロールできるという強い自信の表れだ。

 上記で列挙しているさまざま統計は表面的なものに過ぎず、そこには中国では新型コロナウイルス感染症流行が間もなく過去のこととなり、中国社会は間もなく回復して、正常な状態に戻るという物事の本質がそこに隠されている。

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寧夏銀川河東国際空港の保安検査場の入り口に設置されている発熱検査・健康コードチェックポイント