【24-06】中国、海外機関によるテクノロジー型企業への投資を支援
楊 雪（科技日報記者） 2024年06月21日
（画像提供：視覚中国）
中国商務部（省）や外交部、国家発展・改革委員会など10部門がこのほど、共同で発表した「海外機関による中国のテクノロジー型企業への投資のさらなる支援に関する若干の政策措置」は、海外機関の業務の特徴と中国国内のテクノロジー型企業の発展ニーズに焦点を当て、管理サービスの最適化、融資支援の強化、交流・協力の強化、撤退メカニズムの整備という4つの側面から16項目の具体的措置を打ち出している。
同措置の主な内容は、「1つのテーマ、2つの主体、3つの要素、4つの部分」に要約できる。「1つのテーマ」とは、質の高い発展をテーマに、金融による科学技術イノベーション支援を推進することを指す。「2つの主体」とは、投資サイドの海外機関投資家と資金調達サイドの中国テクノロジー型企業を指し、需要と供給の正確なマッチングを促進することを表す。「3つの要素」とは、「人員、資金、テクノロジー」に焦点を当てた総合的な施策を指し、人員の面では査証（ビザ）の需要を積極的に満たし、現地化経営を奨励する。資金の面では、直接投資関連の外貨管理を整備し、資金調達ルートを拡大し、資金調達構造を最適化する。テクノロジーの面では、先進製造業や「専精特新（専門化・精密化・特徴化・新規性）」企業の発展を支援し、資金が次世代情報技術や人工知能（AI）などの分野に流れるよう奨励する。「4つの部分」とは、海外機関の「資金募集－投資－管理－撤退」という4つの業務部分を指し、そこに焦点を当てて行き詰まりを打開する。
商務部財務司の責任者は「同措置は市場の需要に積極的に応えており、その内容は海外機関の『資金募集－投資－管理－撤退』の各業務部分をカバーしている。また、需要と供給のマッチング支援、撤退の円滑化、優遇策活用の利便化などの政府管理サービスも含まれている。これにより、政策環境の踏み込んだ最適化や海外機関投資家の中国における投資拡大の積極的な誘致において、重要な役割を果たすことが期待されている」と説明した。
融資は、テクノロジー成果の実用化において不可欠な部分だ。中国政府はここ数年、科学技術イノベーション金融制度と市場メカニズムを持続的に整備し、銀行の融資や債券市場、株式市場、起業・投資、保険、融資担保を含む全方位型で多層的な科学技術イノベーション金融サービスシステムを構築してきた。にもかかわらず、テクノロジー型企業の融資難などの問題が依然として一部存在しており、融資の障壁がまだ完全には打破されていない。
融資支援の強化は同措置が注力するポイントの一つとなっている。措置では、条件を満たす海外機関が中国で人民元建て債券を発行してテクノロジー分野に投資することを支援すると打ち出している。そして、中国全土で越境融資円滑化試行事業を推し進め、設立間もないテクノロジー型企業を試行事業の対象範囲に組み入れ、条件を満たす企業が限度枠内で自主的に外国債券を購入するのを奨励している。また、中国の銀行と海外機関の協力強化を支援し、「融資＋外部からの直接投資」などのビジネスモデルを規範化し、模索する。
海外機関が中国のテクノロジー型企業に投資する際、これまでは常に一定の障壁に直面してきたため、政策面でさらに質の高い公共サービスや利便性のある条件を提供し、資本の需要と供給の円滑な交流や正確なマッチングを促進することが急務となっている。商務部財務司の責任者は「同措置は海外機関から寄せられた情報に基づき、投資環境を積極的に改善し、参入申請や為替管理関連の政策措置を整備、明確化し、中国市場に参入したい海外機関の意向をさらに満たすことを目指している。また、海外機関が起業・投資やエクイティ投資などの関連分野で強みを活かせるよう支援し、協力メカニズムの整備、ニーズリストの作成、現地化経営の奨励などの手段を通じて、質の高いターゲットを十分掘り起こし、投資の効果的なマッチングを促進する」と述べた。
中国人民大学財政金融学院の趙錫軍副院長は「上記の措置は、資本市場のハイレベルな開放を示しており、資本市場の資源配分能力を高める上で非常に積極的な意義がある。また、海外の投資家に対して、新たな質の生産力の育成・成長に参加するよう呼び込み、中国経済と資本市場の恩恵を共有することにおいても、積極的な役割を果たすだろう」と指摘した。
シルクロード基金の丁国栄副総経理は「海外機関の中国テクノロジー型企業への投資をさらに支援するためには、より整備されたリスク評価メカニズムを構築する必要がある。第三者専門機関が質の高いリスク評価サービスを提供することを奨励し、海外投資家が中国の市場環境と企業の価値をさらに理解できるようサポートすることが重要だ」と語った。
※本稿は、科技日報「支持境外机构投资境内科技型企业」（2024年5月21日付6面）を科技日報の許諾を得て日本語訳／転載したものである。