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【25-06】「史上最も厳しい」モバイルバッテリー標準案、意見募集段階に

崔 爽(科技日報記者) 2025年12月10日

 中国でこのほど、強制性国家標準「モバイル電源安全技術規範」(意見募集稿)が工業・情報化部(省)のウェブサイトで公開された。意見募集期間は11月12日から12月11日までとなっている。

 新たな国家標準は旧標準と比べ、モバイルバッテリー本体、回路基板、電池セルという3つの主要技術で数十項目に及ぶ厳格な改良要求を提示しており、「史上最も厳しい」モバイルバッテリー安全標準と呼ばれ、大きな関心を集めている。

 なぜモバイルバッテリーの新たな国家標準が必要なのか。新標準は消費者にどのような影響をもたらすのか。これらについて、専門家に聞いた。

第一の問い:なぜモバイルバッテリーの新たな国家標準を策定するのか?

 複数ブランドの相次ぐトラブル、有名製品の「リコールラッシュ」、中国民用航空局による「3Cマークのないモバイルバッテリーの機内持ち込み禁止」......。今年に入り、モバイルバッテリーの安全問題が頻発している。中国民航科学技術研究院の統計によると、今年上半期に乗客が機内に持ち込んだモバイルバッテリーが発火・発煙する事故は15件発生し、前年同期比で約2倍に増加した。

 中国は世界最大のモバイルバッテリー生産国・消費国であり、その安全性は誰にとっても無関係ではない。これが「史上最も厳しい」とされる標準が打ち出された重要な背景となっている。

 同標準策定作業グループの関係者は、「近年頻発するモバイルバッテリーの事故は、製品の品質にばらつきがあり、安全上のリスクが多いことを浮き彫りにしている」と指摘。特に、飛行機や地下鉄、ショッピングモールなどの公共の場や、ユーザーが携帯している最中に問題が起きているという。これはモバイルバッテリー製品が他の電子機器とは異なる特性を持つことを示すとともに、消費者の生命・財産の安全をも脅かしている。

 同関係者は、「標準の策定によってモバイルバッテリーの管理に技術的根拠を提供し、参入ハードルを明確化することで、事故リスクを根本から引き下げることができる。同時に、製品の品質を引き上げ、粗悪品の氾濫を抑え、低品質な生産能力を淘汰することで、消費者の生命・財産の安全を確保する。新標準は、すでに公布されているモバイルバッテリー関連の2つの強制性国家標準および1つの推奨性国家標準と相互に補完し合い、連携して機能することになる」と述べた。

第二の問い:新たな国家標準はどのような新しい要求を提示しているのか?

 現行の標準と比べ、新しい標準は本体、電池セル、回路基板といったコア部分に対して踏み込んだ要求を提示している。

 意見募集稿では、表示に関して、従来の「ブランド名のみを表示する」方式を改め、製品名・型番、バッテリーの材料系統、製造日、推奨安全使用年数などの情報を製品の外装に必ず明記するよう求めている。

 新標準では、過充電、針刺し、圧迫、熱乱用などの試験項目を追加し、モバイルバッテリーが過充電・過放電、短絡、過負荷、誤操作などの状況下でも「発火せず、爆発せず、破裂せず、液漏れしない」ことを要求している。

 さらに、モバイルバッテリーに対し、スマート監視・スマート管理に関する要件も新たに設けている。スマート監視の対象情報には、バッテリーの電圧、温度、電流、異常電圧、異常温度などが含まれ、これらの情報はチップ内に記録され、すべてのユーザーが読み取れるようにする必要がある。スマート管理については、モバイルバッテリーに充放電電流の動的管理や過温保護などの機能を備えたスマート管理システムを搭載し、リチウムイオン電池のライフサイクル全体における安全性を確保することが求められている。

第三の問い:購入済みのモバイルバッテリーは影響を受けるのか?

 中国電子技術標準化研究院の関係者は、「新しい国家標準の施行時期はまだ確定していない。一般的に強制性国家標準は公布後に6~12か月の経過措置期間を設けてから施行される。今後は各方面からの意見を踏まえて適切な経過措置期間を設定した上で実施される予定であり、現在は意見募集段階にあって、最終決定には至っていない」と説明した。さらに、「現行の政策・法規に基づき、消費者がすでに購入し、3C認証を取得しているモバイルバッテリー製品については、新たな標準が公布されても影響を受けず、引き続き使用できる」と述べた。

 日常使用について、中国電子技術標準化研究院安全センター電池研究室の耿振峰主任は、「夏はモバイルバッテリーを直射日光の当たる車のフロントガラス付近に置かないこと、また、ペットにかじられたり、頻繁に投げたり落下させたりしないこと。バッグに入れる際には、ほかの物や工具などに強く圧迫されないようにすること」と注意を促した。


※本稿は、科技日報「"史上最严"标准将至 已获3C认证充电宝仍能继续使用」(2025年11月28日付)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。

 

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