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【07-006】着実に実績をあげる清華大学北九州研究室、北九州市などの支援を受けて日本で初めて設立

2007年9月20日

世界のトップ企業と学術協力関係を構築

 清華大学コンピュータ学部北九州研究室は2006年10月、日本の北九州学術研究都市で設立された。

 北九州市と北九州産業学術推進機構の支援を受けた、清華大学との国際協力プロジェクトであり、清華大学が日本で設立した初めての海外研究室である。清華大学コンピュータ学部の博士課程の学生やポストドクトラルの研究者たちが北九州研究室に常駐して関連の科学研究協力を行なっている。

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 北九州学術研究都市創設以来、清華大学コンピュータ学部Electronic Design Automation(EDA)実験室は毎年、学術研究都市内の複数の大学や企業と学術及び科学研究の協力を実施している。人員の行き来は頻繁に行なわれ ている。毎年、多くの清華大学の修士課程、博士課程修了生、或いは本科卒業生たちが早稲田大学に留学に来ている。

 北九州学術研究都市内の研究機関との協力を通じて、清華大学EDA実験室の一部の卒業生はすでに日本国内の企業に就職している。

  清華大学EDA実験室が学術研究都市内の研究機関や企業、特に早稲田大学との長期的安定した学術科学研究の協力関係を樹立することを促進するため、北九州 市と北九州産業学術推進機構は清華大学コンピュータ学部による清華大学コンピュータ学部北九州研究室の設立をサポートすることを決定した。清華大学コン ピュータ学部北九州研究室は早稲田大学と緊密に協力し、日本の企業及び研究機関と科学研究分野での協力を広範に行なおうとしている。

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  清華大学北九州研究室は現在主に以下の研究活動に取組んでいる。

  1. 構成可能なマルチコア・ローパワー・マルチメディア・チップデザイン及びその統合と検証
  2. マルチプロセッサSOCの物理的設計と最適化 アルゴリズム
  3. ナノテクノロジーのパラメータ抽出
  4. マルチプロセッサSOCの測定と検証
  5. 混合信号チップの物理的設計と最適化
  6. ナノテクノロジーのパワーと熱的効果の最適化
  7. 複合マルチプロセッサの高速シミュレーション
  8. 3D SOCの物理的設計
  9. XとYインターコネクションの最適化

 北九州学術研究都市には多くの半導体産業の研究開発関連企業や早稲田大学大学院、北九州工業大学大学院、北九州市立大学などといった学術研究機関 が集まっている。早稲田大学・後藤教授の研究チームはICシステムと設計、北九州市立大学・梶谷教授の研究チームはICの物理的設計などの分野で世界トッ プレベルの研究を行っている。この2つの研究チームはいずれも清華大学コンピュータ学部EDA実験室と長期的な学術協力関係を持っている。

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 現在早稲田大学の修士あるいは博士課程で勉強している清華大学の研究者が数十名おり、清華大学から複数のポストドクトラル研究者が早稲田大学でIC関連の研究に従事している。清華大学から来た研究者たちはすでに早稲田大学で優秀な研究成果を上げている。

  清華大学コンピュータ学部EDA実験室は長い間ICのコンピュータ援用設計(CAD)及びICのシステム構造についての研究を行っている。20年前に中国 初の独自の知的財産権を持つEDAソフトウェア「パンダIC CADシステム」の開発に携わった主要な研究機関の一つであった。数十年来、清華大学コンピュータ学部EDA実験室はICのハイレベル自動統合、パターン 検証、ICテスト、ICの物理的設計と最適化 アルゴリズム、ICのパラメータ抽出などの研究分野において世界の先進レベルに達した系統的な研究成果を収めている。実験室には現在教授5名、准教授4 名、博士課程の大学院生20数名、修士課程の大学院生30数名がいる。

 清華大学コンピュータ学部EDA実験室は、長期にわたる研究活動を通じて、米国のIntel、Synopsys、日本の東芝、Jedat社などと良好なプロジェクト研究協力関係を築き、米、日、欧の一流の大学と良好な学術協力関係を築き上げている。

 清華大学コンピュータ学部EDA実験室を卒業した修士、博士たちは数々のIC研究開発と関係のある世界有名な研究機関や大企業で活躍している。

董 社勤

董 社勤:清華大学コンピュータ学部 准教授

略歴

1985ハルピン工業大学コンピュータ理学士、 88年半導体物理デバイス専攻修士、 96年コンピュータ機械制御専攻博士。
90−96年中国初のコンピュータイメージジェネレーター(リアルタイムリアリティーグラフィックプロセッサー)の研究に従事。
97−99年浙江大学のCAD&CG国家重点実験室ポストドクトラル研究員を経て、現在、清華大学コンピュータ学部EDA実験室主任・准教授。
最近取組んでいる主な研究テーマは、IC CAD、並列アルゴリズム、最適化アルゴリズム、マルチメディアチップデザインなどである。