【23-40】ビッグデータ産業発展の方向性を示す10のキーワード
劉 艷(科技日報記者) 2023年08月15日
中国のビッグデータ産業は長年の発展を経て、持続的に向上・好転する発展傾向を示しており、2022年の産業規模は1兆5700億元(1元=約20円)に達した。中国はここ1年近く、ビッグデータ産業の政策が絶えず更新され、産業の基盤は日増しに強固になり、さらに大きな発展の余地が生まれている。
中国通信標準化協会と中国情報通信研究院が6月26日、北京で「2023ビッグデータ産業発展大会」を共催した。大会では、ビッグデータ産業の発展の方向性を正確に見定めることを目的として、同研究院の重要研究成果である「2023年ビッグデータキーワードベスト10」が発表された。
中国情報通信研究院クラウドコンピューティング・ビッグデータ研究所の何宝宏所長によると、このキーワードベスト10には「データレイクハウス」「データ資産化」「DataOps」「データサービス」「拡張分析」「データ倫理」「データ基礎制度」「パブリックデータ運営権限付与」「データセキュリティリスク評価」「データ越境移転」が選出された。
何所長は「『キーワードベスト10』は政策や理念、セキュリティ、技術といった、データ要素の価値を引き出すためのあらゆる側面をカバーしており、中国のビッグデータ産業が既に、政策が主導し、理念が先行し、技術が支援し、セキュリティが保障となる健全な発展の枠組みを作り出していることを示している。今年の発展の重点はデータの業務活性化や内・外部の融合、セキュリティの基盤を引き続き固めることだ」と強調した。
「セキュリティの基盤を重点的に固める」理由について何所長は、「ビッグデータや人工知能といった新技術の急速な発展は、技術革新と経済の発展を促したが、同時に、ビッグデータを利用した常連客への不当な価格提示、個人データの流出、データの乱用、悪質コンテンツのプッシュ通知といった現象も多発するようになり、人々の伝統的な倫理的価値が大きな課題に直面している。ビッグデータ応用のマイナス効果は決して軽視できない」と説明した。
何所長はさらに「2021年から、中国はデータセキュリティや個人情報保護、科学技術倫理といった問題に対し、複数の法律・法規を打ち出してきた。データ倫理ガバナンスの枠組みを構築し、科学技術が良い方向に発展するよう推進するのがその目的だ。整備されたデータ倫理ガバナンス体系の構築は、デジタル経済の健全な発展を保障する上で必要な条件で、政府、企業、社会の各方面が共に努力しなければならない」との見解を述べた。
中国情報通信研究院クラウドコンピューティング・ビッグデータ研究所ビッグデータ・ブロックチェーン部の姜春宇主任の発言通り、全てのデータ利用において、セキュリティの保護が大前提となる。一つの企業内でやり取りするデータを保護するのは比較的容易だが、主体や分野、業界をまたいでやり取りする場合、セキュリティ管理システムの構築が非常に重要な任務となる。
何所長は「新たな生産要素としてのデータを、生産、分配、流通、消費、社会サービス管理の各部分に速やかに融け込ませるとなると、データセキュリティに対する要求も高くなる。データセキュリティの重要部分としての『データセキュリティリスク評価』が注目を集めている。リスク回避という目標に基づいて実施されるデータセキュリティは、業務の健全なデジタル化発展のために必要不可欠なものだ。データセキュリティリスク評価は、データセキュリティガバナンスの重要な足掛かりとなる」と語った。
中国情報通信研究院の王志勤副院長は「当研究院は引き続きビッグデータ技術、産業、応用について研究を掘り下げ、『信頼できるビッグデータ』や『信頼できるデータ流通』『信頼できるデータセキュリティ』の評価体系を構築している」と説明した。
同研究院は今回の大会で、今年1~6月における「信頼できるビッグデータ」や「信頼できるデータセキュリティ」といった一連の評価結果を発表した。34機関の製品39種類が厳格なテスト、審査をクリアした。
※本稿は、科技日報「10大关键词勾勒大数据发展方向」(2023年7月3日付6面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。