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【24-27】科学技術イノベーションが都市の質の高い発展の原動力に

李 禾(科技日報記者) 2024年03月28日

 中国北京市で行われた「2024首科新年フォーラム:都市の質の高い発展の新たな原動力を再構築」で、首都科技発展戦略研究院院長の関成華教授は「イノベーション駆動発展戦略の深化に伴い、中国は北京、上海、粤港澳大湾区(広東・香港・マカオ・グレーターベイエリア)の3大国際科学技術イノベーション中心地の建設を展開した。また、各地で地域科学技術イノベーションの中心地が持続的に構築されており、武漢や南京、成都、重慶などで地域イノベーションの先進地が形成された。中国の科学技術イノベーションは急成長の段階に入っている」と述べた。

 首都科技発展戦略研究院はフォーラムで「中国都市科学技術イノベーション発展報告書(2023)」と「首都科学技術イノベーション発展指数」を発表した。

 同報告書によると、中国ではイノベーション型都市の建設ペースが上がっている。国家自主イノベーションモデルエリア23カ所と国家ハイテクエリア178カ所の発展ペースと質が共に向上し、それぞれが独自色を持つイノベーションクラスターが形成された。珠江デルタや長江デルタ都市クラスターを始めとするイノベーションクラスターでは、市場化の程度がより高く、開放水準もより高い。長江経済ベルトの11省・直轄市は、科学技術イノベーション発展指数が全体的に優れている。

 首都科技発展戦略研究院の劉楊院長補佐は「資本力や産業の基礎などのイノベーション資源の条件は都市によって異なり、差別化、相互補完性、協同性などの特徴があり、全体的に『抜きつ抜かれつ』という良好な傾向を示している。この良好な競争と協力において、各都市は各自の優位性を十分発揮し、国の科学技術イノベーション水準の持続的な向上を共同で推進している」と述べた。

 北京は科学技術イノベーションが急成長している典型例だ。同指数によると、北京の科学技術イノベーションの発展水準が着実に向上し、全体的にペースが緩やかで質が高く、長期的に安定しているという流れを示している。イノベーションサービスの質が持続的に向上し、高水準技術市場のブレイクスルーも実現している。北京では23年、認定登録された技術契約が初めて10万件、取引額が8000億元(1元=約21円)を突破した。

 劉氏は「中国は現在、科学技術イノベーション分野で世界的影響力を持つようになった。しかし現在はオリジナルのイノベーション力の向上、科学技術体制・メカニズム改革、科学技術人材の育成などの面で、依然として課題に直面している」と指摘した。

 中国科学技術評価・成果管理研究会理事長で、国務院参事の賀徳方氏は「都市は科学技術イノベーションの空間的担い手だ。一方、科学技術イノベーションはすでに都市のトランスフォーメーション・高度化、人材集積、インフラ整備、科学的ガバナンス、質の高い発展を実現する重要な原動力となっている。科学技術イノベーションによる都市の質の高い発展の推進は、戦略と計画をしっかり行い、都市発展の重点産業、科学技術イノベーションの取り組みの方向性と突破口を明確にするべきだ。これを踏まえた上で、科学技術イノベーション重要プロジェクトの計画と展開を進んで行い、先頭に立って重要科学技術の研究開発と成果応用実証を組織する。科学技術体制改革のシステミックデザインを強化し、科学技術管理からイノベーションサービスに変化させ、資源の共同建設と共有を推進する。人材の誘致・育成・活用をしっかり行い、科学技術イノベーションを支援する大きな活力を形成する。都市重点産業の重要共通技術の需要について、基礎研究、技術イノベーション、成果の実用化を一体化した全チェーン科学技術イノベーションプラットフォーム体系を構築し、イノベーションの効果を高めるべきだ」と語った。


※本稿は、科技日報「科技创新已成为城市高质量发展关键引擎」(2024年2月2日付5面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。

 

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