【24-45】医療用大規模言語モデル「CARES Copilot 1.0」が公開
陸成寛(科技日報記者) 2024年05月23日
中国科学院自動化研究所と中国科学院香港イノベーション研究院が共同開発した医療用マルチモーダル大規模言語モデル「CARES Copilot 1.0」がこのほど、香港で発表された。
同モデルは、医療分野に特化した大規模言語モデルシステムで、画像やテキスト、音声、動画などのマルチモーダル手術データをディープラーニングし、動作や映像・画像、バイタルサインなどの医療情報を正確に識別・解析できる。実際の応用では、臨床医に手術段階の詳しい分析・報告を提供するほか、医療技術の向上につながる手術のリスク・質の評価を提供することも可能だ。
中国科学院香港イノベーション研究院人工知能(AI)・ロボットイノベーションセンターで執行主任を務める中国科学院自動化研究所の劉宏斌研究員は、「『CARES Copilot 1.0』は大規模言語モデルの幅広い知識と小規模モデルのプロフェッショナルで高精度というメリットを組み合わせたもので、ハイレベルな画像・動画の意味抽出ができるほか、言語モデルを活用して、より深く理解し、医学のマルチシーン・マルタスクに対する理解・処理の面で顕著な進展を遂げ、手術の段階的識別、器具と解剖学的構造のセグメンテーション、器具の検出とカウント、磁気共鳴画像(MRI)の高解像度画像の生成といった機能を効果的にサポートする」と説明した。
同モデルはさらに、3000ページ以上の複雑な手術教材を処理することができ、若手医師を対象にしたトレーニング・教育の面で実用性が極めて高い。また、ディープ検索機能を通じて、手術教材や専門家のガイドライン、医学論文など専門的なドキュメントの情報を迅速かつ正確に抽出することができるほか、提供する回答は信頼性が高く、追跡可能だ。
劉氏は「香港の複数の病院の診療科で『CARES Copilot 1.0』の実地テスト・最適化が実施され、手術のスマートサポートツールとしての基礎的機能・キーテクノロジーの検証が行われた。研究チームは今後、医療のスマート化実現を推進し、スマートヘルス産業に一段と強力な技術的支援を提供していく」と語った。
※本稿は、科技日報「CARES Copilot 1.0大模型发布并开放」(2024年4月1日付6面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。