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【24-82】「断続的断食」と「持続的少食」、減量効果が高いのは?

宗詩涵(科技日報記者) 2024年08月29日

 断続的な断食と持続的な少食はどちらも体重に影響を与えるが、この2つの食事方法が腸内フローラ(腸内細菌叢)にどう影響を及ぼすかについてはまだ明らかにされていない。

 米スキッドモア・カレッジの研究者が実施した小規模なテストでは、断続的な断食やタンパク質比率を設定した食事方法は、カロリー制限や心臓に負担をかけない食事をした場合と比べて、腸内フローラの多様性を増やすことがわかった。この発見は、腸内フローラと人体の代謝の関係を理解するのに役立ち、体重管理プラン作成の参考になる可能性がある。関連論文はこのほど、学術誌「ネイチャーコミュニケーションズ」に掲載された。

最適な減量方法はどれか?

 断続的断食とは、食事の時間を制限してエネルギーを不足させることによって、体重と代謝を改善することを指す。断食の時間設定に応じて、断続的断食には複数の方法がある。

 北京大学人民病院臨床栄養科の張家瑜栄養士は「一般的な断続的断食の方法には『5+2』と『16+8』の2種類がある。前者は1週間のうち5日間は普段通りの食事をして、残り2日間はエネルギーの摂取量を厳しく制限する方法だ。後者は毎日8時間以内に飲食を済ませ、残り16時間は何も食べないというものだ。これまでの研究によると、断続的断食は体重や血糖値、体脂肪、血圧を低下させ、体内の炎症マーカーを減少させることがわかっており、過体重や肥満の人にメリットがある」と説明した。

 断続的断食の他に、もう一つの一般的な減量方法として、持続的な少食がある。張氏によると、持続的な少食はエネルギーを制限するバランスの取れた食事により1日のエネルギー摂取量を減らし、減量効果を高めるものだ。これまでの研究によると、過体重や肥満の人にとって短期間(例:6カ月間)のカロリー制限は効果的に体重を減少させるだけでなく、心血管系の健康指標を大幅に改善し、インシュリン感受性やミトコンドリア機能を高め、血糖値や血中脂質の低下をもたらすなどのメリットがあるという。

 これら2つの減量方法は効果的に体重を減少させることが確認されているが、どちらが優れているかについては、まだ結論が出ていない。

 最新の研究では、過体重または肥満の人41人をサンプルとして、8週間のテストを実施し、これらの食事制限効果を比較した。継続的な少食をする方を「カロリー制限グループ」、断続的断食とタンパク質比率設定をする方を「IF-Pグループ」とした。

 テストの結果、どちらも腸内フローラに著しい影響を与えることがわかった。「IF-Pグループ」は「カロリー制限グループ」に比べ、胃腸に軽・中度の症状が現れる割合が低かったほか、内臓脂肪がより多く減り、腸内フローラの多様性が増した。また「IF-Pグループ」は痩せた体型と関連する特定の腸内フローラが増加し、体重減少に関連する循環サイトカインや脂肪酸化に役立つアミノ酸代謝物も増えた。

 張氏は「研究結果からわかったのは、断続的断食をしつつタンパク質比率を設定する食事方法は、肥満管理の効果という点で持続的な少食よりも効果が高いということだ。胃腸に不快感が出にくく、腸内フローラの多様性も増し、減量効果もより顕著だった。しかしこの研究には『サンプル数が少ない』『制限を実施した時間が短い』などの限界もあるため、今後より大規模で長期にわたるテストを行い、検証を進める必要がある」と指摘した。

むやみな減量は避けるべき

 減量の基本原理は体のエネルギーバランスを整えることにある。つまり、エネルギー摂取量を減らしてエネルギー消費を促進するというものだ。張氏は「体がエネルギー不足になると、まずブドウ糖を消費する。ブドウ糖を消費し尽くすと、肝臓に蓄えられたグリコーゲンをエネルギーとして利用する。グリコーゲンがなくなると、脂肪組織内のトリグリセリドが分解されて脂肪酸とグリセリンになってエネルギーを生み出し、減量の目標が達成される」と説明した。

 張氏は「断続的断食でも持続的な少食でも、体のエネルギーバランスを調整する際には、タンパク質や微量元素の摂取不足に注意する必要がある。タンパク質が不足すると筋肉が失われ、ビタミンとミネラルが不足すると生理機能や感情の安定に影響を与え、脱毛などの問題が起こることもある。胃腸に不快感が出ることもあり、耐えられないほどの空腹感や、胃酸の分泌過多による胃粘膜への刺激などが起こることがある。それゆえ、減量は専門家の指導の下で行うべきであり、段階的に進める必要がある。急激な体重減少によって、脂肪と筋肉が同時に失われることがないようにすべきだ」と強調した。

 減量開始前の注意点としては「始める前に一度、肥満の原因を全面的にスクリーニングすることがとても重要だ。これは甲状腺機能低下やインシュリン抵抗性、多嚢胞性卵巣症候群など、病理的要因による体重増加の可能性を排除するためだ。病理的要因がないことを確認してから減量を始めるほうが安全で、特に血糖値に異常がある人は、無計画な食事制限は低血糖を誘発する可能性があり、この点を軽視してはいけない」と注意を促した。

 さらに張氏は「万人に適した減量の方法はない。胃腸に疾患がある人は、胃腸の不快感を増進させるような減量や食事方法は避けるべきだ。また、甲状腺機能亢進症の患者や、妊娠・授乳中の女性も減量には慎重でなければならない。また、高齢者は消化吸収機能が低下しているため、断続的断食をすると栄養失調になるリスクが高まる可能性があり、特に注意しなければならない。減量方法には絶対的な優劣はなく、重要なのは自分に合った方法を選択し、専門医の指導の下で行い、安全で効果的な減量を行うことだ」と述べた。


※本稿は、科技日報「肠道菌群当"裁判" 选出减重好方法」(2024年7月23日付8面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。

 

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