【24-83】五輪・パラリンピックのメダルはどのように作られているのか
都 芃(科技日報記者) 2024年08月30日
2024年パリパラリンピックのメダル。
2024年パリ五輪が終了し、パリパラリンピックが幕を開けた。今回のパラリンピックでは22競技、549種目が行われ、約160カ国・地域から4000人以上の選手が参加し、メダルを争う。
オリンピックとパラリンピックのメダルには金、銀、銅の3種類があるが、それぞれのメダルは必ずしも単一の金属で作られているわけではない。
これらのメダルは一体どんな材料を使っているのか。また、開催国はメダルのデザインや制作において、どのようなイノベーションを行っているのか。科技日報の記者がこれらの秘密を探った。
金メダルの主な素材は銀
金、銀、銅の3種類のメダルの中で、金メダルは最高の栄誉を象徴するが、純金で作られているわけではない。
「オリンピック憲章」によると、メダルは直径60ミリ以上、厚さ3ミリ以上でなければならず、金メダルと銀メダルは少なくとも純度92.5%以上の銀で作らなければならない。また、金メダルは少なくとも6グラムの純金で金張り(またはメッキ)する必要がある。実際、金メダルの主な素材は銀で、例えば2024年パリ五輪の金メダルは、重さ529グラムのうち6グラムがメダルにメッキされた純金であり、残りの505グラムが銀、18グラムが鉄だった。
金メダルの主な材料として銀が選ばれる理由は、一つには金の価格が高く、金メダルをすべて純金で作ると製造コストが大幅に増加するためである。もう一つは、金は延性が高く柔らかいため、純金で作られた金メダルは変形しやすく、長期間の保存には適さないからである。
これに対して、銀メダルはより純度が高く、例えば、2012年ロンドン五輪の銀メダルは100%純銀で作られている。
銅メダルの成分はさらに複雑である。一般的にオリンピックとパラリンピックの銅メダルは純銅製ではない。国際オリンピック委員会(IOC)の公式サイトによると、2016年リオ五輪と2020年東京五輪で授与された銅メダルは95%の純銅と5%の亜鉛で作られていた。また、2004年アテネ五輪の銅メダルの主な成分は青銅(純銅にスズや鉛を加えたもの)であり、2012年ロンドン五輪の銅メダルは97%の銅、2.5%の亜鉛、0.5%のスズで作られていた。
銅メダルの成分が複雑な理由は、銅の硬度が低く、柔らかいためで、メダルの硬度と耐久性を向上させるために、一定の割合で亜鉛やスズを加える必要がある。しかし、加えられた金属は空気中の酸素と結びつき、くすんだ銅錆を形成する。
このことは、2024年パリ五輪のスケートボードで米国のナイジャ・ヒューストン選手が獲得した銅メダルが、変色してしまった原因をある程度説明している。
メダル制作の工夫
メダルのデザインと制作において、オリンピックとパラリンピックの開催国は一定のイノベーションを行っている。
メダルが酸化して変色しやすい問題に対して、中国は2022年北京冬季五輪のメダル表面に特殊な処理を施した。
中央美術学院オリンピックアート研究センター常務副主任の杭海氏は、2008年北京五輪と2022年北京冬季五輪のメダルデザインに携わった。杭氏によると、北京冬季五輪のメダル表面には特殊な保護膜が塗布された。しかし、この保護膜を均一に塗布することは容易ではなく、不均一に塗布されるとメダルの光沢に影響を与えるため、この時のメダルの保護膜はすべて、上海造幣局の一人の作業員によって塗布された。
環境に配慮した低炭素の運営は、ここ数回のオリンピックとパラリンピックで重要な開催理念となっている。主催者はメダル制作においても環境保護を追求し続けている。
2016年リオ五輪では、メダルに多くのリサイクル素材が使用された。銀メダルの製造に使われた銀の一部は、古い自動車部品やX線フィルム、割れた鏡から再利用されており、銅メダルの一部の素材はブラジル造幣局の廃銅から作られた。また、メダルのリボンは回収された古いプラスチックボトルから作られた。
2020年東京五輪では、主催者は「廃棄物からの錬金術」という方法を採用し、約7万9000トンの小型家電と621万台の古い携帯電話から純金32キロ、純銀3500キロ、銅2200キロを抽出した。これらの材料は最終的に一枚一枚のメダルに加工され、環境に優しい運営理念を示した。
※本稿は、科技日報「奥运会、残奥会奖牌是如何制作的」(2024年8月26日付8面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。