【25-027】低ナトリウム塩摂取で脳卒中再発リスク低減の可能性
朱 虹(科技日報記者) 衣暁峰(科技日報通信員) 2025年03月19日
通常の塩の代わりに低ナトリウム塩を摂取することで、脳卒中の再発リスクが14%、全死因死亡リスクが12%それぞれ下がり、高カリウム血症のリスクが高まったり、症状が悪化することがないという。ハルビン医科大学公共衛生学院と武漢大学公共衛生学院、昆山杜克大学(昆山デューク大学)グローバル健康研究センターの共同研究により、このような結果が明らかとなった。研究成果は米医学誌「JAMA Cardiology」に掲載され、「一般成人は低ナトリウム塩を摂取したほうがよく、特に高血圧患者や心血管疾患のリスクが高いグループは低ナトリウム塩を強く勧める」との評論も記載されている。
研究チームは「低ナトリウム塩と脳卒中の関係に関する研究」について収集した大規模なデータに基づき、あらかじめ設定したサブグループごとの詳細な分析を実施した。データは中国北部5省600村で暮らす脳卒中既往歴のある1万5249人を対象にしたもので、研究チームは追跡調査期間中、脳卒中再発事例2735件と死亡に至った事例3242件を記録した。研究結果によると、脳卒中患者が通常の塩を摂取し続けた場合と比べ、低ナトリウム塩を摂取すると、脳卒中再発リスクが14%、全死因死亡リスクが12%それぞれ低下し、高カリウム血症リスクが増大しないことがわかった。この結果は、脳卒中の二次予防に重要なエビデンスを提供している。
武漢大学公共衛生学院の閻麗静教授によると、低ナトリウム塩を摂取したグループの収縮期血圧(上の血圧)が、平均2.05mmHg低下した事実から、今回の観察結果は、低ナトリウム塩が血圧を下げたり、心血管予後を改善することを助けるという結論をさらに裏付けるものとなり、低ナトリウム塩が脳卒中や心血管疾患全般、早期死亡などを減少させる直接的な臨床的証拠を提供している。
今回の研究はさらに、低ナトリウム塩の摂取による脳卒中再発リスクの予防効果が、出血性脳卒中や原因不明の脳卒中において、虚血性脳卒中よりも優れていることを示しており、血圧管理の病理メカニズムの違いと関係する可能性があると推測された。ハルビン医科大学公共衛生学院の田懋一教授は「高血圧は、出血性脳卒中の直接的原因となりやすいが、低ナトリウム塩の摂取によってナトリウムの摂取を減らし、カリウムを補う『足し算と引き算』によって、特に収縮期血圧を効果的に下げることができる。その結果、血管破裂によって発生する脳卒中を根本的に回避することができる。また、高ナトリウム食は、血管内皮損傷や酸化ストレスを悪化させる可能性があり、カリウムを補うと、これらの有害な作用をある程度相殺する可能性がある」と説明した。
※本稿は、科技日報「改吃低钠盐有望降低脑卒中复发风险」(2025年2月25日付8面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。