【25-113】超伝導量子コンピューター「天衍-287」が完成
洪敬譜(科技日報記者) 沈勁松(科技日報通信員) 2025年12月08日
中国電信量子研究院はこのほど、「祖沖之3号」と同型のチップが搭載された超伝導量子コンピューター「天衍-287」が完成したと発表した。同システムは105個のデータ量子ビットと182個の結合量子ビットを備えており、中国電信量子情報科技集団と科大国盾量子技術の合同チームが構築と調整を行った。
この量子計算システムは「量子計算の優越性」を備えており、処理速度は現在最速のスーパーコンピューターの4億5000万倍に達する。将来的には量子計算クラウドプラットフォーム「天衍」に接続し、世界の利用者に向けてサービス提供を開始する予定だという。
中電信量子集団の量子計算上級研究員で、測定・制御チーム責任者の張鑫方氏によると、今回の構築では「国産」「AIによる効率化」「スパコンと量子計算の融合」という三つの技術的ポイントがあるという。
第一に、装置の構築に使用した超伝導量子コンピューターのハードウェアや部品がすべて中国製であること。大容量の希釈冷凍機や低温部品など主要部品はすべて国内メーカーが研究開発・製造を行い、中国電信が中心となって国産サプライチェーンを形成した。
第二に、チームはAIを利用した超伝導チップのパラメーター自動校正システムを独自開発し、高効率かつ高精度での自動校正とメンテナンスを実現した。
第三に、中電信量子集団はこの量子コンピューターをスーパーコンピューター「天翼雲」と同じデータセンターに設置し、ハードウェア同士を直接接続することで高い帯域を確保し、量子計算とスーパーコンピューターの低遅延な連携を実現した。これにより計算リソースの協調運用を進めるとともに、ハードウェア、ソフトウェア、クラウド、エコシステムを含む国産量子計算ツール体系の構築を進めている。
中電信量子集団は2023年11月、量子計算クラウドプラットフォーム「天衍」を発表し、天翼雲のスーパーコンピューティング能力と176量子ビット超伝導量子計算能力の融合を実現した。「天衍」のアクセス数は現在3700万回を超え、中国内外60以上の国・地域のユーザーが利用しており、実行された実験タスクは270万件を超えている。
中電信量子集団量子計算・精密測定事業部総経理の査子竜氏は、「より多くの産業利用者や研究機関に計算能力を提供し、量子計算の応用領域をさらに広げたい。量子計算分野における競争力と影響力を継続的に高めていきたい」と述べた。
※本稿は、科技日報「超导量子计算机"天衍-287"建成」(2025年11月20日付)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。