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【25-114】中国科学院の研究者ら、原子量子計算の新たなアーキテクチャを提案

操秀英(科技日報記者) 2025年12月09日

 中国科学院精密測量科学・技術革新研究院の詹明生氏と許鵬氏の研究チームが、中性原子量子計算分野で進展を遂げた。同チームは光ファイバーアレイに基づく原子量子計算の新たなアーキテクチャを提案し、実験で検証した。この成果は、中性原子量子計算において「高い並列性」「高速」「高安定性」を同時に実現することが難しいという課題を解決した。関連成果は学術誌「Nature Communications」に掲載された。

 研究チーム責任者である許氏は、「原型システムでは光ファイバーアレイで形成された光トラップ内に10個の単一原子を安定して閉じ込めることに成功し、2次元原子アレイにおいて高忠実度な『任意単一ビットゲート』の並列操作を初めて実証した。さらに、2つの原子間でリドベルグブロッケード効果をはっきり観測した。これは高忠実度の2ビットゲートを実現するための重要な物理的基礎だ。このアーキテクチャは、チャネルを複製することで規模拡大が可能であり、集積フォトニクスチップにも対応している。大規模中性原子量子計算の実現に向け、新しいルートを提供する」と述べた。

 中性単一原子アレイは、拡張性、高忠実度ゲート操作、長いコヒーレンス時間、再構成可能な接続性などの特徴を備えており、大規模でフォールトトレラントな量子計算に向けて最も有望なプラットフォームの一つとされる。しかし、効率的かつ正確な単一原子操作をどのように実現するかは、このシステムを実用化する上で最大の課題だった。

 研究チームはこの課題に対し、光ファイバーアレイに基づく新たな原子量子計算アーキテクチャを打ち出した。同案は各量子ビットに独立した光ファイバー制御チャネルを割り当てることで、システムが任意の原子を同期・高速・高精度に操作できるようにし、実験により「速くて正確」な原子アドレッシング技術のブレイクスルーを実現した。

 許氏は、「NISQ(ノイズのある中規模量子)時代において、単一原子操作の効率と精度は量子計算の実用化プロセスを直接左右する。これまで国内外の研究チームは大規模原子アレイシステムで成果を上げてきたが、アドレッシング技術の制約が性能向上を常に妨げていた。我々のアーキテクチャは光ファイバー並列設計により、高精度と高効率は両立できないという矛盾を根本的に解決し、中性原子量子計算が次世代の大規模な応用段階へと進むための重要な技術的基盤を提供した」と述べた。


※本稿は、科技日報「我科研团队提出原子量子计算新架构」(2025年11月11日付)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。

 

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