科学技術
トップ  > コラム&リポート 科学技術 >  File No.26-007

【26-007】研究成果の産業化を支える「選定・育成・マッチング」

付麗麗(科技日報記者) 2026年01月23日

 フォトニクス分野では現在、研究成果の社会実装の動きが活発化している。このほど、上海で開催された「好望角サイエンスサロン」フォトニクス特別イベントには、科学者やテクノロジー企業の創業者、投資機関の責任者など約100人が集い、フォトニクス分野の社会実装をさらに推進する方法について議論を交わした。参加者は、優れた方法があれば、技術成果が産業化の過程で障害にぶつかる事態を減らせるとの見方を示した。

 基調講演を行った中国科学院上海光学精密機械研究所の張竜所長は、「大学や研究機関の年間研究費は1兆元(1元=約23円)近い規模に達しているが、成果の社会実装率は5%未満にとどまっている。問題は技術が不足していることではなく、社会実装の方法が十分に『使いやすい』ものになっていない点にある」と指摘した。

 張氏は杭州光学精密機械研究所を例に挙げ、「アルゴリズム」の具体的な実践例を紹介した。その中核は、「集積-インキュベーション-投資-社会実装」からなるエコシステムを構築し、科学技術成果の「選定-育成-マッチング」という論理に従う点にある。

「選定」とは専門家が「種を選ぶこと」であり、技術委員会や投資諮問委員会などのメカニズムを通じて、プロジェクトを的確に選定することだ。「育成」は最も重要なプロセスで、技術研究開発センター、専門化された投資プラットフォーム、公共サービスシステムを活用して「苗を育成」し、質の高い成長を確保する。「マッチング」とは、専門投資機関や移転・実装センターが有望案件を選び、最適な受け皿へつなぐことで、成果を適切に社会実装へ導くことである。杭州光学精密機械研究所は2019年の設立以来、60以上の技術チームを導入し、600人余りの研究開発者を集めてきた。この中には国家レベルのトップ人材40人余りと、院士(アカデミー会員)2人が含まれている。

 優れた「アルゴリズム」による指針に加え、フォトニクス産業の発展過程で直面する現実的課題をいかに解決するかも、今回の議論の重要なテーマとなった。

 中国科学院物理研究所の魏紅祥研究員は、「フォトニクス産業の長期的発展はシステム工学であり、基礎研究、分野横断的な連携、そして長期的な合意形成がそろって初めて成り立つ」と述べた。

 多くのフォトニクス企業は技術主導型であるが、創業初期には技術と市場ニーズが必ずしも完全に一致しない場合が多い。この課題について、長春理工大学教授で求是光譜の創業者でもある姚治海氏は、「最も優れた技術が、必ずしも市場で最も成功する技術とは限らない。技術的ブレイクスルーは市場ニーズに照準を合わせてこそ、社会実装が実現する」と強調した。

 また、上海市研究開発公共サービスプラットフォーム管理センターの朱悦副主任は、「科学技術系起業人材の成長法則を深く研究することで、社会実装の効率を高め、産業発展を推進する必要がある」と訴えた。


※本稿は、科技日報「选育"算法"让科技成果在产业化之路上"少撞南墙"」(2026年1月09日付)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。

 

上へ戻る