【26-008】定点観測シリーズ 中国の宇宙開発動向(その34)
辻野照久(元宇宙航空研究開発機構国際部参事) 2026年01月27日
今回は、定点観測シリーズの第34回目として、2025年10月1日から12月31日までの3か月間の中国の宇宙開発動向をお伝えする。
本期間には有人宇宙船「神舟21号」と「神舟22号」が打ち上げられ、「神舟21号」は「神舟20号」の搭乗員を帰還させた。中国宇宙ステーション「天宮」に残された「神舟20号」は宇宙デブリ衝突により機体に損傷が生じたため、2026年の搭乗員交代に先立って無人で切り離される見込みである。
2025年の中国の打ち上げ回数は過去最多の93回で、軌道投入に成功した衛星の数は373機(うち8機は外国衛星)であった。世界全体のロケット打ち上げ回数も327回(うち失敗は12回)と過去最多となった。
2025年第4四半期の世界のロケット打ち上げ状況
本期間の「衛星打ち上げ用ロケット」(以下、単に「ロケット」という)の世界全体の打ち上げ回数は、中国が33回(うち1回は失敗)、米国が44回、ロシアが4回、ニュージーランド(NZ)が6回、欧州が3回、日本が2回(うち1回は失敗)、インドが2回、韓国が2回(うち1回は失敗)で、全世界で96回であった。表1に2025年12月末までの世界各国のロケット打ち上げ回数を示す。
| 期間 | 中国 | 米国*1 | ロシア | NZ | 欧州 | 日本 | インド |
| 1-3月 | 17 (★1) |
39[38] (★2[★2]) |
4 | 5 | 1 | 1 | 1 |
| 4-6月 | 19 | 49[45](★1) | 3 | 4 | 1 | 2 | 1 (★1) |
| 7-9月 | 24 (★1) |
45[43] | 6 | 2 | 2 | 1 | |
| 10-12月 | 33 (★1) |
44[41] | 4 | 6 | 3 | 2 (★1) |
2 |
| 計 | 93 (★3) |
177[167] (★3[★2]) |
17 | 17 | 7 | 5 (★1) |
5 (★1) |
| 期間 | イスラエル | 韓国 | ドイツ | オーストラリア | イラン | 世界計 |
| 1-3月 | 1 (★1) |
69(★4) | ||||
| 4-6月 | 79(★2) | |||||
| 7-9月 | 1 | 1(★1) | 1 (★1) |
83(★3) | ||
| 10-12月 | 2(★1) | 96(★3) | ||||
| 計 | 1 | 2(★1) | 1 (★1) |
1(★1) | 1 (★1) |
327(★12) |
*1 米国の[ ]内はスペースX社の打ち上げ回数及び失敗回数(内訳)
中国と米スペースX社のロケット・衛星打ち上げ状況
この期間に中国は四半期としては過去最多の33回の打ち上げ(うち1回失敗)を行い、自国衛星112機(うち3機失敗)と外国衛星4機を打ち上げた。自国衛星の内訳は、有人宇宙船が2機(1機は無人)、宇宙科学衛星(微小重力実験)1機、地球観測衛星(気象衛星を含む)が14機(うち2機失敗)、通信放送衛星が72機、技術試験衛星が23機(うち1機失敗)である。
表2に衛星打ち上げに使われたロケットや軌道投入された衛星などの一覧表、表3にロケット種別による2025年12月末までの打ち上げ回数と衛星数を示す。
| 国際標識番号の*は英字が未定であることを示す。 | ||||||||
| 衛星名 | 国際標識番号 | 打ち上げ日 | 打ち上げ ロケット |
射場 | 衛星保有者 | ミッション | 軌道 | |
| Jilin 1 Kuanfu 02B 7 |
吉林 寛幅 |
2025-226* | 2025/10/11 | 引力1 | 洋上 | 長光衛星技術公司 | 地球観測 | LEO |
| Shutianyuxing 01、02 | 数天宇星 | 2025-226* | 浙江時空道宇科技公司 | 技術試験 | ||||
| 2025-226* | ||||||||
| Shiyan 31 | 試験 | 2025-227A | 2025/10/13 | 長征2D(2) | 酒泉 | SAST | 技術試験 | LEO |
| Hulianwang Digui 12 01-09(9機) | 互聯網低軌 | 2025-231A-J | 2025/10/16 | 長征8 | 海南商業 | 国網 | 通信放送 | LEO |
| Qianfan Jigui G18 (18機) | 千帆極軌 | 2025-233A-T | 2025/10/17 | 長征6 | 太原 | 上海垣信衛星科技 | 通信放送 | SSO |
| AIRSAT 03,04(2機) | 中科 | 2025-234* | 2025/10/19 | 中科1 | 酒泉 東風商業 |
空天信息創新研究院 | 地球観測 | LEO |
| 2025-234* | ||||||||
| PRSC HS1 | - | 2025-234* | パキスタン | 地球観測 | LEO | |||
| Tongxin Jishu Shiyan 20 | 通信技術試験 | 2025-238A | 2025/10/23 | 長征5 | 文昌 | CAST | 通信放送 | GEO |
| Gaofen 14-02 | 高分 | 2025-242A | 2025/10/26 | 長征3B/G5 | 西昌 | 不明 | 地球観測 | SSO |
| Shenzhou 21 | 神舟 | 2025-247A | 2025/10/31 | 長征2F/G | 酒泉 | CMSEO | 有人宇宙船 | LEO |
| Yaogan 46 | 遥感 | 2025-250A | 2025/11/3 | 長征7A | 文昌 | PLA | 地球観測 | MEO |
| Shiyan 32 01-03(3機) |
試験 | 2025-255* | 2025/11/8 | 長征11H | 洋上 | CASC | 技術試験 | LEO |
| 2025-255* | ||||||||
| 2025-255* | ||||||||
| Chutian 2 01,02 |
楚天 | 2025-256A-B | 2025/11/9 | 中科1 | 酒泉 | CASIC空间工程公司 | 技術試験 | LEO |
| Hulianwang Digui L13 (9機) |
互聯網低軌 | 2025-258A-J | 2025/11/10 | 長征12 | 海南 商業 |
国網 | 通信放送 | LEO |
| Jilin1 Gaofen 04C | 吉林高分 吉林平台 |
2025-F10 | 2025/11/10 | 穀神星3 | 酒泉 | 長光衛星技術公司 | 地球観測 | 打上 失敗 |
| Jilin1 Pingtai 02A-04 | ||||||||
| Zhongbei Daxue | 中北大学 | 中北大学 (山東省) |
技術試験 | |||||
| Shijian 30 01-03(3機) |
実践 | 2025-266* | 2025/11/19 | 長征2C(3) | 酒泉 | CASC | 技術試験 | LEO |
| 2025-266* | ||||||||
| 2025-266* | ||||||||
| Tongxin Jishu Shiyan 21 | 通信技術試験 | 2025-269A | 2025/11/21 | 長征3B/G2 | 西昌 | CAST | 通信放送 | GEO |
| Shenzhou 22 | 神舟 | 2025-272A | 2025/11/25 | 長征2F/G | 酒泉 | CMSEO | 有人宇宙船 | LEO |
| Shijian 28 | 実践 | 2025-226A | 2025/11/30 | 長征7A | 文昌 | CASC | 技術試験 | GEO |
| Zhuque dummy | 朱雀 | 2025-282A | 2025/12/3 | 朱雀3 | 酒泉 | 藍箭航天 | 技術試験 | LEO |
| Jiaotong VDES A | 交通 | 2025-284A | 2025//12/5 | 快舟1APro | 酒泉 | 航天行雲科技 | 技術試験 | SSO |
| Jiaotong VDES B | 2025-284B | |||||||
| Hulianwang Digui L14 (9機) |
互聯網低軌 | 2025-285A-J | 2025/12/6 | 長征8A | 海南商業 | 国網 | 通信放送 | SSO |
| Hulianwang Digui L15 (5機) |
互聯網低軌 | 2025-287A-E | 2025/12/8 | 長征6A | 太原 | 国網 | 通信放送 | SSO |
| Yaogan 47 | 遥感 | 2025-289A | 2025/12/9 | 長征4B | 太原 | PLA | 地球観測 | SSO |
| Tongxin Jishu Shiyan 22 | 通信技術試験 | 2025-290A | 2025/12/9 | 長征3B/G2 | 西昌 | CASC | 通信放送 | GEO |
| Arab Satellite 813 | - | 2025-292B | 2025/12/10 | 中科1 | 酒泉 | UAE | 地球観測 | SSO |
| Jilin1 Gaofen 07B 01-03 |
吉林 高分 |
2025-292* (3機) |
長光衛星技術公司 | 地球観測 | ||||
| Dongpo 15 | 東坡 | 2025-292* | 不明 | 技術試験 | ||||
| Yuxing 2-09 | 馭星 | 2025-292* | 不明 | 技術試験 | ||||
| Yuxian A | 逸仙 | 2025-292* | 中山大学深圳校 | 技術試験 | ||||
| SPNeX | - | 2025-292* | エジプト | 技術試験 | ||||
| Slipper2Sat | - | 2025-292* | ネパール | 技術試験 | ||||
| Hulianwang Digui L16 (9機) |
互聯網低軌 | 2025-295A-J | 2025/12/11 | 長征12 | 海南商業 | 国網 | 通信放送 | LEO |
| Dier 5 (DEAR 5) |
迪迩 | 2025-296B | 2025/12/13 | 快舟11 | 酒泉 | 北京紫微宇通科技 | 微小重力実験 | LEO |
| Xiwang 5-2 | 希望 | 2025-296A | CASC | 技術試験 | LEO | |||
| Ziyuan 3-04 | 資源 | 2025-300A | 2025/12/16 | 長征4B | 太原 | 不明 | 地球観測 | SSO |
| Tongxin Jishu Shiyan 23 | 通信技術試験 | 2025-306A | 2025/12/20 | 長征5 | 文昌 | CASC | 通信放送 | GEO |
| CZ12 Dummy | 2025-308A | 2025/12/23 | 長征12A | 酒泉 | 技術試験 | |||
| Hulianwang Digui L17 (9機) |
互聯網低軌 | 2025-311A-J | 2025-12/26 | 長征8A | 海南 商業 |
国網 | 通信放送 | LEO |
| Fengyun 4C | 風雲 | 2025-312A | 2025/12/26 | 長征3B/G3 | 西昌 | 国家気象局 | 気象観測 | GEO |
| Tianhui 7 | 天絵 | 2025-314A | 2025/12/30 | 長征4B | 太原 | PLA | 地球観測 | SSO |
| Shijian 29 A-B(2機) |
実践 | 2025-315A | 2025/12/30 | 長征7A | 文昌 | CASC | 技術試験 | GEO |
| ロケット種別 | 長征2 | 長征3 | 長征4 | 長征5 | 長征6 | 長征7 | 長征8 | 長征11 | 長征12 | 捷龍 |
| 打ち上げ回数 | 12 | 14 | 8 | 4 | 11 | 8 | 7 | 1 | 5 | 4 |
| 衛星数 | 35(1) | 17 | 8 | 22 | 74 | 9 | 72 | 3 | 28 | 43 |
| ロケット種別 | 快舟 | 中科 | 双曲線 | 穀神星 | 朱雀 | 引力 | CASC+ CASC以外の計 |
| 打ち上げ機関 | ExPace | 中科宇航 | 星際栄耀 | 星河動力 | 藍箭航天 | 東方空間 | |
| 打ち上げ回数 | 4(★1) | 5 | 1 | 6(★1) | 3(★1) | 1 | 93(★3) |
| 衛星数 | 6(1) (★1) |
27(6) | 1 | 30 (★3) |
11(★4) | 3 | 389(8) (★8) |
スペースX社はFalcon 9の42回の打ち上げで、スペインの静止通信衛星「Spainsat NG-2」、米国アマゾン社の低軌道通信衛星「Kuiper」24機、「TITL」衛星21機、米仏共同の「Jason-CS 2」、NROの海洋監視衛星1機、フィンランドなど各国衛星18機及び126機(Transportation 15)、自社のLEO通信衛星「Starlink」34回の打ち上げで964機を打ち上げた。以上の合計で1156機となる。
2025年の年間のFalcon 9の打ち上げ数は165機と過去最多になった。
Starshipの11回目の試験飛行は10月13日に打ち上げと着陸に成功した。Starlinkのダミー衛星8機を放出したが、国際標識番号は2025-U03となっており、ロケット打ち上げ数にはカウントされていない。
宇宙ミッション1 宇宙輸送分野
(1)再使用型ロケットの開発
①12月3日、藍箭航天公司は新型の「朱雀(Zhuque)3」ロケットの初打ち上げを行い、ダミー衛星の軌道投入に成功したが、第1段機体の回収には失敗した[1]。
②12月23日、CASCは「長征12A」の初打ち上げを行い、ダミー衛星の軌道投入に成功したが、第1段機体の回収には失敗した[2]。
(2)外国衛星の打ち上げ
①パキスタン衛星
10月19日、パキスタンは地球観測衛星「PRSC HS1」[3]を中科1ロケットにより中国科学院(CAS)の地球観測衛星「AIRSAT」2機とともに打ち上げた[4]。
②UAE衛星
12月10日、UAEは地球観測衛星「Arab Satellite 813」[5]を中科1ロケットにより打ち上げた。
③エジプト衛星
12月10日、エジプトは技術試験衛星「SPNeX」[6]を中科1ロケットにより打ち上げた。
④ネパール衛星
12月10日、ネパールの学生グループは技術試験衛星「Slippers2Sat」[7]を中科1ロケットにより打ち上げ、ネパールの4機目の衛星となった。同衛星の開発に当たっては、九州工業大学が関与している。
宇宙ミッション2 有人宇宙活動分野
(1)有人宇宙船「神舟(Shenzhou)21号」の打ち上げ
10月31日、載人航天工程弁公室(CMSE)は有人宇宙船「神舟21号」を長征2Fロケットにより打ち上げ、中国宇宙ステーション(CSS)「天宮(Tiangong)」に接続した[8]。
搭乗員は張陸(Zhang Lu、2回目)、武飛(Wu Fei、初)、張洪章(Zhang Hongzhang、初)の3名である。これまでの宇宙飛行士の人数は28人、延べ出発回数は44回となった。
(2)神舟20号の搭乗員が「神舟21号」で帰還
神舟20号の搭乗員は11月4日の帰還を予定していたが、直前になって微小な宇宙デブリが衝突し、機体に損傷が生じた。このため帰還の安全確保の検討を行い、11月14日に「神舟21号」で帰還した[9]。「神舟21号」の宇宙滞在期間は14日間しかなかった。
(3)「神舟22号」を打ち上げ
酒泉射場には不測の事態に備えて毎回予備の「神舟」宇宙船を用意していたが、この機体を使用して11月25日に「神舟22号」として打ち上げ、「天宮」との接続に成功した[10]。2026年に「神舟21号」の搭乗員が帰還する際には「神舟22号」を使用する。交代する搭乗員は「神舟23号」で打ち上げられる。
宇宙ミッション3 月惑星探査分野
(1) 月探査
有人月探査に向け有人ロケットとして開発中の長征10型ロケットはアポロ計画に類似した運用を行うようになるとみられる。少し異なるのは有人宇宙船と着陸機を同時に打ち上げるのではなく、別々に打ち上げて地球軌道上ドッキングするといった方式になりそうである。
月面基地の建設を担う長征9型ロケットはスペースXの再使用型ロケットに近いロケットを開発し、短期間で多数の同型ロケットを打ち上げることを目指しそうである。
宇宙ミッション4 宇宙科学分野
(1) 微小重力科学
① 微小重力実験衛星「迪迩(Dier)」
12月13日、CASCは微小重力実験衛星「迪迩(Dier)」(DEAR)を快舟11ロケットにより打ち上げた。高度約530km、軌道傾斜角41.4度のLEO衛星である。無人のフリーフライヤは微小重力の精度が宇宙ステーションでの実験より高いはずだが、ネズミが2匹搭載されているので振動が生じる可能性がある。このような微小重力環境擾乱の抑制や実験結果の補正などの研究は、2019年12月打ち上げの天琴1号などでも行われたことがある。
宇宙ミッション5 地球観測分野
本期間に7種類の地球観測衛星シリーズで14機を打ち上げた。
(1)政府の地球観測衛星
①高分(Gaofen :GF)
10月26日、静止地球観測衛星「高分14-02」を打ち上げた[11]。長征3Bロケットによる打ち上げだが、静止衛星ではなく極軌道衛星である。累積で36機目となった。
②資源(Ziyuan:ZY)
12月16日、CASCは資源探査衛星「資源3号04星」を打ち上げた[12]。累積が15機目となった。
③風雲(Fengyun;FY)
12月26日、国家気象局は静止気象衛星「風雲4C」を打ち上げた[13]。静止位置は東経133度の予定。風雲尻図の累積では23機目となった。
④天絵(Tianhui:TH)
12月30日、PLAは立体地図作成衛星「天絵7」を打ち上げた[14]。累積で17機目となった。
⑤遥感(Yaogan:YG) 2機
11月3日、PLAは偵察衛星「遥感46」を長征7Aロケットにより高度7000km、軌道傾斜角20度の中高度軌道へ打ち上げた[15]。これまでにない軌道であり、ミッションは不明である。
続いて12月9日には偵察衛星「遥感47」を長征4Bロケットにより打ち上げた[16]。累積で174機に達した。
12月24日のCASCニュースで「我国在轨遥感卫星数量已超400颗」[17]との記事が掲載されたが、この標題にある「遥感」は、YG衛星だけでなく、その他の高分や吉林なども含めて中国のリモートセンシング衛星の運用数を400機以上としたものと考えられる。
(2)地方の地球観測衛星
長光衛星技術公司の「吉林(Jilin:JL)」衛星シリーズは6機(うち失敗2機)を打ち上げた。
a)吉林1 寛幅02B 07
10月11日、長光衛星技術公司は「吉林1 寛幅02B 07」を引力1ロケットにより他の衛星2機とともに打ち上げた[18]。
高度約1000km、軌道傾斜角50度のLEO軌道である。
b)「吉林1 高分07 」3機
12月10日、「吉林1 高分」の07B01、07C01、7D01の3機を中科1ロケットにより打ち上げた[19]。
c)失敗した吉林衛星 2機
11月10日、穀神星ロケットの打ち上げ失敗により「吉林1 高分04C」と「吉林1 平台02A-4」の2機が軌道投入できなかった[20]。
吉林衛星の累積衛星数は失敗7機を含め137機となった。
(3)中国科学院の地球観測衛星
10月19日、中国科学院(CAS)の空天信息間創新研究院(AIR)は「AIRSAT」2機を中科1ロケットにより打ち上げた[4]。
宇宙ミッション6 衛星通信分野
(1) インターネット衛星
国網は互聯網低軌(Hulianwang Digui:HWD)50機を3種類6機のロケットにより打ち上げた。HWD12からHWD17までの打ち上げ状況を表4にまとめて示す。
| 衛星略称 | 打ち上げ日 | 製造 | 衛星数 | ロケット | 射場 | 高度 | 軌道傾斜角 |
| HWD L12[21] | 10/16 | 上海 | 9 | 長征8A | 海南商業 | 970 | 50度 |
| HWD L13[22] | 11/10 | 銀河 | 9 | 長征12 | 海南商業 | 970 | 50度 |
| HWD L14[23] | 12/6 | 上海 | 9 | 長征8A | 海南商業 | 970 | 50度 |
| HWD L15[24] | 12/8 | CAST | 5 | 長征6 | 太原 | 1170 | 86.5度 |
| HWD L16[25] | 12/11 | 銀河 | 9 | 長征12 | 海南商業 | 970 | 50度 |
| HWD L17[26] | 12/26 | 上海 | 9 | 長征8A | 海南商業 | 970 | 50度 |
10月17日、上海垣信衛星科技公司は6回目の千帆極軌18機を打ち上げ、累計が当初予定の108機に達して、第1段階を終了した[27]。
(2) 通信技術試験(Tongxin Jishu Shiyan:TJS)
本期間には4機の通信技術衛星が打ち上げられた。TJS20からTJS23までの打ち上げ状況を表5にまとめて示す。
このうち、「通信技術試験20」は長征5ロケットにより東経62度の静止軌道に打ち上げた。同じロケットで2024年3月にも「通信技術試験11」を東経120度に打ち上げており、衛星バスは明らかにされていないが、東方紅5型の可能性がある。ミッションはマルチバンド高速衛星通信技術の検証とされている[28]。
| 衛星略称 | 打ち上げ日 | ロケット | 射場 | 静止位置 |
| TJS 20[29] | 10/23 | 長征5 | 文昌 | 東経62.2度 |
| TJS 21[30] | 11/21 | 長征3B/G2 | 西昌 | 東経11.5度 |
| TJS 22[31] | 12/9 | 長征3B/G2 | 西昌 | 東経66.5度 |
| TJS 23[28] | 12/20 | 長征5 | 文昌 | 東経175度 |
宇宙ミッション7 航行測位分野
本期間には航行測位衛星や測位補強衛星の打ち上げはなかった、
宇宙ミッション8 技術試験分野
(1)中央政府関連の技術試験衛星
①実践(Shijian:SJ)6機
11月19日、CASCは3機1組の技術試験衛星「実践30号」を長征2C(3)ロケットにより打ち上げた[32]。
11月30日、静止衛星「実践28号」を長征7Aロケットにより打ち上げた[33]。
12月30日も同じロケットで同型の静止衛星「実践29号」を打ち上げた[34]。中国の2025年最後の打ち上げで、CASCの年間打上数73回は過去最多である。
②試験(Shiyan:SY) 4機
10月13日、「試験31号」を長征2D(2)ロケットにより打ち上げた[35]。
11月8日、3機1組の「試験32号」を長征11Hロケットにより黄海から打ち上げた[36]。
(2)企業の技術試験衛星
①数天宇星(Shutianyuxing)2機
10月11日、浙江時空道宇科技公司は引力1ロケットにより吉林衛星とともに打ち上げた[18]。軌道上でAIやデータ処理などに必要な計算をする衛星を目指している。
②楚天(Chutian)
11月9日、中国航天科工集団公司(CASIC)に属する空间工程公司は地球観測の技術試験衛星「楚天(Chutiean)2号」の02星と03星を中科1(別名:力箭1)ロケットにより同時に打ち上げた。
楚天1号は2024年5月に快舟1Aロケットにより打ち上げられた「超低軌技術試験」衛星の別名である。
③航天三江集団に属する航天行雲科技有限公司の技術試験衛星
「交通(Jiaotong)VDES」衛星2機を同時」打ち上げた。
中科ロケットで打ち上げた9機のうち、3機は外国衛星、3機は吉林衛星で、残る3機は技術試験、衛星は東坡(Dongpo)、馭星(Yuxing)、逸仙(Yuxian)という名称である。
(3)快舟11ロケットにより打ち上げた技術試験衛星
①希望5-2 CASTが開発した[37]。宇宙実験衛星の「迪迩5」と同時打上げである。
(4)再使用を目指すロケット(2種類)に搭載されたダミー衛星は技術試験衛星に分類した。
(5)軌道投入できなかった技術試験衛星
11月10日に失敗した穀神星ロケットの吉林衛星以外の失敗は山東省の大学が開発した「中北大学(Zhongbei Daxue)」衛星である。
参考資料:中国の静止衛星打ち上げ数
中国の静止衛星は、通信放送衛星を中心に、航行測位衛星、地球観測衛星、技術試験衛星などで多く運用されている。外国へ輸出した衛星も含め145機を打ち上げた。最近の静止衛星は長征5型ロケットで打ち上げられているものがあり、その機能や衛星バスなどの詳細は不明な点が多いが、宇宙ステーションの建設や月惑星探査だけで5なく、通信放送や地球観測でも宇宙インフラ衛星に従来にない機能が盛り込まれている可能性がある。
(1)通信放送衛星 87機
①商業通信衛星 中星 31機、鑫諾 2機、APStar 10機、AsiaSat 9機、ABS 3機
(APStar 6Eは長征2Cロケットにキックモータを併用して静止化に成功した。)
② 移動体通信衛星 天通 3機
③ インターネット衛星 互聯網高軌 3機
④ 東方紅3号までは衛星バスが円柱形でスピン安定式の静止衛星が6機打ち上げられた。
⑤ 通信技術試験 20機(最新は通信技術試験23号)
ミサイル早期警戒衛星やSIGINT衛星を含む。
なお、通信技術試験13号は周期が約716分、軌道傾斜角63度、遠地点は静止軌道、近地点は約1600kmで1日に地球を2周する準回帰軌道どなっている。遠地点は英国の上空にあるように見える。米国GPS衛星にも同様の軌道があり、軌道投入失敗ではない。
(2)航行測位衛星 16機
①北斗1 4機
②北斗2 8機(▲北斗2 G2は静止化失敗)
なお、北斗2G7は実践25号のドッキングによる燃料補給により寿命を8年延長
③北斗3 4機
(3)地球観測衛星 15機
地球観測衛星は400機以上が運用されているが、気象衛星以外では静止衛星は稀である。
① 気象衛星 風雲2 8機、風雲4 3機(静止気象衛星の最新は風雲4C)
② 高分4号、13号、13号02の3機。最新の静止衛星は2023年3月打ち上げ。(なお、長征3Bで打ち上げられる高分14号は極軌道衛星である。)
③ 遥感41号 1機
(この時の長征5型による打ち上げは、フェアリングの大きさが従来のものより5割増の18mもあり、中国で最も背の高いロケットとなった。これほどの大きさのフェアリングに収納できる衛星は米国のキーホール衛星に匹敵する巨大なアンテナである可能性がある。)
(4)データ中継衛星
最新の打ち上げは2025年4月の天鏈2Eである。
データ中継衛星「天鏈」 10機
(5)最技術試験衛星 4機
① 1984年長征 3ロケットによる最初の自力静止衛星 「試験通信衛星(STTW-T2)」
② 1994年に東方紅3型バスを用いて三軸制御式の大型静止衛星「東方紅3」を打ち上げた。
③2016年長征5型による最初の静止衛星 「実践17」
④2021年打ち上げの「試験10-01」
▲2017年の長征5型の2回目の試験飛行では、「実践18」の軌道投入予定だったが打ち上げ失敗に終わった。
⑤外国衛星 13機
中国は自国で製造した精鋭性や欧米で製造された静止衛星を長征2E型及び長征3型ロケットにより13機打ち上げた。
対象国・機関は、米国、オーストラリア(2機)、フィリピン、ナイジェリア(2機)、ベネズエラ、ボリビア、ラオス、ベラルーシ、アルジェリア、パキスタン、ユーテルサットである。
(ナイジェリアの最初の衛星は静止化直後に不具合が発生して運用終了となった。)
打ち上げ失敗の外国衛星は、1996年のインテルサット、2020年のインドネシアの2機がある。静止化できなかったので本稿での打ち上げ数には含めない。
以上
[1] 12月3日、百度、突发特讯!朱雀三号,成功发射入轨!引发高度关注
[2] 12月23日、CASC、重复使用运载火箭长征十二号甲发射入轨
[3] 11月6日、Gunter's Space Page、PRSC HS1
[4] 10月19日、百度、一箭3星!中科宇航力箭一号遥八运载火箭发射成功
[5] 12月13日、Gunter's Space Page、Arab Satellite 813 (Alianqiu 813, UAE 813)
[6] 12月13日、Gunter's Space Page、SPNeX
[7] 12月28日参照、satellitemap.space、Slippers2Sat
[8] 11月1日、CASC、长二F火箭成功发射神舟二十一号载人飞船
[9] 11月14日、CASC、神舟二十一号载人飞船返回舱成功着陆
[10] 11月25日、CASC、神舟二十二号飞船与中国空间站成功"合体"
[11] 10月26日、CASC, 长三乙火箭成功发射高分十四号02星
[12] 12月16日、CASC、长四乙火箭成功发射资源三号04星
[13] 12月27日、CASC、长征三号乙运载火箭成功发射风云四号03星
[14] 12月30日、CASC、长征四号乙运载火箭成功发射天绘七号卫星
[15] 11月3日、CASC、长征七号改运载火箭成功发射遥感四十六号卫星
[16] 12月9日、CASC、长四乙火箭成功发射遥感四十七号卫星
[17] 12月24日、CASC、我国在轨遥感卫星数量已超400颗
[18] 10月11日、CNSA、引力一号遥二运载火箭发射成功
[19] 12月10日、百度、我国成功发射阿联酋813卫星等9颗卫星
[20] 11月20日、36Kr、中国航天第二次发射失利,损失3颗卫星,原因已确认
[21] 10月16日、CASC、长八甲火箭成功发射卫星互联网低轨12组卫星
[22] 11月10日、CASC、长十二火箭成功发射卫星互联网低轨13组卫星
[23] 12月6日、CASC、长八甲火箭成功发射卫星互联网低轨14组卫星
[24] 12月8日、CASC、长六改火箭成功发射卫星互联网低轨15组卫星
[25] 12月12日、CASC、长十二火箭成功发射卫星互联网低轨16组卫星
[26] 12月26日、CASC、长八甲火箭成功发射卫星互联网低轨17组卫星
[27] 10月18日、CASC、长六改火箭成功发射千帆极轨18组卫星
[28] 12月20日、CASC、长征五号火箭成功发射通信技术试验卫星二十三号
[29] 10月23日、CASC、长征五号火箭成功发射通信技术试验卫星二十号
[30] 11月21日、CASC、长三乙火箭成功发射通信技术试验卫星二十一号
[31] 12月9日、百度、我国成功发射通信技术试验卫星二十二号
[32] 11月19日、CASC、长征二号丙运载火箭成功发射实践三十号A、B、C星
[33] 11月30日、CASC、长征七号改运载火箭成功发射实践二十八号卫星
[34] 12月31日、CASC、长七改火箭成功发射实践二十九号卫星
[35] 10月13日、CASC、长二丁火箭成功发射试验三十一号卫星
[36] 11月9日、CASC、长征十一号运载火箭发射成功
[37] 12月18日、百度百科、希望五号二期卫星