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【26-011】中国初の超音波ブレイン・マシン・インターフェース企業、成都に設立

劉 侠(科技日報記者) 2026年02月02日

 中国で初めて超音波ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)技術に特化したイノベーション企業である格式塔科技有限公司がこのほど、四川省成都市の天府国際生物城に設立された。同社は超音波とフェーズドアレイ技術を活用し、BMI分野における新しい技術アプローチを示した。

 BMIのアプローチは現在、侵襲型、半侵襲型、非侵襲型の3つに大別される。従来の電気的侵襲型技術と異なり、非侵襲型の超音波BMI技術は明らかな優位性を持つ。

 格式塔科技の創業者で最高経営責任者(CEO)を務める彭雷氏は、「従来の侵襲型技術では頭蓋骨に穴を開けて電極を埋め込む必要があるのに対し、超音波BMIは経頭蓋集束超音波やフェーズドアレイ技術によって、頭蓋内の特定部位に収束焦点を形成でき、開頭手術なしに脳機能を調整できる」と説明した。

 同技術は超高速超音波イメージングを通じて、高時空間分解能で全脳信号をモニタリングできる。彭氏は、「慢性疼痛やうつ病、アルツハイマー病など、多くの中枢神経系疾患では、全脳の複数領域にまたがる神経回路の協調異常が病理メカニズムに関与している。超音波BMIは、現時点で全脳の読み書き能力を備える可能性が最も高い技術方向だ」と述べた。

 同技術の応用について彭氏は、「製品形態を複数世代に分けて展開したい。第1世代は据え置き型デバイス、第2世代はウェアラブルデバイス、最終的には半埋め込み型デバイスへと進化させる。当社の最初の製品は慢性疼痛の管理に焦点を当てており、現在は臨床試験を進めている。年内に国家薬品監督管理局への登録手続きを開始する見通しだ」と語った。

 現時点の臨床データから、超音波BMIの技術的潜在力はすでに示されている。慢性疼痛管理では、超音波によって前帯状皮質を調節することで、患者の疼痛強度が大きく低下し、その効果は1週間持続できる。うつ病介入では、両側SCC(脳梁下帯状回)領域に作用させた後、24時間以内に情緒や抑うつ評価の改善が確認された。

 格式塔科技は現在、復旦大学附属華山医院、北京協和医院、四川大学華西医院などと協力枠組みを構築し、「産・学・研・医」の協同イノベーションを深化させている。この協力モデルにより、技術の臨床導入が加速し、超音波BMI技術がより早く患者に提供される見通しだ。

 2025年5月には、四川省経済・情報化庁など8機関が共同で「四川省ブレイン・マシン・インターフェースおよびマンマシンインタラクション産業突破行動計画(2025~30年)」を発表し、四川省は国内で3番目に省レベルのBMI専門政策を打ち出した省となった。同計画は「重要イノベーションの推進、重点製品の開発、重要応用の展開」を軸に、全国トップクラスのBMIおよびマンマシンインタラクション産業の革新発展拠点を構築する方針を明確にしている。

 格式塔科技の進出に伴い、成都ではより完全なBMIのエコシステム形成が加速している。彭氏は、「当社が成都を拠点に選んだ理由として、『産・学・研・医』が一体となったエコシステムの完成度、とりわけ医療・臨床資源の充実を評価したためだ。四川大学華西医院を例に挙げると、同医院の研究・臨床能力はいずれも全国トップクラスであり、臨床検証への依存度が高いBMI関連医療機器のイノベーションに不可欠な支援を提供している」と述べた。


※本稿は、科技日報「我国首家超声波脑机接口公司在成都成立」(2026年1月7日付)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。

 

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