国際的視野における中国大学本科教育評価モデルの改革
2009年12月14日
![張暁鵬](../hottopicsphoto/1001/1001zhangxi_pro_100.jpg)
張暁鵬(Zhang Xiaopeng):
復旦大学企業教育研究センター主任
1961年5月生まれ。1990年から中国比較教育学会理事。1996年から復旦大学日本研究センター研究員を兼務。2002~2003年、東洋大学の交換研究員。2007年、九三学社上海市委員会委員兼文教委員会副主任、上海市教育評価協会大学委員会秘書長に選任。2008年、教育部大学本科教育評価専門家として招聘。編著及び訳書は「教育と社会の発展」、「中米日3国の高等教育比較研究」、「研究型大学の課程改革と教育革新」、「高等教育の経済分析と政策」等多数。国内外の定期刊行物に中国語、英語、日本語で教育、経済等の分野に関する論文及び訳文200編余りを発表。1997年以降、国家哲学社会科学・教育科学計画の重点課題「総合国力と教育の発展との関係についての研究」の責任者。また、中国の「大学本科の教育の質と教育改革プログラム」における「大学本科教育活動分類評価案プロジェクト」等多くの省庁・市レベルの課題研究に主要メンバーとして参加。当面の主な研究方向は高等教育評価、大学の課程と教育、比較高等教育、教育政策・法規。
要旨
本論文は、中国の大学本科教育評価改革の歴史、現状及び問題点から説き起こし、現在世界で最も影響力のある幾つかの高等教育評価モデルについて比較分析を進め、最後に、個別事例を用い中国の大学本科教育評価モデルの改革に対する自らの見解を示すものである。
過去数年において、大学本科の教育評価は中国の高等教育の発展に最も大きな影響を与えた出来事であり、また、中国の高等教育界内外で最も論争のあった出来事だと思われる。第1次の全国大学本科教育評価作業が昨年9月に終了した。そして第2次の評価作業が間もなく始まる。私は幸いにも中国の第2次大学本科教育評価プランの策定に参加することができた。本論文では、中国の大学本科教育評価改革の歴史、現状及び問題点から説き起こし、その後、現在世界で最も影響力のある幾つかの高等教育評価モデルについて比較分析を進め、最後に、個別事例を用い、中国の大学本科教育評価モデルの改革に対する自らの見解を示す。
1.中国の大学本科教育評価の歴史、現状及び問題点
大学の教育活動全体に対する国家レベルでの評価は、中国では1980年代に始まった。1985年の「教育体制改革に関する党中央の決定」は、大学の運営自主権拡大を強調すると同時に、「大学の学校運営水準について定期的な評価を行う」よう求めた。同年、教育部は数校の工科系大学で評価の実験作業を行った。
1990年、国家教育委員会は「普通大学教育評価暫定規定」を公布し、高等教育評価の目的、意義、原則及び評価手順・方法等についてかなり系統的な規定を設けた。1994年、国家教育委員会は1976年以降に新設された本科大学の教育活動に対し、専門家による合格評価を実施することを決定した。1995年公布の「中華人民共和国教育法」は第24条で、「国は教育監督指導制度と学校及びその他教育機関に対する評価制度を実行する」と規定している。1996年、国家教育委員会は国家重点建設大学の教育活動に対する優秀評価作業に着手した。1998年公布の「中華人民共和国高等教育法」は第44条で、「大学の学校運営水準と教育の質は、教育行政部門の監督とその組織による評価を受け入れる」と規定している。1999年、教育部は新設大学と国家重点建設大学の間にある大学の教育活動に対し、無作為抽出評価を実施した。2002年、教育部は合格評価、優秀評価、無作為抽出評価という3種類の評価方式を「教育活動水準評価」に統一した。2003年末までに、全国の大学計296校に対する教育活動評価が行われ、そのうち合格評価は192校、優秀評価は16校、無作為抽出評価は26校、水準評価62校であった。
2004年2月、中国教育部は「2003~2007年教育振興行動計画」を発表し、「大学教育の質保証システムを整備し、その質に関する評価・コンサルティング機関を確立し、5年を周期とする全国大学教育質評価制度を実行する」との方針を打ち出した。2004年8月、「教育部高等教育教学評価センター」が正式に発足した。これは中国の大学教育評価作業が制度化、正規化、恒常化の軌道に乗ったことを示している。中国は2008年9月に第1次の大学本科教育評価作業を終え、589校の本科大学が評価を受け入れ、1千人近くの教職員・学生が「評価で建設を促す」活動に参加し、中国科学院と中国工程院のアカデミー会員、有名大学の指導者、国内外の著名学者を含む延べ6,000人の評価専門家が学内を視察した。専門家は大学の教育基本施設を系統的に視察し、10万点余りの学生の答案用紙と卒業論文(デザイン)を審査・閲読し、3万余コマの授業を参観した。また、大学の教育担当部門と管理運営部門を1万回余り訪問し、各種の座談会とセミナーを1万回近く開き、学生の基本技能について6千回余りの試験を行った。こうした系統的な視察・評価活動を通じ、わが国の大学運営の基本的状況、教育管理、教育レベルの内情を総合的に分析・把握し、大学が教育活動の経験を総括するのを手助けするとともに、教育活動上の問題点を指摘し、教育活動を改善し、教育の質を高めるための的確な意見・提案を述べた。
第1次の大学教育評価を通じ、全国の大学は教育の質に対する意識を一様に高め、政府が主導し、学校が自己評価し、専門家と教師・学生が共同参画する評価制度が一応確立された。こうして高等教育の質が基本的に確保され、中国の特色を持つ高等教育質保証システムを構築するための強固な基礎が築かれた。我々が2008年初めに華東、華中、東北3地区の各種大学指導者、教務課又は評価事務室の責任者、学部・学科の責任者、評価専門家、著名学者等を対象として実施したアンケート調査(計333件のアンケート用紙を配布し、263件の有効アンケートを回収し、有効アンケートの回収率は78.98%となる)によれば、第1次の大学本科教育評価は、大学の適切な教育管理を促し(アンケート記入者の90.87%がこの質問項目にイエスと回答。以下のカッコ内の数字はいずれもその割合を示す)、大学の運営条件を改善し(66.15%)、大学における本科教育の地位を高め(58.93%)、大学運営の特色を打ち出し(57.79%)、大学運営の経験を総括し(51.71%)、また、大学間の交流を促進し、教育改革を深化させ、教職員の結束力を強め、大学の文書管理を強化する等の面でかなり大きな役割を果たした。
第1次教育評価で浮かび上がった問題点についても、重視しなければならない。例えば:
- 同一の尺度で全ての大学を判断するのは、余り公平でなく、大学の個性化、多様化にとっても不利である(74.14%)
- 評価結果の優秀率が高過ぎ、社会の一般的な印象と開きがある(55.51%)
- 評価は行政的色彩が濃く、大学は受け身の立場で対処しており、学校運営の自主性にある程度影響した(49.43%)
- 評価のコストが高過ぎる(48.67%)
- 「学生を中心とする」理念が体現されず、その学習の質に対する考察は深いものでない(38.78%)
- 社会各界の参画が少なく、「教育関係者だけで教育を評価する」現象がある程度見られる(37.26%)
- 評価内容が複雑過ぎる(34.60%)
- 評価の指標は中立性に欠けるものが少なくない(33.46%)
- 評価の周期が杓子定規だ(全ての大学に対して5年に1回実施)(29.66%)
- 評価の「等級区分」は地方政府と一部の大学に過大なプレッシャーをかけるものだ(20.15%)
全般的に見て、比較して言うなら、第1次の本科教育活動水準評価はやはり肯定的な見方が主流を占める(無論、我々は調査サンプルの限界を知る必要がある。学生と社会各界については調査しておらず、調査サンプルも第一線で働く教師の割合が少ない)。一方、批判的な意見は「同一の尺度で全ての大学を判断するのは、余り公平でなく、大学の個性化、多様化にとっても不利である」、「評価結果の優秀率が高過ぎ、社会の一般的な印象と開きがある」の2点に主に集中している。存在する問題点については、その表象と本質を区分することに注意を払い、問題が生じた原因を真剣に分析しなければならない。例えば、優秀率が高過ぎる問題だが、これは制度設計面、即ち専門家委員会の構成や審議手順・規則等の面に原因があるだけでなく、技術設計面、即ち基準や評価方法等にも原因がある。しかし、いずれにせよ、単一の評価モデルと統一的な基準では大衆化された大学の多様性に応えることができない。中国の大学本科教育評価モデルを改革することは差し迫ったものとなっている。
中国は大学本科教育評価モデル改革の過程において、無駄な回り道を避けるため、世界に目を向け、国際的な経験を参考にし、多くの評価モデルの中から自国に適したモデルを選び、且つ国情と結び付けて新たな特色を打ち出す必要がある。
2.世界の高等教育評価モデルの変遷及び3種類のモデルの比較
大学がエリートだった時代、教育の質の評価は主に学内の問題であり、大学が自ら責任を負っていた。しかし、大衆化の時代に入ると、大学は社会の隅から社会の中心に出るようになり、教育の質の問題はますます社会から注目され、学外からの評価が次第に浸透し、かつてない影響を及ぼすようになった。1980年代以降、世界の高等教育は「評価の時代」に入り、各国政府はいずれも高等教育の評価を非常に重視しており、それを高等教育管理を改善し、高等教育の質を確保するための重要な手段とした。世界の高等教育界において、現在最も影響力のある評価モデルは主に認証評価(Accreditation)、等級評価(Assessment)、監査評価(Audit)の3種類である。
(1)認証評価
認証評価は歴史が最も古く、米国では既に百年以上の歴史があり、これには大学認証と専攻認証の2つの大きなタイプがある。大学認証は学校全体に対する認証であり、専攻認証は特定の専攻に対する認証である。米国の大学認証と専攻認証は互いに補い合うものとなっている。即ち大学認証を行う時、専攻課程及びその質に関する状況は大学の事業の一部として審査を受けなければならず、専攻認証を行う時は、大学の全体の状況も考慮に加える必要があり、大学認証にパスしなければ実施することができない。
米国の大学認証は認証機関が事前に1組の最低基準を学校側に示すことになっており、学校の自己評価と学外専門家の実地視察はいずれもこの基準に従って行われる。認証は学校運営の基本的条件を非常に重視しており、考察する範囲もかなり広い。認証の周期は一般に10年だが、認証にパスできないか、又は何らかの問題があって認証の有効期間を短縮することもある。大学は認証にパスした後、年度自己評価報告書を認証機関に毎年提出する必要があり、認証機関はさらに学校を不定期に視察することができる。学校が認証にパスしたか否かに関わらず、その結果は必ず社会に公表される。しかし、報告の細部(例えば学校の一部の具体的なデータ等)は公表されない。
認証は米国が高等教育の質を確保するための主要な手段であり、また、大学間で単位の相互認定を行い、社会各界が大学卒業生を信頼する上での重要な基礎となる。1950年代以降、米国政府は民間認証機関の認証を利用し、どの大学が学生助成資金及びその他の経費を獲得できるのかを決めるようになった。認証と政府の資金助成が結び付いたことで、認証を受け入れる大学が増えた。しかし、大学がこうした認証に参加するかどうかは完全に自由意思によるものであり、しかもこうした認証は学校が申請を出さなければ実施することができない。
認証が米国で高等教育の「ゴールキーパー」としての役割を確かに果たし、同時に又、米国で高等教育が発達し、その国力が増大したことから、高等教育の国際化に伴い、米国の認証評価の経験は世界各国から非常に重視されるようになった。各国は争うようにそのやり方を模倣し、最低基準の質を確保することに努めた。特に一部の発展途上国及び国境を越えた高等教育の分野において、認証は高等教育の質を管理する最良の手段となった。欧州連合(EU)も欧州での高等教育の一体化を実現するため、1990年代に認証を高等教育評価の重要な手段としている。中国が普通本科に対する第1次の教育活動水準評価を行う以前、1976年以降の新設大学を対象に実施してきた合格評価も認証評価に類似したものであった。
しかし、米国国内では、認証の過程と結果が社会各界に対する透明性を欠き、また、認証が学校運営の「出」でなく、「入」を過度に重視したため、その上、認証方法が余りにも杓子定規で、認証範囲が広過ぎたことから、時間と労力を費やしても、大学の人材養成過程における真の問題点を発見するのが難しかった。特に学校運営の歴史が長い大学では、認証によって教師陣の教育改善への熱意を引き出すことが難しく、1990年代以降、大学、学界、政府はいずれも認証に対して鋭い批判を突き付けた。世界の高等教育界でも、認証は大学の人材養成の質を十分に保証することができないと考えるようになった。日本は早くも第2次世界大戦後に米国の認証モデルを学び始め、大学基準協会を発足させた。しかし、大学の設立条件に対する日本政府の規定が米国のように緩やかなものでなく、非常に厳格であったため(中国の状況もこれに似ている)、こうした認証は日本では余り意味を持たず(1990年代以降、日本は評価モデルについて比較的大きな改革を行った。だが、他のモデルの構成要素を若干取り入れたものの、それは依然として認証モデルによる評価が中心であった。紙幅の関係から、日本の評価モデルに対する論評は差し控える)、また、米国のように大きな影響を及ぼすこともなかった。このため、世界各国では認証評価の他に、等級評価や監査評価等の高等教育評価のモデルが現れた。
(2)等級評価
等級評価は認証評価を発展させたものである。一部の国、例えばインドは等級評価と認証を結び付け、評価の中である等級に達した時に初めて認証にパスできるようにした。それと同時に、認証にパスした大学を幾つかの等級に区分している。
等級評価モデルを採用している国では、米国のように教育と研究を統合するのでなく、両者を切り離して評価を行うケースが多い。等級評価は学校が学生の成績に対して点数を付け、評定を行うのに似ている。それは認証のように、最低基準を満たすかどうかで、学校に「合格」又は「不合格」といった二元的な結論を示すのではなく、等級判断さらにはより精確な点数を示すものであり、認証に比べると、数量化が強調されることになる。等級評価の考察範囲は認証評価と同じように幅広いものだが、認証が学校運営の「入」を重視するのに対し、それは「出」を一段と重視している。認証と同様に、等級評価も学校の自己評価を踏まえ、専門家を派遣して実地視察を行っており、自己評価であれ、外部専門家の評議であれ、いずれも評価指標を参照しなければならない。しかし、等級評価は外部機関(独立した民間機関又は半官半民機関)が実施する他、大学連盟又は単一の大学が自ら実施することもできる。オランダの等級評価は、学校レベルでなく、専攻レベルで行われることが多い。幾つかの国の等級評価は学校の多様性を考慮したもので、個別の基準を作成し、又は同じ基準の中で個別のウェイト付けをしている。一般的に言うなら、それはエリート校のみが追求する卓越した学術基準で全ての大学の質を定義するのでなく、大学の使命を考慮に入れたものとなっている。等級評価の周期は一般に5~10年であり、一般社会で大学間の比較を行うのに便利なように、評価の結果は大学の具体的なデータを含め、その大部分が何らかの形で公表される。
インドは2007年4月から「大学評価・認証の新しい方法」を全面的に実施している。この新しい方法は各基準のそれぞれのキーポイント及びその細分化したウェイト(重み)を定め、以前の9つの等級から3つのアルファベットの等級に改め、即ち認証にパスした大学には「A、B、C」を付けている。また、認証にパスしなかった大学には「D」を付け、4つの等級に区分した累積平均成績点(CGPA)システムを設けている。新しい方法では、大学の各キーポイントはA、B、C、Dの4種類のランクにより採点が行われ、それぞれ最良(4点)、良好(3点)、満足(2点)、不満足(1点)を表す。各大学のそれぞれの基準のキーポイントの総点は適切なウェイト付けをして算出され、基準の平均成績点(CR-GPA)も導き出される。各基準に対するウェイト付けを通じ、最終的な評価結果の累積平均成績点(CGPA)は7項目基準の7つの平均成績点から算出される。このようにすれば、各大学に対する一段と精確な評価を行うことができる(表1を参照のこと)。
指標 | キーポイント | 大学 | 自治カレッジ | 付属カレッジ/直属カレッジ |
ウェイト | ||||
1.課程 | 1.1課程の設計と開発 | 90 | 50 | 10 |
1.2学術の柔軟性 | 30 | 20 | 15 | |
1.3課程のフィードバック | 10 | 10 | 10 | |
1.4課程の改善 | 10 | 10 | 05 | |
1.5課程面の最良実践 | 10 | 10 | 10 | |
総点 | 150(15%) | 100(10%) | 50(5%) | |
2.教育と評価 | 2.1採用手続きと学生の特性 | 20 | 30 | 30 |
2.2異なる需要への適応 | 20 | 35 | 45 | |
2.3教育過程 | 90 | 170 | 270 | |
2.4教師の質 | 60 | 65 | 65 | |
2.5評価の過程と革新 | 50 | 40 | 30 | |
2.6教育と評価の最良実践 | 10 | 10 | 10 | |
総点 | 250(25%) | 350(35%) | 450(45%) | |
3.研究、コンサルティングと普及サービス | 3.1研究の進歩 | 40 | 30 | 15 |
3.2研究と発表の成果 | 90 | 50 | 25 | |
3.3コンサルティング | 20 | 10 | 05 | |
3.4普及サービス活動 | 30 | 40 | 40 | |
3.5協力 | 10 | 10 | 05 | |
3.6研究、コンサルティングと普及サービスの最良実践 | 10 | 10 | 10 | |
総点 | 200(20%) | 150(15%) | 100(10%) | |
4.基盤施設と学習資源 | 4.1学習のハード施設 | 20 | 20 | 20 |
4.2基盤施設の保守 | 10 | 10 | 10 | |
4.3学習資源とするもの 図書館 | 35 | 35 | 35 | |
4.4学習資源とするもの 情報通信技術 | 15 | 15 | 15 | |
4.5その他設備 | 10 | 10 | 10 | |
4.6基盤施設と学習資源の最良実践 | 10 | 10 | 10 | |
総点 | 100(10%) | 100(10%) | 100(10%) | |
5.学生の支持と 拡大 |
5.1学生の拡大 | 30 | 30 | 30 |
5.2学生の支持 | 30 | 30 | 30 | |
5.3学生の活動 | 30 | 30 | 30 | |
5.4学生の支持と拡大の最良実践 | 10 | 10 | 10 | |
総点 | 100(10%) | 100(10%) | 100(10%) | |
6.管理と指導 | 6.1大学の未来像と指導 | 15 | 15 | 15 |
6.2組織管理 | 20 | 20 | 20 | |
6.3戦略的発展と戦略的配置 | 30 | 30 | 30 | |
6.4人的資源管理 | 40 | 40 | 40 | |
6.5財政管理と資源移動 | 35 | 35 | 35 | |
6.6管理と指導の最良実践 | 10 | 10 | 10 | |
総点 | 150(15%) | 150(15%) | 150(15%) | |
7改.革 措置 |
7.1内部質評価システム | 20 | 20 | 20 |
7.2具体的措置 | 15 | 15 | 15 | |
7.3ステークホルダーとの関係 | 15 | 15 | 15 | |
総点 | 50(5%) | 50(5%) | 50(5%) | |
総点 | 1000 | 1000 | 1000 |
英国はかつて大学に対し、等級評価を試行したことがあるが、学界の強い反対に遭ったため、こうした評価はすぐに中止された。2002年、英国内閣が組織した専門家チームは「高等教育:負担の軽減」と題するレポートを発表し、等級評価に対する学界の主な批判的意見を伝えた。同レポートは、等級評価は人力・物力を浪費し、人材養成の質に対する改善効果がほとんどないと述べている。等級評価に対する学界のもう1つの主要意見は、伝統的な大学運営自主権を大いに侵害するというものである。これらの批判の声に基づき、英国では国の高等教育評価における監査評価モデルがついに確立されることになった。
中国の第1次大学本科教育評価も典型的な等級評価であった。
(3)監査評価
「監査は外部が推進する、内部の質保証・評価・改善システムに対する同業者の評議である」。監査は認証・等級評価と同じように、学校の自己評価と学外専門家の実地視察を結び付けた方法であるが、それは教育の質を直接評価するのでなく、大学の内部質保証システムの評価を通じて教育の質を間接的に評価する。監査モデルは大学の運営自主権を十分に尊重し、大学運営の多様化を支持しており、且つ内部質保証システムが完備しているなら、教育の質も確保されるとの前提に立っている。そうであれば、外部の評価機関が学校の教育の質を直接評価する必要はなく、しかも実際の所、外部評価機関がその質を直接評価するのは確かに非常に難しいのである。監査モデルはまた、完備した内部質保証システムがなければ、たとえ優秀な教師、学生、管理者がおり、十分な資源があったとしても、教育の質を確保するのは難しく、従って、外部機関は大学の内部質保証システムを主に評価すべきだとの考えに立っている。監査は学術基準を示し、又は教育結果の質を確定するのではなく、学校がその選択した目標と基準をどう首尾よく達成するのかを考察し、内部質保証システムの有効性を考察しなければならない。監査評価は当初、専攻に対する評価が中心であったが、現在は大学に対する評価(幾つかの専攻に対する『フォローアップ』を含めてもよい)が中心となっている。監査評価が終了すると、その詳細な監査報告が社会に公表される。
早くも1976年、米国の学者が論文の中で、財務監査の概念を参考にし、米国の大学認証制度に対する改革を行うよう提案した。しかし、監査モデルによる大学評価が行われるのは1990年になってからであり、それを始めたのは英国である。だが、先に述べたように、英国はどのような評価モデルを主に採用するのかを巡って試行錯誤があり、2002年に再度試行し、2006年から大学に対する新たな監査評価を全面的にスタートさせた。
英国の大学、特に高等教育体系の頂点に立つ大学は高度の自治権を持ち、学内の質の管理はずっと自らが責任を負い、即ちその学術基準は自らが策定、実施、監督、評価し、フィードバックさせている。長期の発展を経て、大部分の大学が完備した内部質保証システムを持つようになった。例えば、ケンブリッジ大学は「ケンブリッジ大学の質の保証と向上に関する指針」を出版しており、現在、この「指針」はインターネットで閲覧することができる。ケンブリッジ大学の人材養成はこの指針に厳格に従って行われ、日常の質の管理業務の他、学部・学科の評価を定期的に実施している。また、隔月通信、シリーズセミナー、ネットワークデータベース等を通じ、評価の中で気付いた優れた経験を学外に広めている。英国高等教育質保証機構(QAA)は、高等教育の質の保証は主に大学が自ら責任を負うものであると強調した。このため、2002年以降、大学評価の重点はその教育の質を直接評価するのでなく、内部質保証システムの有効性を評価することに置かれており、これには関係機関が整備されているか、学内の専攻と課程に対する評価が恒常的かつ効果的に行われているか、外部に発表する質に関する情報が正確、完全で信頼できるものであるか等がある。こうして内部統制を中心とし、外部監督を補助とする高等教育質保証システムが出来上がったのである。
スウェーデン政府は早くから大学が学科レベルで自己評価を行うよう奨励しており、大きな成功を収めた。1993年、スウェーデン政府はさらに大学に対し、学内の質向上計画を策定するよう求めた。スウェーデンは1995年に第1次大学監査評価をスタートさせた。評価の重点は大学の内部質保証システムである。スウェーデン政府は、質の保証を学校の日常業務に浸透させなければならず、これが高等教育の質を向上させるカギとなると強調した。この国は2012年までの監査評価を中心とする高等教育質保証システム構築の計画を既に策定している。
大学がその内部質保証システムを改善するのを支援するため、フィンランド高等教育評価委員会は教育省及び各大学と協議した後、2005~2007年に大学内部質保証システムの監査に関する計画を実施した。その目的は大学が持続的、系統的な、国の目標に合致する、且つ国際的な信頼性を備えた質保証システムを持つのを確実にすることである。監査評価の目標は事前に確定したある種の特別モデルに基づき、異なる質保証システムを調整することではない。各大学は内部質保証システムの目標、組織、原則、方法、発展を自主的に決めることができるが、評価チームに文書を提出し、その質保証システムの成果を実証しなければならない。フィンランドは昨年から新たな監査評価をスタートさせた。この評価は2011年に終了する予定である。
1997年、南アフリカ政府は同国の高等教育法に基づき、高等教育委員会の永続的な下部機関として高等教育質委員会を発足させた。この下部機関は大学内部質保証システムの監査を主な内容とする第1次高等教育評価を2004年から始めており、今回の監査評価計画は2010年に完了する。
ニュージーランドは英国に続いて監査モデルによる評価を実施した国の1つである。1994年から大学の監査評価を始めており、これまで1度も中断したことがなく、現在第4次の評価が行われている。
2001~2007年、オーストラリアは第1次の全国大学監査評価作業を実施した。そして2008年に第2次監査評価をスタートさせた。この2回の評価、特に第2次評価の重点は大学内部質保証システムの運営状況を監査することである。
中国香港は監査評価を最初に実施した地区の1つとして国際的に広く認められており、1995年にスタートさせた実験で大きな成果を収めている。2008年、新しく発足した香港特別行政区大学教育資金助成委員会資質保証局は初の大学評価報告、即ち香港中文大学に対する監査報告を発表した。この報告から見ると、その評価の重点も学内の質保証システムに置かれている。
米国も1990年代以降、監査評価モデルを採用し、又はそのモデルで認証評価モデルを改良することを試みた。例えば、米国西部地域私立学校大学協会(WASC)、全米教師教育資格認定協議会(NCATE)、イリノイ州高等教育委員会等でこうしたことが試みられている。テネシー州は大学内部質保証システムの監査評価を政府が高等教育の質を確保するための重要な手段とすることを明確にした。
(4)2つの認識
まず下記の2つの表を見て欲しい。
評価モデル | 認証評価 | 等級評価 | 監査評価 |
主な目的 | 学校が運営の基本的条件を備えていることを認定する | 社会を代表してその責任を問い、学校間の比較を行うことができる | 学校の得意分野と苦手分野を明確にし、その質の向上を促す |
教育の質を直接評価する意図があるか | はい | はい | いいえ |
評価範囲 | 比較的広い | 比較的広い | 比較的狭い |
特に重視する評価の側面 | 投入(使命、資源と手順) | 成果(学生の学習による成果等) | 過程(内部質保証システム) |
評価基準 | 最低基準の設定。弾力性に欠ける | 学校を分類することができ、基準には一定の弾力性がある | 基準は学校の運営目標によって異なり、比較的大きな弾力性がある |
大学自主権に対する関与 | 一定の関与がある | 比較的大きな関与がある | 関与が少ない |
評価結果 | パスしたかどうかの結論を公表する。但し具体的なデータは公表しない | 定量評価又は等級区分を行い、時には適切なルートを通じ、一部の具体的データを公表する | 主には定性評価であり、詳細なレポート全文を公表する |
上記の2つの表及び先に紹介した3種類の主要評価モデルの変遷状況から見ると、我々は以下の2つの認識を得ることができる。
- 認証評価、等級評価、監査評価はそれぞれ異なる内容を持ち、それぞれの評価機能に対応している。しかし、3種類の評価モデルの区分も絶対的なものでなく、ある程度相通じる個所がある。例えば、それらは類似した評価方法と評価手順を採用し、しかも3種類の評価モデルには互いに浸透し、長短補い合う傾向が見られる。このため、「認証評価」、「等級評価」、「監査評価」という用語を厳格に使用していない国さえある。各国はこの3種類の評価モデル及びその他モデルを高等教育の外部機関による質保証の1組の「専用手段」と見なし、自国の教育制度と文化的伝統及び政府と大学の関係、評価機能の位置付け等に基づき、それぞれの条件と適用範囲の下で、その中の1つ又は複数のモデルを採用している。例えば、スウェーデンの高等教育評価は監査評価モデルだけでなく、認証評価と等級評価のモデルも同時に採用している。米国の認証評価も等級評価と監査評価の合理的な要素を吸収している。中国の第2次評価も大学のタイプ別にそれぞれ異なる評価モデルを採用することができる。例えば、評価をまだ受けたことのない新設大学には認証モデルを採用し、第1次の本科教育評価を既に受けたその他の大学には監査モデルを採用すれば、評価機能がよりよく実現されることになる。
- いずれの評価モデルを採用するのであれ、自己評価の部分を特に重視し、自己評価の過程を通して大学の内部質保証システムを充実させなければならない。監査評価モデルは内部質保証システムの構築を直接促すことを意識的な主要目標とし、根源からの教育の質向上に着目したものである。国際学界の研究で証明されたように、監査評価は次の4つの面で独自の優位性を備えている。1.大学が人材養成の質向上を学校運営の優先事項とするよう促す。2.人材養成の質向上における学内の各級管理者、教師、学生の責任を明確にする。3.学内の各部門が人材養成事業の改善について積極的な議論と協力を進めるよう促す。4.学内及び学校間で人材養成の質向上に関する最良の実践について情報交換を行う。監査評価モデルは他の2種類のモデルに比べ、大学の運営自主権を一段と尊重し、評価チームと評価を受ける側の対等な相互作用を一段と重視しており、その対象とするのは具体的な教育関係者でなく、学校の内部質保証メカニズムである。このため、評価の実践において論争を引き起こすことが少なく、高等教育界に受け入れられやすく、比較的順調に進められる。1985年、オランダ政府は政策白書「高等教育:自治と質」の中で、高等教育の質の評価、保証、向上は大学自身の責任であり、大学は「質を以て自治に換える」べきであると指摘した。質の状況が異なる段階にある大学に対し、政府はそれに応じた運営自主権を与え、異なる評価モデルを採用することができると我々も考える。発生学の視点から見るなら、最初に登場したのは認証評価で、次が等級評価、最後が監査評価である。三者にはそれぞれの発展段階で優劣の違いがあると言うことはできないし、後の評価モデルが必然的に前の評価モデルに取って代わると断言することもできない。しかし、比較して言うなら、特に基本的な運営条件を既に備えた大学については、監査評価を採用すれば、より大きな効果を生む可能性がある。
3.中国の大学本科教育評価モデル改革についての展望
1980年代以降、世界各国は高等教育の核心は教育の質向上にあると一様に強調するようになった。1998年の世界高等教育会議は質の問題を21世紀の高等教育の三大テーマの1つに取り上げた。中国共産党第17回全国代表大会の報告でも「高等教育の質向上」が今後の1時期における中国高等教育の中心任務とされている。大学本科の教育の質を高めるカギは、大学が自らの需要を源泉として、インセンティブと診断性を備え、本科教育の持続的発展を促進でき、自校独自の個性を持つ内部質保証システムを自主的に確立することである。国外の経験を参考にし、自国の状況と結び付け、我々は次のように考える。中国の第2次大学本科教育評価は監査評価という大学の内部質保証システムを特に重視する評価モデルを主に採用し、内部質保証システムの構築促進を基本的な目標とすべきである。
監査評価は最も個性化された高等教育評価モデルである。それは内部質保証システム構築の重要性を強調し、大学の運営自主権を最も尊重しており、また、大学運営の個性を最もよく体現し、発揚することができる。現在、人々が最も心配しているのは、国内の高等教育界には監査モデルを熟知、理解する評価専門家が少なく、効果的な訓練がなければ、監査評価を順調に進めることができないのではないかということである。だが、監査評価は中国の大学にとって見慣れぬ不思議なものではない。中国香港の経験は吸収するのに都合がよいが、それ以外にも、中国大陸には既に格好の事例がある。上海テレビ大学がICDE(国際遠隔教育評議会)の監査評価を受けたことである。この事例が持つ意義は遠隔教育の分野を遥かに超えており、中国の第2次大学本科教育評価にとっても同様に重要な模範的役割を持つものだと我々は考える。
上海テレビ大学は2005年に「中央ラジオ・テレビ大学人材養成モデル改革・オープン教育実験」プロジェクトの総括評価で「優秀賞」を獲得した。しかし、同校は現状に満足せず、自らにプレッシャーをかけ、世界の先進的な高等遠隔教育の基準に合わせることを考えた。そこでICDEの監査評価を受ける構想が生まれ、2006年6月に正式な申請を出した。1年後、双方は合意に達した。これを踏まえ、ICDEは取り決めに基づき、16条46点の監査評価リストを上海テレビ大学に手渡した。2008年2月、双方は監査評価の契約を交わした。その後、ICDEは上海テレビ大学に6つの面から自己評価報告書を作成・提出するよう要求し、2008年6月2~6日に専門家を派遣して実地視察を行った。2008年10月、ICDEは上海テレビ大学に正式な監査評価報告書を送付し、3点の「称賛」と8条の「提案」を示すとともに、証書を発行し、「上海テレビ大学の内部質保証構造及びそのメカニズムの有効性」を確認した。今年9月21~22日には上海テレビ大学の招きに応じ、レビューを行った。
上海テレビ大学を対象とするICDE監査専門家チームのチーフを務めた英国オープン・ユニバーシティ元副学長、ポール・クラーク氏の説明によると、英国高等教育質保証機構(QAA)はオープン・ユニバーシティという遠隔教育大学に対する監査評価について別個の枠組みを設けておらず、全ての大学に対する共通の枠組みを採用している。上海テレビ大学に対するICDEの監査評価も英国の大学監査評価と大きな共通点がある。ICDEの監査評価の重点は、内部質保証システムとそのメカニズムの有効性、大学が発表するその学校運営の質及び考課基準に関する情報の正確性、完全性及び信頼性、大学が現在実施している内部質保証フローの事例である。ICDEは上海テレビ大学に対し、目的と目標、課程設計、教授・学習と測定評価、学習支援・指導、学習資源(人的資源と物的資源)、質の保証と向上という6つの側面から自己評価報告書を作成・提出するよう求めた。この6つの側面について、ICDEはさらに創設、実施、評価、改善の4つの点から逐一回答し、「且つ実例を挙げる」よう求めた。この監査評価の枠組みから見ると、学校の内部質保証システムが重点的に考察され、また、「学生を中心とし」、課程作りを重視する運営理念が十分体現されたものとなっている。
5日間の実施視察の中で、ICDEの評価専門家は大学の管理者、教師、学生ら計80人余りに対し、9回の集団インタビューを行った。このインタビューで出された質問は上海テレビ大学の運営目標及び教育の特徴と密接な関係がある。典型的な質問は以下の通り。
- あなた方は学習型大学を築く計画を持っているが、目指す目標はどのようなものか?
- あなた方は教職員をどう励ましているのか?大学はどのような措置を講じ、学生の学習意欲を引き出しているのか?
- 本校と分校はどのようにして一致性を保つのか?
- 本校のインターネット教育資源をどう評価するか?情報管理プラットフォームに満足しているか?「学習指導、自学自習、学習支援」の「3L」教育モデルをどう認識しているか?どのように運用しているのか?
- 「ワンストップ」支援サービスはあなた(学生)にとってどんな意味があるのか?
- あなた方はインターネット教育の質をどう保証するのか?インターネット課程の質についてどんな見解を持っているのか?
ICDEの監査評価を通じ、上海テレビ大学は遠隔オープン教育において「学生を中心とする」質保証理念が持つ重要性に対する認識を一段と高め、課程教育・管理における情報技術の応用を一段と重視するようになり、国際的視野を広げ、質保証システムを充実させた。ICDEの監査評価終了後の1年余りの間に、上海テレビ大学は監査評価報告で出された提案に基づき、必要な行動を起こし、進歩した。今年1月、上海テレビ大学はユネスコのハマド国王賞を受賞し、9月には教育部国家級高等教育成果1等賞を受賞した。要するに、ICDEの監査評価は上海テレビ大学の内部質保証システム構築を促し、同校の教育の質に対する学生及び社会各界の満足度を高めたのである。
上海テレビ大学の事例がはっきりと示しているように、監査評価という基本的枠組みが1つしかなく、数量化された基準を持たない評価は、各種の大学運営の普遍的法則を体現し、各大学の個性を十分に発揮させ、発揚することができ、大学は自校の運営目標に従ってその質を保証できるようになる。監査評価モデルは遠隔教育大学だけでなく、ふつうの大学にも適用される。こうしたモデルは同一の尺度で全ての大学を判断するのでなく、いずれの大学にとっても公平なものであり、大学の個性化、多様化を伸ばすのに有利である。また、こうしたモデルは地方政府と一部の大学に過大なプレッシャーをかけることがなく、評価結果の優秀率が高過ぎるという問題が起きることもない。なぜなら、それは総括重視の評価でなく、発展重視の評価であるからだ。各校はいずれもその優れた点と足りない点を指摘されることになる。こうしたモデルによって、大学は評価の主体となった。評価の内容が大幅に簡略化され、重点的に評価するのは大学の内部質保証システムであり、評価の客観性が確保される。第1次評価で浮かび上がった問題点を踏まえ、中国の第2次大学本科教育評価は監査評価というモデルを主に採用し、大学の内部質保証システム構築に力を入れ、各校の運営自主権を十分に保証すべきである。こうすれば、最終的に全国の高等教育の質向上を促すことができる。
中国教育部が2007年に出した「本科教育改革の一層の深化と教育の質の全面的向上に関する若干の意見」は、「大学の内部質監視・評価システムを一段と充実させなければならない。各大学は教育の質に対する監視を一段と強化し、管理者、教師、学生が共同参画する大学内部質保証・評価メカニズムを確立し、課程体系と教育内容に対する社会・企業評価制度、授業評価制度、実践教育評価制度、指導者・教師聴講制度、同業者評議制度、学生定期フィードバック制度及び教育監督指導制度等を作り上げ、人材養成過程に対する管理を強化しなければならない。また、教師、学部・学科、学校という3つのレベルの質保証メカニズムを整え、教育の質向上を確保するための長期メカニズムを徐々に確立しなければならない」と指摘している。教育部の文書は大学の内部質保証システムについて一般的な説明を行い、各校の内部質保証システムの構築について指針を与えたものである。しかし、各大学にはそれぞれの目標、使命、構造があり、確立する内部質保証システムは自らの特色を持たせることが完全に可能である。監査評価は全校一律を強く求めておらず、その上、各校が自らの特色と個性を持つことを特に奨励している。監査評価という評価モデルの魅力はまさにこの点にあり、また、我々が中国の関係部門に対し、第2次大学本科教育評価ではこのモデルを主に採用するよう提案した理由もここにある。国情と結び付け、世界の先進的な経験を大いに参考にし、監査モデルを採用して第2次大学本科教育評価を実施するなら、第1次評価の長所をよりよく生かし、その短所を避けることができ、外部質保証システムを導きとし、内部質保証システムを基礎として、中国の特色を持つ大学本科教育の質を絶えず高めるための真の長期メカニズムを確立することができるであろう。我々はそう信じている。