パーキンソン病の細胞療法に関する研究
2010年11月12日
李凌松(Li lingsong):
北京大学幹細胞研究センター主任、教授
1962年11月生まれ。
1999年University of Washington Molecular Cell Biology博士。
胚胎幹細胞と胚胎生殖細胞の自己更新の分子メカニズム、及びPAX6-SOX2の神経幹細胞と膵臓β細胞の成熟に対する制御を主な研究テーマとしている。
共著者:Jianjun Sun、 Yinan Liu
要約
パーキンソン病(PD)は、最も一般的な神経変性疾患の1つである。現在のパーキンソン病の治療方法は一時的な症状の緩和を提供するが、何れの方法も病気そのものの流れを変えることはない。薬物療法 は貴重であるが長続きする治療法ではない。一方、現状の外科療法は投薬治療と変わりがない。胎児の中脳組織の移植が治療の選択肢として現れたが、胎児のドナーの不足と安全面の懸念によりその臨床応用は限られている。最近の幹細胞研究の進歩は、変性したニューロンを置き換えるための幹細胞移植がパーキンソン病治癒の可能性を提供するかもしれないという期待を抱かせ、これが少なくともパーキンソン病動物モデルでは希望が抱けることが証明された。それでも、異なる細胞タイプや幹細胞の分化段階が細胞をベースとする臨床治療の安全性と有効性に影響を与える可能性について大きな懸念がある。この論文は様々に異なる分化段階で、様々な異なる細胞を使用するパーキンソン病動物の治療の概要を提供する。
はじめに
パーキンソン病(PD)は、世界中で50歳以上の人口の5000分の1に影響を及ぼしている。この病気は黒質緻密部の中のドーパミン作動性神経の喪失によって引き起こされ、静止時振戦、硬直性、及び運動機能低下症の3つの古典的な症状が特徴である。これらの症状には歩行や平衡感覚の乱れが続き、さらに自律神経障害、うつ病、及び後期には認知症を伴う。
病理学的観点からは、PDの患者は線条体方向に突き出る中脳黒質ドーパミン(DA)産生神経を徐々に失う。黒質線条体神経突起は病気の運動症状の原因である。しかし、末梢神経系及び中枢神経系の他のタイプの細胞もまた影響を受けている。中脳ドーパミン(DA)産生神経での変化から始まり、この病気は皮質ニューロンのような前脳ニューロンを最終的に侵す。これらの病理所見にはまた、末梢神経系及び中枢神経系に広がるレビー小体とレビー神経突起として知られる細胞内封入体の存在が伴う。
パーキンソン病(PD)の原因は殆ど知られておらず、95パーセントの原因は孤発性である。
しかし、いくつかの感受性要因(患者によっては責任遺伝子であり得る)が、この10年の間に特定された(Lesage and Brice, 2009)。これらの研究はタンパク質の異常な折り畳み、酸化ストレスの異常な増加、ミトコンドリア機能障害及びユビキチン‐プロテアソーム系とオートファジー‐リソソーム系の障害、これら全てがPDの進行に関与することを示唆している。
パーキンソン病患者は現在、多様な薬物学的薬剤で治療されている。これらの薬剤にはレボドパ、ドーパミンアゴニスト、及びモノアミンオキシダーゼB阻害剤が含まれていて、これらの薬剤は病気の初期段階ではしばしば有効である。レボドパはまだ最も有効な薬であるが、振戦やジスキネジアのような副作用がしばしば観察される(Chapuis et al., 2005, Isacson, 2004)。数多くの研究は、両側視床下核刺激、或いは淡蒼球内節刺激がパーキンソン病の症状を改善し、「オン=自覚」時間を延長することを示している。この治療介入は日々のレボドパの投与量を少なくし、レボドパに関係する運動合併症とジスキネジアを改善する。残念ながら、これらの治療法の何れもが病気の進行を止められない(Krack et al., 2003)。従って、人々は幹細胞が病気の代替療法として使用できることを望んでいる。
幹細胞は長期の自己複製能を備えた未熟細胞であり、その由来次第で、複数細胞タイプに分化することができる。 幹細胞、或いはその誘導体の移植、及び成体脳内の内因性幹細胞の動員が神経変性疾患の将来的な治療法として提案されている。動物モデルを使っての研究では、神経移植及び損傷した神経回路の部分的再建が可能であることが示されている。また、臨床試験の結果から、罹患した人の脳の細胞移植は症状緩和につながるという証拠がある。例えば、胎児の中脳組織片移植は運動症状を緩和し、レボドパの投与量を少なくできる(Brederlau et al., 2006, Hagell et al., 1999)。ここでは、パーキンソン病(PD)治療のための胚性幹細胞(ESC)とiPS(人工多能性幹細胞)由来ニューロン、移植された或いは内在性神経幹細胞(NSC)及び骨髄からの間葉系幹細胞の3つの異なるタイプの細胞の良し悪しの両面を論じる。移植した細胞の分化段階についても論じる。
胚性幹細胞(ESC)、或いは内在性神経幹細胞(NSC):良い点悪い点
胚性幹細胞(ESC)は着床前胚盤胞の内部細胞塊に由来する。これらの細胞は多能性細胞であり、全ての細胞系統を生成することができる。従って、胚性幹細胞(ESC)を内在性神経幹細胞(NSC)、或いはドーパミン作動性神経へ分化するように誘導し、その後、病気の治療のためにパーキンソン病患者に移植することが可能である。
内在性神経幹細胞(NSC)は胎児脳、或いは成体脳から単離することが可能で、これらの細胞は発生期の脳に、及び成体の神経再生にも同様に、あらゆるタイプの神経細胞を提供する。内在性神経幹細胞(NSC)がin vitroでよく広がり、一定の培養条件、或いはin vivoでの適切な脳領域でドーパミン作動性神経へ分化することから、パーキンソン病(PD)の動物モデルの治療に内在性神経幹細胞(NSC)、或いは内在性神経幹細胞(NSC)由来のドーパミン作動性神経の使用が試みられてきた。
更に、パーキンソン病(PD)の動物の治療に新鮮単離した胎児の初代神経細胞と骨髄からの間葉系幹細胞を使用することが報告されている。我々はパーキンソン病(PD)の幹細胞研究の現状を再検討し、この深刻な病気治療のいくつかの異なった期待のもてる、しかし困難な治療可能性についての見識を提供する。
1. 胚性幹細胞(ESC)
胚性幹細胞(ESC)は、その自己複製能とin vitroで遺伝子操作ができることから、細胞移植用の魅力的な候補である。胚性幹細胞(ESC)は未分化状態で増殖するユニークな特徴を持っている。形質転換した腫瘍細胞株と異なって、胚性幹細胞は長期の継代培養の後でも通常の核型を維持する。もう一つの胚性幹細胞(ESC)の重要な特徴はin vivoで全ての細胞系統へ、in vitroで数多くのタイプの細胞に分化する能力である。従って、胚性幹細胞(ESC)は幹細胞源の中で最高の移植対象候補と考えられている。1998年のヒトの胚性幹細胞(ESC)の単離の成功は飛躍的に胚性幹細胞(ESC)療法についての一般の関心を喚起した(Thomson et al., 1998)。
移植されたマウスの胚性幹細胞(ESC)が増殖し、実験用のパーキンソン病(PD)ラット脳のドーパミン作動性神経へすっかり分化することができると報じられている。移植された胚性幹細胞(ESC)を受ける動物は挙動の回復を示し、この機能回復は神経画像で確認された。移植された胚性幹細胞(ESC)が受ける側の動物に奇形腫を発生させなかったのは驚きである。これは異種移植により引き起こされる腫瘍抑制の効果が原因の可能性がある。
胚性幹細胞(ESC)の遺伝子組み換えが腫瘍形成の機会を減らしているのもかも知れない。クリプトは多くのがん細胞に発現するEGF-CFCファミリーの一員である(Baldassarre et al., 2001, D'Antonio et al., 2002)。抗CFCドメイン抗体はクリプトの機能をブロックし、腫瘍細胞の成長を減速させる(Adkins et al., 2003)。パーキンソン病(PD)のラットモデルでのクリプト/胚性幹細胞(ESC)のin Vitroの分化はドーパミン作動性分化並びに腫瘍形成を伴わない挙動的及び解剖学的回復の増加につながる(Parish et al., 2005)。これらの潜在的問題を回避するもう一つの代替的方法は胚性幹細胞(ESC)の「自殺」遺伝子を発現させることである。ヒトの胚性幹細胞(ESC)株は遺伝子組換えにより、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVtk)遺伝子を発現することができる。この遺伝子は胚性幹細胞(ESC)株をガンシクロビル感受性とすること、及びin vivoで他のタイプの細胞には非致死型のガンシクロビルの存在下でHSV-tk(+)細胞の破壊を誘発することができる(Schuldiner et al., 2003)。
パーキンソン病(PD)動物モデルでのこれらの心強い観察にもかかわらず、倫理的懸念からヒトの患者にこのような実験を行うことは不可能である。現実的なアプローチは移植の前に、胚性幹細胞(ESC)を内在性神経幹細胞(NSC)、或いはドーパミン作動性神経へ分化することである。
CNSニューロン、星状細胞、及び乏突起膠細胞の三つの主な細胞型のそれぞれは適切な条件下で胚性幹細胞(ESC)から生成し、単離できる(Barberi et al., 2003, Okabe et al., 1996)。In vitroでのドーパミン作動性神経生成では、遺伝子組換えと培養条件の操作という二つの側面が考慮の対象となる。チロシンヒドロキシラーゼ(TH)はドーパミン作動性神経表現型を示すドーパミン合成のための律速酵素である。チロシンヒドロキシラーゼ(TH+)中脳ドーパミン作動性神経の生成ができない核受容体関連因子(Nurrl)欠損マウスは、核受容体関連因子(Nurrl)戦略の過剰発現が幹細胞の分化を促進(Zetterstrom et al., 1997)し、事実、核受容体関連因子(Nurrl)はマウスの胚性幹細胞(ESC)をドーパミン作動性神経への分化を助けることを示唆している(Kim, 2004)。Pitx3は中脳ドーパミン作動性神経個体群の完全な成熟と生存に必要な別の因子である(Nunes et al., 2003)。核受容体関連因子(Nurrl)とPitx3はマウスとヒト胚性幹細胞(ESC)培養物の中脳ドーパミン作動性神経表現型への最終成熟を協力的に促進する(Martinat et al., 2006)。
5段階方法はin vitroでの胚性幹細胞(ESC)のドーパミン作動性神経への分化への標準的なアプローチである。未分化胚性幹細胞(ESC)は広がり、胚様体(EB)へと誘導される。胚様体(EB)から選ばれたネスチン+細胞は広がり、チロシンヒドロキシラーゼ(TH+)神経へと誘導される。5段階方法と比べると、ストロマ細胞由来誘導活性(SDIA)方法はより早く、簡単なだけでなく、マウスの胚性幹細胞(ESC)分化の効率性を高める(Kim, 2004)。PA6ストロマ細胞で共培養されたマウスの胚性幹細胞(ESC)は、シグナル分子ソニック・ヘッジホッグ(Shh)、線維芽細胞増殖因子(FGF)-8、及びアスコルビン酸で治療すると、約90%のチロシンヒドロキシラーゼ(TH+)神経を含む。移植はまた、マウス線条体に移植された胚性幹細胞(ESC)からのチロシンヒドロキシラーゼ(TH+)神経の効率的な生成を示している(Kim et al., 2006)。マウスのセルトリ細胞と霊長類の胚性幹細胞(ESC)との共培養は、3週間の誘導後に、胚性幹細胞(ESC)の90%をチロシンヒドロキシラーゼ(TH+)細胞に変えることが報告されている。これらの移植された細胞はマウスモデルで2カ月生存することができる(Yue et al., 2006)。
ヒトの胚性幹細胞(ESC)もまた、in vitro及びin vivoでドーパミン作動性神経に誘導することができる(Iacovitti et al., 2007)。一つのBMP拮抗分子であるNogginは、ストロマ細胞由来誘導活性(SDIA)方法でin vitro及びin vivoでドーパミン作動性神経を生成するヒト胚性幹細胞(ESC)からの神経上皮前駆細胞の生産量を著しく高める(Sonntag et al., 2007)。テロメラーゼ不死化ヒト胎児中脳星状細胞を伴うシグナル分子ソニック・ヘッジホッグ(Shh)と線維芽細胞増殖因子(FGF)-8に晒されたヒトの胚性幹細胞(ESC)はドーパミン作動性ニューロン新生のドーパミン作動性神経への分化を促進する。細胞の移植は、パーキンソン病ラットにおける重要かつ実質的、そして長期間継続する運動機能の回復を達成する(Roy et al., 2006)。
2. 内在性神経幹細胞(NSC)、或いはドーパミン作動性神経
内在性神経幹細胞(NSC)は胎児脳と成体脳の両方に存在し、ニューロン、乏突起膠細胞、及び星状細胞の三つの神経系列を生み出す(Palmer et al., 2001)。胎児脳では、内在性神経幹細胞(NSC)は終脳脳室(VZ領域)周囲の狭い帯域で形成される。脳室(VZ)領域では、一つの内在性神経幹細胞(NSC)が一つの内在性神経幹細胞と別の神経前駆細胞を非対称分裂により生産する。この神経前駆細胞はその後、脳室から脳室下領域(SVZ)へ移動し、そこで正のフィードバック機構(Hu et al., 2010)を使って大きく広がり、ニューロン新生のために数多くの神経細胞を生成する(Roth and Dicke, 2005)。一方、成人のパーキンソン病(PD)患者では、内在性神経幹細胞(NSC)は喪失したドーパミン作動性神経を回復することができない。従って、異質の内在性神経幹細胞(NSC)の移植はパーキンソン病(PD)患者の代替療法だとのみ考えられている。
内在性神経幹細胞(NSC)は、in vitroで中脳ドーパミン作動性神経の生存を高め、in vivoで変性ニューロンを救済することが報告されているグリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)のような栄養因子を放出することでパーキンソン病(PD)の状態を改善する可能性がある(Love et al., 2005)。グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、或いはニュールツリンを形質移入された内在性神経幹細胞(NSC)は数カ月間生存が可能で、パーキンソン病(PD)マウスモデルに移植された後の運動挙動を明らかに改善した(Akerud et al., 2001, Liu et al., 2007, Ostenfeld et al., 2002)。ヒトの内在性神経幹細胞(NSC)の移植は、Bcl‐2のアップレギュレーションを通じてアポトーシスを抑制することで、in vitro及びin vivoのドーパミン作動性枯渇に対する神経保護作用を発揮した。パーキンソン病(PD)ラットは、対照と比較して、ヒトの内在性神経幹細胞(NSC)の刺激因子分泌及び神経細胞分化が大きく改善される(Yasuhara et al., 2006)。ヒトの内在性神経幹細胞(NSC)の異種移植はパーキンソン病(PD)動物モデルで機能改善を提供する(Kim et al., 2006)。内在性神経幹細胞(NSC)の神経保護の役割は機能移植と同じ程度重要であるかもしれない。
しかし、内在性神経幹細胞(NSC)がより広い領域へ移動するようであり、この散在性の移動はパーキンソン病(PD)動物に対する内在性神経幹細胞(NSC)の治療効果を危うくする可能性がある事実は注目に値する(Wang et al., 2004)。更に、胎児脳から単離された内在性神経幹細胞(NSC)は受ける側の脳に腫瘍を発症させる可能性がある(Amariglio et al., 2009)。これらの懸念全ては、内在性神経幹細胞(NSC)のドーパミン作動性神経への前分化が、細胞移植によるパーキンソン病(PD)治療のより適切な方法である可能性を示唆している。
培養条件の操作及び遺伝子組換えによって、内在性神経幹細胞(NSC)のドーパミン作動性神経への分化を高めることができる。例えば、FGF-2と線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーの新しい一員であるFGF-20の相乗作用は猿の内在性神経幹細胞(NSC)のドーパミン作動性神経への分化を優先的に増加させる(Ohmachi et al., 2000)。更に、これらの細胞の移植は事実、霊長類のパーキンソン病(PD)モデルでの神経系の症状を緩和した(Takagi et al., 2005)。Bcl-XLの過剰発現はin vitro及びin vivoのヒトの内在性神経幹細胞(NSC)の自発的なドーパミン作動性分化能力を増加させ、さらにヒトの内在性神経幹細胞(NSC)の生成を高めることができる(Liste et al., 2004)。我々はまた、前分化したドーパミン作動性神経が散在的に移動するのではなく、線条体内部の局注部位に留まり、マウスのパーキンソン病(PD)モデルでは機能的なドーパミン作動性神経になることを観察した(Wang et al., 2004)。
3. 間葉系幹細胞
骨髄幹細胞は、倫理的、或いは技術的障害がなく患者から容易に単離して増殖させることができることから治療薬として大きな可能性を秘めている。造血幹細胞と骨髄間葉系幹細胞がある。間葉系幹細胞(MSC)としても呼ばれている骨髄間質幹細胞はin vitroで神経的特徴を見せる細胞に分化することができる(Woodbury et al., 2000)。マウスの間葉系幹細胞(MSC)の線条体内移植がロータロッド試験で大きな改善を示し、細胞が4カ月以上生存することが報告されている(Li et al., 2001)。パーキンソン病(PD)ラットに移植されたチロシンヒドロキシラーゼ(TH)で操作したラットの間葉系幹細胞(MSC)が非対称な回転のラウンドを減らし、TH遺伝子発現効率は約75%である。従って、間葉系幹細胞(MSC)は遺伝子治療の薬物送達媒体として使用できる(Lu et al., 2005)。他の幹細胞と異なり、間葉系幹細胞(MSC)は異常細胞や組織を修理するために移動することができる(Hellmann et al., 2006)。
間葉系幹細胞(MSC)はまた、臍帯基質から単離することができる。これらの細胞はまた、臍帯基質幹細胞(UCMS)と呼ばれている。ヒトの臍帯基質幹細胞(UCMS)は、神経細胞用条件培地Shh及びFGF-8での段階的培養を通じて誘導され、in vitroでドーパミン作動性神経となることが可能で、12.7パーセントの細胞はTH+である(McGuckin et al., 2004)。更に、臍帯基質幹細胞(UCMS)は移植後の実験用パーキンソン病(PD)ラットの異常回転を改善した(Weiss et al., 2006)。
間葉系幹細胞(MSC)は豊富にあり、安全で倫理的にも容認可能な幹細胞源である。間葉系幹細胞(MSC)の自家移植は免疫学的拒絶を防ぐための完全なプランとなるだろう。これらの細胞は末梢循環から脳へ移動し、損傷場所に集まる。これは非常に移植にとって好都合である。UCBの大きな優位性は、マッチした骨髄ドナーを持たない患者の多くが、適切にマッチするUCBユニットを持つようになる可能性が高いことである。
間葉系幹細胞(MSC)は多様なパーキンソン病(PD)動物モデルの状態を改善するようである。間葉系幹細胞(MSC)の治療効果が栄養及び神経の保護によるものなのか、或いはもう一つの可能性として、間葉系幹細胞(MSC)のドーパミン作動性神経への 分化転換によるものかのかについてまだ結論がでていない。間葉系幹細胞(MSC)を使って病気の治療をする異なった戦略を備えた、異なる細胞機構が考えだされる可能性もある。
4. 人工多能性細胞:iPS細胞
ヒトiPS細胞生成の最近の成功は、幹細胞分野で疾患モデリングや個別の細胞置換療法に対し、これらの細胞が提供する可能性について大きな関心を引き起こした(Kiskinis and Eggan, 2010)。ヒトiPS細胞を孤発性パーキンソン病(PD)患者から単離するパーキンソン病(PD)細胞置換療法に特に関連する研究が二つある(Park et al., 2008, Soldner et al., 2009)。他の幹細胞に比べ、iPS細胞は体細胞由来であることで倫理的な問題がないことに加え自家移植であり免疫抑制治療が必要ない点で、優位性を提供する。全ての可能性を実現するために重要且つ必要なステップはパーキンソン病(PD)iPS細胞が健康なヒト由来のiPS細胞と同様の効率性で中脳DA神経を生成するかの立証であった(Soldner et al., 2009)。更に、これらの細胞はin vitroでパーキンソン病(PD)のいかなる特異的特徴も生成しなかった。これらの結果は散在的なパーキンソン病(PD)iPS細胞がパーキンソン病(PD)をモデルにするには容易なツールではないかも知れないが、細胞置換療法用としては適切なツールであるかも知れないことを示している。しかし、パーキンソン病(PD)動物モデルへの移植後の、in vivoでのヒトパーキンソン病(PD)iPS細胞由来の中脳ドーパミン(DA)神経の分化と機能性に対する即応性については研究の余地がある。Shh, FGF8, FGF2 及びAAと共に中脳DA神経に前分化したマウス線維芽細胞由来のiPS細胞が、パーキンソン病ラットのホスト線条体に機能的に溶け込むこと及び挙動改善につなげることができることを一つの研究(Wernig et al., 2008)が示した。しかし、これらの細胞はまた、胚性幹細胞(ESC)移植片で見られたと同様の神経の過成長の形成につながる。iPS細胞は、胚性幹細胞(ESC)の場合より難しくはないとしても少なくともそれと同様の課題に直面すると予想されることを注意しなければならない。更に、パーキンソン病(PD)患者由来のiPS細胞は、パーキンソン病(PD)患者に移植した後で、胎児組織よりもパーキンソン病に似た特徴を発現する可能性が大きい変異、多型、或いは後成的標識を運んでいる可能性がある(Kordower et al., 2008, Li et al., 2008)。これまでの全ての初期化遺伝子は、Oct4を除き、置換可能であることが分かっている(Kiskinis and Eggan, 2010, Li and Ding, 2010)。
要約すると、iPS由来のドーパミン作動性神経が近い将来にパーキンソン病(PD)患者治療に使われると予言することは、余りにも楽観的すぎる。
5. 内在性神経幹細胞
脳室下領域(SVZ)神経前駆細胞の線条体及び柔組織への水平移動は健康脳の通常の生理的条件下では観察されなかった(Alvarez-Buylla and Lim, 2004)。しかし、虚血性障害を患った脳では、SVZの神経芽細胞が損傷した領域へ水平移動することが示されていて(Arvidsson et al., 2002)、いくつかのケースでは、鎖状構造を形成する(Yamashita et al., 2006)。パーキンソン病(PD)の動物モデルでは、成体ラットSVZ細胞がSN損傷及びクロム親和性細胞移植後にドーパミン作動性神経へ分化できるという一つの研究が報告されている(Arias-Carrion et al., 2006)。最近の一つの研究では、ヒトの脳もまた脳室下領域(SVZ)において内在性神経幹細胞(NSC)をかくまい、相似するRMSを持っていることを示唆している(Curtis et al., 2007)。この研究では、嗅球での成体脳ニューロン新生はヒトにおいて強靭な現象であり、その規模はげっ歯類におけるものと匹敵すると強く示されている。脳室下領域(SVZ)前駆細胞の標的領域である線条体への至近性、並びにin vitro (Shim et al., 2007)及びin vivo (Alvarez-Buylla and Lim, 2004) でSVZ前駆細胞がドーパミン作動性神経に分化できるという事実を考えると、SVZ前駆細胞は依然としてin vivoでのニューロン新生の調節にとっての魅力ある候補である。これらの細胞(BDNF, GDNF, EGF, PFTa等)の増殖/生存を促進する調節因子と、これらの細胞の方向性移動を誘発するストローマ細胞由来因子(SDF-1)及びCXCケモカイン受容体-4 (CXR-4) のような分子の使用を組み合わせることは期待が持てる方向性のようである。
結論にあたって
パーキンソン病(PD)の細胞置換療法が成功するには次のゴールを満たす必要がある:1)宿主組織の中での長期生存、2)成熟したドーパミン作動性神経の正しい分子的・形態学的特徴を示す成熟したドーパミン作動性神経への分化、3)規則的なドーパミン放出、4)パーキンソン病(PD)患者の行動上の欠陥を改めるにあたっての長期的な有効性、5)腫瘍形成についての最小限のリスク、及び6)ジスキネジアのような最小限の副作用、これらである。
パーキンソン病(PD)の細胞置換療法は最初考えられた以上に困難である。iPS由来のドーパミン作動性神経の最近の進歩が、無制限で、自家移植で、患者特定の移植の産生が可能な新しい治療方法を提供できるかも知れない。
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