第60号:宇宙科学
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現代の宇宙用光学リモートセンサの応用と発展

2011年 9月 5日

胡君

胡君(Hu Jun):
中国科学院長春光学精密機械・物理研究所研究員、
大学院(修士課程)指導教員

 1952年8月生まれ。1980年7月、吉林大学卒業(コンピュータ科学専攻)後、長春光学精密機械・物理研究所で研究に従事。現在、吉林省製造業情報化専門家、吉林省アニメ・ゲーム産業技術イノベーション戦略聯盟理事・専門家。
主に、コンピュータ・スマート制御及び情報処理、宇宙用光学リモートセンサのシミュレーション試験技術を研究。国家重点科学技術研究/事業、国家「863」工程、国防化学工業委員会重点事業、吉林省重点科学技術事業など多数事業を担当。

 現代の科学技術の急速な発展に伴い、各国は、宇宙からの対地・対空観測には国境がないという条件を充分に活かして、宇宙用光学リモートセンサを発展させてきた。宇宙用光学リモートセンサは主に、画像情報記録を利用したイメージセンシングシステムによりターゲット探査の目的を実現する。一般にフル・フレーム型イメージカメラ、パノラマ型イメージカメラ、スキャナ型イメージカメラ、マルチ分光器(分光光度計)、エシェル分光器、干渉分光器、放射計、イメージ分光器、赤外線カメラ、赤外線マルチスペクトラル型イメージカメラなどに分けられる。宇宙用光学リモートセンサの地上分解能はカメラの種類と軌道高度、画像解像度により異なるが、現在は0.1m~5mのものが多く、発展の趨勢から見れば、スペクトルや軌道高度ごとの分解能は年々大幅に向上している。

 光学リモートセンサは、宇宙探査機でターゲットのリモートセンシング観測・探査を行う際の重要な搭載機器として、一般にスペースシャトルや人工衛星、宇宙船、宇宙ステーションなどの宇宙探査機に搭載される。軌道高度は150km~1,600,000kmで、よく用いられるのは次の衛星である。(1) 地球周回軌道衛星。軌道傾斜角はゼロで、地球の赤道上空35,786kmを円軌道で地球の自転速度と同じ速度で運行しており、地球表層の特定のエリアに対する連続観測の目的を実現する。(2) 極軌道衛星。地球または他の天体の南北極を巡って飛行し、傾斜角は90°である。この軌道で運行する衛星は地球両極の上空を毎周通過し、地球表層全体を俯瞰できる。(3) 太陽周回軌道衛星。探査機の軌動平面と太陽とが相対的に固定した方向を終始維持し、その軌動平面は地球の自転軸の周りを旋回し、運行方向は地球の公転方向と同一で、旋回角速度は地球の公転の平均角速度に等しく、軌道傾斜角は90°に近い。衛星は両極付近を通過するため、近極地太陽周回軌道衛星ともいう。

 現在の光学リモートセンサは単一機能・単一波長域(スペクトル)・単一品種から発展を見せ、比較的小型の光学リモートセンサはすでに搭載機器一体型の小型光学リモートセンサに進化し、比較的大型の光学リモートセンサはマルチスペクトル・多品種・フルスペクトルの対空・対地の大型光学リモートセンサに進化している。目下、これら2種類の光学イメージセンサが主流・趨勢となっている。性能的には大口径、広視野幅、高分解能、スマート化、自動識別などに向けて発展しており、多機能・多品種・マルチスペクトル化が進んでいる。

1. 光学リモートセンサの応用

1.1 地上観測のイメージセンシング

 宇宙用光学リモートセンサの起源は軍事面での応用にあり、宇宙用搭載機器の最高レベルは偵察用カメラの研究開発レベルに代表される。米国のKH-1型偵察衛星の打ち上げ成功は、この技術が軍事分野で応用され始めたことを示し、KH-12型まで打ち上げられた。現在、米国が軌道上で機能させている偵察カメラは主にKH-12型偵察衛星に搭載されているカメラで、可視光分解能は0.1 m~0.15m、赤外線分解能は0.6 m~1mでスクロールイメージング機能を有し、運行軌道の東西両側エリアのイメージングができる。米国はさらにKH-13型衛星を発表した。KH-13型衛星の分解能は0.1 m~0.15m、視野幅はKH-12型の8倍に相当する50kmであり、光学式偵察装置と合成開口レーダも搭載し、イメージ分解能を保証すると同時に地上視野幅を拡大した。

 立体地図用カメラは一般に1台または数台のCCDカメラで構成され、カメラの組み合わせ方式によって撮影・測定原理が異なり、シングル、デュアルまたはトリプルのリニアアレイカメラに分けられる。このうち、シングル・リニアアレイカメラは隣接する軌道の傾斜を観測することにより幾重にも重なる立体を形成し、立体地図マッピングにおける3Dデータ取得の目的を達成する。例としてはフランスのSPOT1-4系衛星搭載のカメラがある。デュアル・リニアアレイカメラは一定の交角を有する2台のリニアアレイカメラにより構成され、長所は3Dデータ獲得時に衛星の指向方向を動かす必要がない点にある。例としてはフランスのSPOT5衛星搭載のカメラがある。トリプル・リニアアレイカメラは撮影した画像から外部標定要素を再構築する特徴を有し、例としてはドイツのMOMSシリーズの立体地図用カメラがある。

 資源探査カメラは一般に商業用衛星に搭載される。Ikonos-2衛星は分解能1mを有する初の地上観測用民間衛星であり、重量はわずか817㎏である一方、衛星直下点のパンクロ画像分解能は0.82m、視野幅は11kmで、ピッチ・スクロール姿勢機動幅は±50°、最大旋回速度は4°/s、再訪周期は3日を下回った。Pleiades-1はヨーロッパ初の分解能1mの商用光学式リモートセンシング衛星であり、パンクロ画像分解能は0.7m、視野幅は20kmに達し、衛星全体で±40°の傾斜角で前後視野ともイメージングができ、3D立体イメージ能力を有する。再訪周期は1日を下回り、地表制御地点を用い、1mの定位精度を獲得できる。

 警報カメラは大きく分けて赤外線と紫外線の2種類がある。赤外線警報カメラは受信動作方式すなわちターゲットが発する赤外線放射を探査して追跡する方式を採用しており、対電子妨害能力が強いうえに作動距離が長く、地球周回軌道上で地球表層のミサイルやロケットの発射活動を探査することができる。紫外線警報カメラは誤警報率が低く、低温冷却を要さず、スキャニングを要さず、体積が小さく重量が軽いという特徴がある。紫外線式ミサイル接近警報システムは素描式とイメージ式の2世代のイノベーションを経て、海外ではすでにイメージ式が主流となっている。例として、米国のAAR-54システムがある。

 気象観測カメラは高分解能の多波長走査放射計、赤外分光計、マイクロ波放射計などで地球を観測することにより気象データを取得し、地球環境をリモートセンシングで観測する。極軌道気象衛星と静止気象衛星の2種類に分かれ、気象条件や自然環境、国の行政区分境界などの制約を受けず、迅速・連続的かつ長期間にわたり、全球のすべての時間帯の多方位にわたる全天候観測を行うことができる。例として米国極軌道環境観測衛星システム(NPOESS)、静止地球環境観測衛星(GOES)、ヨーロッパのMeteosat気象衛星・Metop気象衛星・Envisat環境観測衛星、ロシアの流星(Meteor)極軌道気象衛星シリーズ・電子-L(Elektron-L)静止気象衛星などがある。

1.2 宇宙観測のイメージセンシング

 宇宙望遠鏡は地球の大気圏上で運行するため、地上望遠鏡とは比べようのない利点があり、取得データは大気の乱流などの干渉を受けず、視界は非常に良く、大気の散乱による逆光がないため、他の惑星や恒星の高分解能な観測に新風を吹き込んだ。ハッブル宇宙望遠鏡はモジュール化設計を採用し、カメラや分光計、航法センサなどの精密なさまざまな設備を装備しており、可視光や赤外線光、紫外線光を効果的に反射することができるため、観測スペクトルを紫外線スペクトルから赤外線スペクトルまで伸ばすことができた。JWST宇宙望遠鏡は2014年に打ち上げが予定されている、ラグランジュ点L2の赤外線に位置する宇宙望遠鏡で、口径は6.5m、スペクトルは赤外線を主とし、観測波長は600nm~5000nmで、中赤外探査機MIRI、近赤外探査機NIRCam、近赤外分光計を装備する。中国は、地球以外の天体で実施する宇宙探査活動を深宇宙探査と呼んでいるが、深宇宙探査ミッションの中では、月探査衛星「嫦娥」を例に月を主目的とする探査ミッションが最も数多く実施されており、金星と火星がこれに次ぐ。

2. 光学リモートセンサの発展

2.1 高性能な光学リモートセンサ

 宇宙からの偵察カメラの主な性能指標は地上のピクセル分解能、撮影対象の視野幅及び光学システムの品質、すなわち光学変調伝達関数(MTF)の品質である。探査機の高度に影響しない状況下で地上のピクセル分解能、撮影対象の視野幅及びMTFの品質を向上することは、現在及び将来の主な研究課題であり、宇宙からの光学リモートセンシング研究の発展の道筋である。

 宇宙からのCCDカメラが規定の地上ピクセル分解能に達するには、CCDカメラの地上サンプル間隔距離が規定値を満たすことが求められる。地上サンプル間隔距離Gと軌道高度、CCDピクセルサイズ、カメラの焦点距離との関係は次の式の通り。

 式中のHは軌道高度、fはカメラの焦点距離、aはCCDカメラのピクセルサイズである。式から明らかなように、Hとaが確定している場合、fが長く、カメラの瞬間視野が小さく、地上のサンプリング距離が小さいほど、分解能は高くなる。このほか、Gの大きさと良し悪しはCCDカメラのMTF、信号対雑音比(SNR)、カメラの構造に関係する。

 水平方向のスキャナミラーがない宇宙からのカメラにおいて、地表の視野幅はCCDをつなぎ合わせたあとの全体の長さに対応する地表の視野幅に等しく、CCDをつなぎ合わせたあとの全体の長さと地表の視野幅との比率はいずれもHと直接関係する。Hが高ければ高いほど視野幅はより広く、(1)の式に基づけば、Hが高ければ高いほど宇宙からのカメラの地表分解能の損失はより大きくなる。以上から明らかなように、宇宙からの光学リモートセンサの設計においては、CCDカメラの地表視野幅と比較的高いところからの地表分解能との矛盾を解決し、地表分解能への影響を極力抑えると同時に、地表視野幅を拡大する必要がある。例として、水平方向のスキャナミラーの機能を増やすなどの方法がある。

 宇宙用カメラの性能を決める非常に重要な点は、カメラの光学システムにおけるイメージ品質で、イメージ品質は主にシステムの収差の大小と関係がある。光学伝達関数を用いてイメージ品質を評価することは比較的良い方法であり、物体を各周波数のスペクトルで構成されると捉え、すなわち物体の明視野分布関数をフーリエ基数またはフーリエ積分の形式に展開する方法である。光学伝達関数は光学システムの効果と関係するため、同関数を用いて光学システムの品質を評価すれば信頼性の高い効果を得ることができ、光学イメージの品質を客観的に示すこともできる。

2.2 総合的な光学リモートセンサ

 ここ数年、衛星・搭載機器の一体化、マルチスペクトル光学イメージセンサ、対空対地一体型構造など総合的な光学リモートセンサに関する技術は大きく発展し、特にマルチスペクトル光学イメージセンサに関する技術が飛躍的に進歩したため、宇宙で現在運行中の光学イメージセンサは比較的大きな割合を占めるまでになった。

 宇宙技術、特に有人宇宙飛行技術の急速な発展によって、現在では、マルチスペクトル宇宙用光学イメージセンサが宇宙空間でより多くの科学実験を行い、宇宙空間と地球物理科学をより便利かつ効果的に研究する上での主な方向となっている。たとえば、典型的なモジュール化構造の天体望遠鏡である米ハッブル宇宙望遠鏡は紫外線、可視光、近赤外線などのスペクトル(115~2500nm)を含むマルチスペクトル宇宙用光学イメージセンサで、天文学的科学研究に用いられる。

 現代の宇宙用光学リモートセンサは、すでに地球物理科学及び銀河系の研究における重要な補助手段となっており、ここ数年、対空・対地一体型構造の総合的な光学イメージセンサの研究が検討課題に組み入れられた。このような構造のシステムは機能性が高く、オプト・メカトロニクス構造が複雑で、ほとんどすべての光学スペクトルを対象範囲とし、搭載される機器設備の種類は多く、光学イメージセンサシステムの総合的なプラットフォームを形成している。このような光学を主とする共有構造には、2つのプランが考えられる。一つ目は対空・対地共通のオプト・メカトロニクス構造・直接分離で、二つ目は2D回転構造を通じた対空・対地への転換の実現である。当該プラットフォームでは統一的なオプト・メカトロニクス・システムのもとで分光を行って10あまりの光学チャネルに分割することでほとんどすべてのスペクトルを網羅するため、実現には一定の難度がある。

2.3 スマート型光学リモートセンサ

 スマート型光学リモートセンサには主に自動識別技術とパラメータ適応調整技術がある。自動識別技術には、地上風物の識別、カメラの作動条件の認識及び撮影環境に対する確認がある。自動識別技術は人工知能理論、制御理論及び図像学などの多くの研究分野が関係し、マルチスペクトル画像、分布式画像、画像処理、モジュールの識別、スペクトル分析、画像分解能などのさまざまな技術を含み、進化的計算法、ニューラルネットワーク及びさまざまなスマート型処理方法が取り入れられている。ターゲットの自動識別を実現するプロセスでは、地表のターゲット、宇宙環境及び作動条件など異なる状況に基づき理論モデル又は計算法を提示することが必要で、地物や空中浮遊物及びそれらが置かれていた地点や種類を自動認識し、リアルタイムで保存・転送することができる。

 パラメータ適応調整技術には、外部光照射条件への適応があり、調光パラメータのフォーカスを自動的に完了できる。画像内容に基づき、画像の解像度評価を踏まえてフォーカス面の位置を適応調整し、外部条件の変化に基づき、軌道上のパラメータ標定を再度実現する。リモートセンシングの画像精度の向上に伴ってデータ量が増加し続けているため、限りある保存容量や衛星の送信帯域幅と、大量のリモートセンシング画像データの保存・処理との間の矛盾は日増しに顕著になっている。軌道上ターゲットの自動識別技術の発達は、この矛盾を緩和する重要な手段である。使用者はさまざまであるため、大量のリモートセンシング画像データのすべてに必要な情報が含まれているわけではなく、データ量は情報量と等価ではない。従って、実際の応用目的に基づいて価値のあるデータのサブ集合、すなわち関心エリアを識別し、それぞれに異なる処理を行った後に各使用者に提供する。軌道上ターゲットにおける関心エリアの自動識別技術は、総合性、スマート化かつ多分野の交差する研究領域であり、当該技術はターゲットの自動識別、マルチスペクトル画像、赤外線画像、レーザレーダ、分布式画像、画像処理などの多数の技術と関係する。

 マルチスペクトル画像技術の基本構造は、1つのCCD上に多数のスペクトルが含まれ、この多数のスペクトルで同時に画像を採集することができることから、構成されたマルチスペクトル画像は単一スペクトル又はフルスペクトル画像よりも価値が高い。マルチスペクトルにより、宇宙用カメラの全天候観測能力を効果的に向上することができる。また、地物のタイプによりスペクトルの反射・吸収特性が異なることから、マルチスペクトル・宇宙用カメラを通じてより良く地物を識別できる。可視光、近赤外線及び短波赤外線スペクトル(0.4μm ~3μm)でリモートセンサが測定を行うのは地表の大気・雲の反射又は放射の量である。中波赤外線スペクトル(3μm~5μm)は太陽反射から熱放射に到達する過渡エリアであり、5μmを上回ると地球そのものの放射熱が主導となり、太陽光源に直接依存しないため、長波赤外線、マイクロ波スペクトルリモートセンサは夜間のみならず昼間も画像を収集できる。

 パラメータ自動調整技術には、オートフォーカス、自動ドリフト補正、自動調光が含まれ、軌道上におけるリアルタイムのドリフト補正と調光理論では中国はすでにある程度のブレイクスルーがあるが、軌道上におけるオートフォーカス技術はパラメータ調整技術の難所となっている。フォーカスシステムは宇宙用カメラの画像品質を決定づける重要な要素である。宇宙用カメラが置かれる積載・運行環境(たとえば衝撃、オーバーロード、振動、圧力、温度など)は非常に複雑で、環境変化と温度の変動の影響に比較的敏感である。環境の変化により、カメラのフォーカス面はさまざまな程度で焦点からのずれが発生するため、比較的複雑な環境下での画像品質を補償するためには、変化したカメラフィールドに修正を加える必要がある。中国では、実験室で軌道上における地上フォーカスの調整を実現し、同時に地表で長焦点カメラの動態撮影分解能を応用して発生器、コンピュータネットワークシステム、探査機シミュレーション装置、コリメータ、画像高速採集・保存システムを検査し、(全性能ではないが)準動体フォーカスを実現した。

3. 現代の光学リモートセンサシステムにおける重要技術

 カメラの反射鏡構造の軽量化設計は、現代の光学リモートセンサシステムの重要技術である。現在、地上大型望遠鏡の設計は海外ではすでに口径最大10mに達し、6m級を実現しており、ここから宇宙大型望遠鏡の設計の難しさが見て取れる。宇宙の空間条件下で、探査機が搭載できる設備重量には制約がある。このため、一方ではCFRC素材などより合理的な新型の高分子炭素繊維複合素材を模索する必要があり、もう一方では鏡体構造の設計でさらに厳しく軽量化を行う必要がある。従来型の設計ではハニカム・サンドイッチ構造が採用され、ハニカム構造の幾何学形状による反射鏡の剛性と減量化率への影響に関する研究は多くの研究者を引きつけているが、現時点では統一的な定論はまだない。

 望遠鏡口径のさらなる大型化に伴い、宇宙の空間条件下でより軽くて薄い主鏡設計及び展開型設計により、光学活性技術の採用がトレンド及び必然のものとなった。たとえば、主鏡6.5mのJWSTは高精度な鏡面を保証するために光学活性技術を採用している。光学活性技術の最大の難所は波面センシング技術であり、たとえば古典的な干渉測定技術と比較的最先端の画像処理技術(たとえばPR及びPD技術)がある。これら観測手段の入力対象はいずれも天体がターゲットで使用範囲が比較的限られているが、地上観測時の自然の景観が入力される状況下での観測技術は未成熟で、今後のさらなる研究が待たれる。

 テラヘルツ(THz)波はすでに、新しいスペクトル探査範囲へのチャレンジとなっている。より多くのターゲット景物から有用な情報を獲得するためには、リモートセンシングシステムにさらに高い空間分解能が求められるほか、より広いスペクトル範囲、より高いスペクトル分解能と放射分解能がますます注目されており、さまざまな角度や側面から情報を得ることが宇宙リモートセンサの探査技術の発展におけるもう一つの着眼点となっている。宇宙リモートセンサの作動スペクトルは、マイクロ波からγ照射線に至るまでほとんどすべての電磁波スペクトルを対象範囲として網羅しているが、現在、適用範囲は主に赤外線、可視光線から紫外線までのスペクトルに集中しており、遠赤外線からサブミリ波までのスペクトルは技術的理由から長年ほぼ空白の状態で、THz波と呼ばれていた。衛星によるTHzの宇宙画像及び天文研究は始まったばかりで、連続波によるTHz画像技術を通じてTHz波の透過特性を利用し、THz連続波イメージシステムを構築し、光学などのイメージ技術と一定の相補性を有するTHzイメージ技術を実現する。

 宇宙イメージセンサの追跡及び凝視性能を実現するために、宇宙カメラには非常に高い指向精度及び制御精度が求められる。ハッブル宇宙望遠鏡を例にとると、制御指向精度は0.01"に達し、24時間の凝視時間内の安定度は0.007"で、他の多くの地上望遠鏡設備の性能を上回っている。このため、制御手段と制御設計をより高く要求すること、なかでも複合軸の制御技術と精確な衛星誘導技術が実現の鍵となる。

 軌道上のスマート処理技術における最も主要な最先端技術は、ターゲット自動識別技術である。リモートセンシング画像に対するヒトの生理・視覚・論理・心理などのさまざまな階層の認知プロセスをシミュレートし、心理法則と認知モデルを探求し、宇宙空間情報の認識理論と宇宙空間要素の関係モデルをベースにターゲット画像の色、形状、模様及びスペクトルなどの特徴を分析し、画像のスマート解釈と自動識別を実現する。スマート処理はスマート・コンピューティング理論、知識工学、エキスパートシステムなど、多分野の知識が交錯する学際的な共通の重要技術である。

 以上を総括すると、宇宙用光学リモートセンサには軍事偵察用カメラ、立体地図用カメラ、気象・海洋観測カメラ、陸地資源探査カメラ、宇宙の天文・深宇宙ターゲット用の探査カメラなどの宇宙用光学式センサが含まれる。国内外の宇宙船、光学イメージセンサ、宇宙探査機への実用状況の描写と分析を通じて地上ターゲットの自動識別技術、マルチスペクトル・多分解能設計技術、スマート制御技術、対空対地一体型構造の設計技術、高分解能・広視野幅・高画質品質技術、大口径の処理工程技術を打ち出すことが宇宙探査技術における将来の実用と研究の方向性である。