複雑基質中のバイオ分子の測定に新展開
中国科技日報 2011年11月25日
武漢大学化学と分子科学学院の劉志洪教授の研究チームが、世界に先駆けてアップコンバージョン蛍光のバイオセンタープラットフォームを構築し、複雑基質中のバイオ大分子の相同測定を実現した。このほど、関連の研究成果が『ドイツ応用化学』に掲載された。
血液サンプルなどバイオサンプル中のバイオ分子の迅速かつ正確な測定は、バイオ医学および分析化学における重要課題である。複雑なサンプル基質は往々にして、各種の分析信号を妨害することがある。
蛍光分析方法の応用が日増しに普及しているが、バイオサンプル中の実際の応用は、背景蛍光と光の分散による制限を受ける。同研究チームは、アップコンバージョン蛍光ナノマテリアル、蛍光消滅能力を持つ酸化グラフェンをもとに、蛍光共振エネルギー転移に基づく測定プラットフォームを構築した。赤外線による刺激で、血清中のブドウ糖測定と核酸の識別を実現した。また蛍光共振エネルギー転移技術は、蛍光発色団のエネルギー転移を利用し、背景蛍光による妨害を軽減した。赤外線の光量子はタンパク質や核酸等のバイオサンプルに吸収されにくく、波長の短い紫外線や可視光によるバイオサンプルの損傷を回避できる。
同研究成果は、複雑なバイオサンプル基質中のバイオ大分子の正確な測定を実現し、先進的な診断治療技術の開発に新たな理念と方法を提供した。