感染症予防研究関連トピック
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中国がエキノコックス症診断の試薬キットを開発

中国科技日報     2012年 3月23日

 試薬キットに血液を垂らせば、エキノコックス症にかかっているか否かを、3分間で初歩的に診断できる。新疆ウイグル自治区エキノコックス症臨床研究所はこのほど、エキノコックス症特異性抗体診断試薬キットを開発した。同製品は「国家三類医療機械登録証書」を獲得した。国家級登録証書を持つエキノコックス症診断試薬キットは、同製品が初となる。また新疆ウイグル自治区初となる、第三類医療機械体外診断製品の生産拠点が設立された。

 エキノコックス症は、エキノコックスという寄生虫が、羊、牛、馬、豚、人の肝臓や肺等の器官に寄生することで引き起こす、人獣共通感染症の1種である。エキノコックス症は、「中華人民共和国伝染病防治法」が管理を規定するC類伝染病で、通常は慢性的に症状を現す。人体に寄生するのは、トゲを持つ粒子状の幼虫と、トゲを持つ泡状(多房性)の幼虫で、単包性エキノコックス症と多包性エキノコックス症を発症させる。前者は中国で多く見られ、深刻な被害をもたらしている。

 国内外では現在、特異性と感度が高い体外診断試剤が開発されておらず、治療法が全く異なる2種のエキノコックス症(単包性エキノコックス症と多包性エキノコックス症)を識別することができない。

 今回開発に成功した試薬キットの特徴は、迅速、便利、高い特異性と正確性で、特殊な設備を必要とせず、1度で血清中のエキノコックス症の4種の特異性抗体を検出することができる。同製品は臨床試験で用いることができ、また現場環境の流行病学の調査に活用できる。同製品は診断と識別の二重の機能を持ち、2種のエキノコックス症に対して全面調査、臨床診断、初歩的診断が行える世界初の製品である。同製品はエキノコックス症血清学の検査における空白を埋め、これまでの各病院での検査基準を合理化し、早期診断と識別および流行病学調査に活用することができる。