感染症予防研究関連トピック
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中国、手足口病検査試薬の開発に成功、2~3時間で主要ウイルスの検出が可能

中国科技日報     2012年 3月27日

 江蘇省泰州医薬ハイテク産業開発区で先ごろ開催された碩世生物疾病予防フォーラムにおいて明らかになったところによると、碩世生物科技公司はこのほど、手足口病を引き起こす複数のエンテロウイルスを同時に検出できる、知的財産権を有する試薬の開発に成功した。同試薬は今年中にも使用が開始される。この試薬は2〜3時間で手足口病を引き起こす主なウイルスを検出し、短時間での診断に向け有効な根拠を提供することができる。

 手足口病はエンテロウイルスの感染によって引き起こされる一般的な感染症である。患者は主に5歳以下の児童で、感染性が高く、感染経路が複雑であるため、短期間内に大流行を引き起こす可能性がある。手足口病の主な症状は発熱と手・足・口腔内などの発疹だが、ウイルスは心臓や脳、腎臓およびその他の重要器官に入り込む恐れもあり、まれに中枢神経系、呼吸器系および循環器系などに重篤な合併症を引き起こし、死に至ることもある。乳幼児は症状を正確に説明できないため、病院は診断において大きな課題に直面しており、早期スクリーニングと正確な診断は手足口病研究の重点項目となっている。

 手足口病を引き起こすエンテロウイルスには、コクサッキーウイルスA群、エコーウイルス、エンテロウイルス71型(EV-71)などがあり、中でも特に多いのはCoxA16(コクサッキーA16型)とEV-71だ。現在実験室で幅広く用いられている核酸検出の方法は、ワンステップリアルタイムPCR技術に基づくもので、EV-71、CoxA16、その他のエンテロウイルスを異なる反応管の中に入れ、それぞれに対する単一的な指標を検出することしかできない。

 碩世生物科技公司が自主開発した「エンテロウイルスCoxA16/EV-71/ユニバーサル核酸検出キット(トリプルリアルタイム蛍光プローブPCR法)」は、ワンステップリアルタイムPCR技術を応用し、1つの反応系の中で、高い死亡率を持つEV-71、CoxA16およびその他ウイルスに感染しているかどうかを同時かつ迅速に検査することができる。同試薬の開発成功により、手足口病の体外診断の効率が高まっただけでなく、検査にかかるコスト・時間が削減された。これは病状の理解と治療指導にとって大きな価値をもつ。