肝臓がん診断の新試薬、中国が開発
中国科技日報 2012年 4月12日
解放軍第302医院が開発した新型の「ゴルジタンパク質GP73定量測定試薬」がこのほど、臨床肝臓がん検査への使用を許可された。同試薬はヒトの血液に含まれるGP73の含有量を正確に定量測定することができ、肝臓病患者に対して、肝臓がん予防に必要な信頼性の高いデータを提供できる。
肝臓がんは早期発見が困難で、中・末期にならなければ症状が現れず、治療が非常に困難である。研究者らは近年、肝臓病患者の血液中のGP73の含有量の異常が、肝腫瘍の発生と密接に関連していることを発見した。多くの肝臓がん患者の血清に含まれるGP73の数値が高まったのだ。特に早期肝臓がんの診断において、GP73による検査はこれまでのAFPより結果が早く得られ、より診断に適していることから、肝臓がん早期発見の血清マーカーとされている。解放軍第302医院臨床検査医学センターの専門家らは研究と試験により、特異性と敏感度の高いGP73のモノクローナル抗体を選び、GP73定量測定試薬を開発した。同センターの毛遠麗主任は、「これまでの肝臓がんの血清を利用した診断では、主にAFPが利用されていた。しかしAFPは患者の腫瘍がある程度の大きさにならなければ、異常な数値を示さない。また肝臓がん患者以外の血清でも時に異常値を示すことがあるため、正確な診断が実現できなかった」と述べた。同病院が開発した同試薬は主にGP73の測定に用いられ、AFPと比べ肝臓がんの早期発見が可能となった。これは肝臓病患者、特に肝炎・肝硬化の患者の肝臓がん早期発見に役立ち、貴重な治療時間を確保することができる。
同試薬は現在、中国の6ヶ所の病院が参加した臨床研究による証明を完了しており、肝臓がんとその他の良性肝臓病を区別することができる。同試薬によりGP73含有量の異常が発見された患者は、肝臓がんにかかる危険性が一般人の8.95倍に達する。肝臓がん手術後に測定されたGP73含有量が依然として高い患者の場合、GP73含有量の低い患者と比べ死亡率が高くなる。同試薬と既存のAFPを同時に使用することで、肝臓がんの測定率を88%まで高めることが可能だ。