第107号
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教育部教師工作司の担当者による「小中高校・在職小中高教員の有償補講の厳禁規定」についての質疑応答

2015年 8月25日  中国総合研究交流センター編集部

 小中高校の教員の道徳と気風の改善をいっそう強化し、小中高校の運営行為を規範化し、素質教育を大きく推進し、生徒の学業負担を適切に軽減し、人々の批判の高い教育気風の問題を断固として正すため、教 育部は、「小中高校・在職小中高教員の有償補講の厳禁規定」(以下、「規定」)を打ち出した。教育部教師工作司の担当者はこのたび、同規定の研究・制定の関連状況を次のように説明した。

(1)「規定」打ち出しの背景は?

 近年、有償補講の問題はますます目立ったものとなり、これに対して人々も強く反応するようになっている。有償補講問題は、6年連続で投書・陳情が最も多い問題となった。有償補講厳禁は、一 刻の猶予もならない状況にある。

 有償補講は、党の教育方針の全面的貫徹、並びに「立徳樹人」(徳を重んじ人を育てる)という根本任務に背くもので、受験教育の産物であり、受験教育における悪質な競争を激化させるものでもある。学校は、進 学率と知名度を高めるため、休暇を利用して生徒の集団有償補講を組織し、生徒の学業負担と人々の経済負担を高め、教育の腐敗を生んでいる。一部の教員は名声や利益を求め、本末転倒となって有償補講に熱を上げ、学 校での本職を副業、有償補講を本業と履き違え、教育の質に悪影響を及ぼし、校風や校内紀律を乱している。一部の教員は職務の便を利用し、「授業では教えず、課外で教え、校内では教えず、校外で教える」と いう方式を取り、生徒に有償補講を受けることを迫り、教師の道徳に背いている。有償補講は、生徒の身心の健全な発展に影響を与え、教育の公平を破壊し、教員と教育事業の評判を損なっており、社 会からは強い批判の声が上がっている。

 教育部は、有償補講の取り締まりを高く重視しており、教育部の2015年の党風・清廉政治建設事業における要点としても位置付けている。「規定」は、立ち入った調査研究を土台として、有 償補講の様々な主体と形式をターゲットとし、研究・制定された。さらに発行と通知の形式によって、「規定」精神の実現貫徹に具体的な要求を行った。

(2)教育部による「規定」打ち出しの根拠は?

 第一に、有償補講の厳禁は法と理にかなうものである。「教育法」「義務教育法」「教師法」「事業単位人事管理条例」などの法律法規は学校運営や費用徴収、教員の職業道徳、ポ ストの職責などに明確な要求を提示している。有償補講はこれに明らかに背くものであり、禁止する必要がある。「小中高校教師職業道徳規範」「小中高校教師職業道徳違反行為処理法」も 教員の有償補講行為を禁止する道徳の「レッドライン」をはっきりと定めている。このほか国外のやり方も我々の参考となっている。米国やドイツ、日本などは、関連する教育法規において「 教員は勤務時間外に有償の家庭教師に従事してはならない」などと明確に規定している。

 第二に、各省(自治区、直轄市含む)がすでに打ち出している地方法規は、有償補講の厳禁にとっての堅固な土台となっている。全国31省(区、市含む)の 人民代表大会が公布している各省の義務教育条例または「義務教育」の省内実施方法を系統整理したところ、法規において有償補講禁止を規定している省は24省にのぼった。そ のうち16省は有償補講を無条件で禁止しており、8省は条件付きで有償補講を禁止している。山東や寧夏などは、教員の有償補講に対する特別取締行動を展開し、取締行動指導チームの設立や通報電話・メールの設置、幅 広い市民による監督発動などを行っている。専門取締活動は良好な成果を上げ、小中高教員の道徳水準は大きく高まり、人々と社会各界の評価を得ている。

(3)「規定」において厳禁とされる小中高校と在職小中高教員の有償補講行為には何があるか。

 立ち入った調査研究を土台として、有償補講の様々な主体と形式をターゲットとし、我々は、小中高校の生徒に対する小中高校と在職小中高教員の有償補講行為について、合計6種の厳禁事項を挙げた。第一に、小 中高校が有償補講を組織し、生徒に参加を求めることを厳禁する。第二に、小中高校と校外養成機構が有償補講を連携して行うことを厳禁する。第三に、小 中高校が校外育成機構の有償補講に教育施設や生徒情報を提供することを厳禁する。第四に、在職小中高教員が校内外の有償補講を組織したり、生徒の参加を推薦・誘導したりすることを厳禁する。第五に、在 職小中高教員が、校外の育成機構またはその他の教員・保護者・保護者委員会などが組織する有償補講に参加することを厳禁する。第六に、在職小中高教員が校外の育成機構と他人に生徒の対象を紹介したり、関 連情報を紹介したりすることを厳禁する。

(4)「規定」における6種の厳禁はそれぞれいかなる角度からなされたものか。

 第一・第二・第三の厳禁は、小中高校の有償補講行為をターゲットとしてなされた規定である。この3項目の厳禁は、小中高校による有償補講の組織や、校 外の育成機構との連携などによる有償補講の形を変えた組織、校外の育成機構との連携を根絶するものとなる。第四・第五・第六の厳禁は、在職小中高教員の有償補講行為をターゲットとしてなされた規定である。こ の3項目の厳禁は、在職小中高教員が有償補講を自ら組織するか、他人の組織した有償補講に参加することを根絶するものとなる。とりわけ「授業では教えず授業外で教える、授 業ではおおよそを教え授業外で詳しく教える」といった行為が発生する可能性を根本からなくし、在職小中高教員と校外育成機構との連絡を断ち切り、在職小中高教員に対する校外育成機構の誘惑を取り除くものとなる。 

(5)有償補講の「レッドライン」違反の場合の処分にはいかなるものがあるか。

 「規定」は、小中高校と在職小中高教員の有償補講行為に対する処罰措置を明確化している。規定に違反した小中高校に対しては、状況の軽重に応じて、批判の通告、表彰資格の取り消し、栄 誉称号の取り消しなどの処罰を与え、学校指導者の責任と関連部門の監督管理責任を追及する。規定に違反した在職小中高教員に対しては、状況の軽重に応じて、批判・教育、忠告・話し合い、検査の命令、批判の通告、さ らには相応の行政処分を与える。監督管理が不十分で、問題が頻発し、社会的な反応が強い地区に対しては、その主要責任者の責任を厳しく追及する。とりわけ授業での教育任務を故意に怠り、授 業では教えず授業後に教え、補講費用を取り、有償補講に参加しない生徒に報復するといった厳重な紀律違反や教師の道徳を損なう行為に対しては、重点的な取り締まりを行い、「ゼロ・トレランス」を実行する。 

(6)「規定」の実施をいかに貫徹するか。

 実際の効果を際立たせるため、各級教育部門には、業務進行の過程で次の4つの原則を堅持することを求める。第一に、特別取締活動は、党の教育方針の全面的貫徹と「立徳樹人」実施の必然的な要求である。第 二に、人々の切実な利益から出発し、人々の考え方を考慮し、人々の意見に耳を傾けることを堅持する。第三に、法に基づく取り締まりと法規定への符合を堅持する。第四に、取り締まりの重点を際立たせ、活 動の実際の効果に注意する。

 「規定」の実施の貫徹にあたっては、各省級の教育部門が責任主体となる。「規定」がしっかりと根を張るようにするため、教育部は次の点を要求する。第一に、組織活動と指導を強化し、主 体の責任を現実のものとする。第二に、特別の監督活動を展開し、厳しく責任を追及する。第三に、宣伝・教育を強化し、プラスの方向への指導を重視する。第四に、教員の管理を厳しくし、社会の監督を受けさせる。同 時に、各省級教育部門に対しては、「規定」の実施案と処理法を年内に教育部教師工作司に報告し、一般に公開することを求める。