アブラナの研究に重大な前進、直接的経済効果は20億元
2019年1月16日 俞慧友(科技日報記者)/匡勇、李苗、喻誠(科技日報通信員)
湖南農業大学が牽引役となり設置された「南方油料作物共同革新センター」および「2011共同革新センター」建設現場評議会への取材によると、アブラナの高効率かつ持続可能な生産の重要技術の研究に重大な前進があった。南方地域実証・普及エリアの2200万ムー(約147万ヘクタール)を超える畑で、菜種の収穫量は3億5000万キロ増加し、直接的な経済効果は20億元(約320億円)増の成果を上げ、湖南省及び南方のアブラナ栽培面積の安定増を牽引した。湖南省に限ってもアブラナ栽培面積は2013年の1890万ムー(126万ヘクタール)から、2018年の2050万ムー(約137万ヘクタール)に拡大している。
中国の食用植物油の自給率はわずか35%で、毎年2700万トンが不足している。南方の冬季農閑期における4億ムー(約2667万ヘクタール)の畑を十分に活用してアブラナを生産すれば、中国の食用油の安全保障能力を大幅に高めることができる。近年、中国南方の水田におけるアブラナの多毛作は、2つの大きな問題に直面している。1つ目は、アブラナ産業の収益減で、栽培面積が減少しており、産業が低迷している。2つ目は、南方の水田の地力(土壌の持つ作物を育てる力)の低下、消耗の激化だ。多毛作を発展させる上で、水田の持続可能な発展をいかに保障するかが問題である。そこで中国工程院院士の官春雲氏を中心とするチームは、多くの成果を生み出す研究開発に取り組んでいる。
同チームは4月25日より前に成熟し、1ムー(約0.067ヘクタール)あたり生産量が150キロに達する中国初となる超早熟アブラナ5品種を選んで生産し、中国の極早生品種の空白を補い、南方の早稲・遅稲・アブラナの三毛作の期間が重なるという問題を解消した。南方の冬の農閑期のアブラナ栽培面積を拡大し、三毛作の増産・効果拡大および持続可能な発展を実現する重要なサポートを提供した。
同チームの研究は、キャベツ型やカラシナ型のアブラナのハイブリッド育種理論により、含油量と油酸含有量の多いアブラナ新品種を開発した。アブラナを突破口として、生産量が1ムーあたり200キロ前後、含油量が48%以上、油酸含有量が75%以上の「3高」アブラナ新品種や組み合わせを新たに16種作り出し、新種の1ムーあたりの増収を200元(約3200円)以上にした。また、放射線突然変異育種法により、一連の油酸含有量80%以上のアブラナ新品種を開発した。うち最高は93.6%で、最高記録を更新した。
研究はさらに、稲とアブラナを輪作で生産する場合の水田の養分の変化法則を解明し、稲とアブラナの輪作における養分の高効率利用方法を打ち出したことで、7件の国家発明特許を取得した。こ の独創的な自然科学の成果は、南方の稲・アブラナ多毛作の持続可能な発展に対して、確固たる理論的基礎を提供した。
同チームが独自開発した南方の水田におけるアブラナ機械耕うん栽培技術により、1ムーあたり生産量が10%以上増加し、費用節約による増収は200元以上に達した。
官氏は「我々は現在、稲+緑肥、稲+じゃがいも、稲+とうもろこしなどの各種水田耕作・栽培方法による増収の研究を続けており、南方の水田の増収による持続可能な革新体制を形成中だ」と話した。
※本稿は、科技日報「油菜研究获獲重大突破 新増直接経済効益20億元」(2019年1月3日付6面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。