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中国海油 渤海湾で1千億立方メートルの天然ガス田を発見

2019年4月19日 胡定坤(科技日報実習記者)

 渤海湾の地質の構造は、「割れた茶碗をさらに踏みつけた」ように複雑で、石油は豊富でもガスは乏しいというのが、石油地質学界の認識だった。しかし、そのイメージが最近、中国海洋石油集団有限公司(以下「中国海油」)のテクノロジーイノベーションによって完全に覆された。

 中国海油はこのほど、渤海湾で1,000億立方メートルの大型天然ガス田を発見したと発表した。渤海ではこれまで、原油・ガスの調査が60年間にわたって行われていたにもかかわらず、これほど大きなガス田が最近になってやっと発見されたのはなぜなのだろう?その背後には、テクノロジーをめぐるどれほどのブレイクスルーがあったのだろうか?

大量のガスを生成する根源岩を発見

 中国海油の地質学者・謝玉洪氏は、渤海が、原油もガスも採掘できる時代を迎えるために解決しなければならない問題の1つ目は、大規模ガス田を生成する能力がそこにあるかどうかである、と言及した。

 根源岩は石油やガスを生成する条件が整った岩石だ。そのため、渤海湾でガスを発見するための第一歩は、そこにガスを生成できる根源岩が十分にあるかを確認することとなる。

 中国海油は長年にわたり、複数の研究機関と共同で、根源岩を探し、渤中の地溝の砂三段、砂一段、東三段の3エリアに、面積7,000平方キロ、厚さ累計約1,500メートルの良質の古生層根源岩があることをついに確認した。そして、実験により、それら根源岩は、原油もガスも生成する能力を有する源岩であることが実証された。

 その他、漸新世(約3,400万年前から約2,300万年前までの期間)以降の大幅沈下が原因で、渤中の地溝にある根源岩の沈下の度合とその熟化スピードは、渤海湾盆地の他の窪みを大きく上回るようになった。根源岩の熱的モデリングテストにより、渤海の地溝には膨大な量の天然ガスが埋蔵している可能性が高く、その量は以前の予想を5倍以上上回る1兆5,000億--1兆9,000億立方メートルであることが分かった。

デッドラインを超えて硬い地質の潜丘で大規模ガス田を発見

「渤海湾盆地の断層活動は活発で、大規模ガス田を見つけるためには、保存条件が整った深部の貯留層を調査しなければならない。しかし、海底下4,000メートルを超えると、良質の貯留層は形成されにくく、そこが商業的な原油、ガス調査のデッドラインというのがこれまでの伝統的な理論だった」と謝氏。

 中国海油の研究チームは渤中の地溝には、地盤沈下しにくい潜丘があることを発見し、実験により、太古代(40億年前から25億年前)の変質した花崗岩がその主な成分であることを明らかにした。そして、その後の研究により、渤中19-6エリアの始生代に形成された岩の最も内側の層は、何度も構造運動を繰り返し、潜丘は多方向にわたる断層に割れて、大量の裂け目が発生し、大気、淡水、マントル起源、流体が亀裂ネットワークを最適化していた。それら硬質の潜丘は、良質の天然ガス貯留層を形成することができる。

 潜丘にある天然ガスが、活発な断層活動に耐えられることを証明するために、中国海油は、初めて断層活動エリアの天然ガスプールの超圧動力閉鎖装置を採用し、渤中の地溝の広範囲で急速な沈下が生じ、泥岩に突然強い圧力がかかり、さらにその圧力が大きくなることで、ほとんどの原油とガスが、深層に閉じ込められたことを発見した。また、深層潜丘後期大型コンデンセート田蓄積スタイルを構築し、断層活動エリアに豊富な天然ガスがの濃縮・保存するのに有利な条件を明確にした。

 渤中19-6の大規模コンデンセート田のガス埋蔵面積は118平方キロメートル、ガスプルームの高さは1,569メートルに達することが確認されている。同発見により、中国海油の関連技術の正確性、信頼性も証明された。

調査と掘削をめぐる難題を解決

 地震資料のイメージングは、原油・ガス田の規模を判断する重要な手段となる。しかし、渤中の地溝の潜丘は海底深くにあり、表面を覆う火山岩や非常に厚いグルテナイト(礫岩)などが、地震資料の大きな障害となった。また、潜丘の裂け目の貯留層は形成の原因が複雑で、変化も早く、不均質性が強いため、予測が非常に難しかった。

 中国海油は、さまざまな大きさの破砕貯留層の予測研究を実施し、洋上深層潜丘高密度地震調査一体化技術のイノベーションを導入した。それにより5,000メートルの潜丘の内部の断層認識率は2倍以上向上し、潜丘の貯留層の予測結果と実際のボーリングを比較したマッチ度は95%に達した。

 その他、洋上プラットホームは、高い効果が求められるものの、高い生産能力を実現するのは困難であるという技術的ボトルネックに直面した。特に、渤中の地溝の始生代に形成された花崗岩は圧縮強度が高く、高温、孔隙率と浸透率の低さ、裂け目などの悪条件が存在しているため、貯留層に傷ができやすく、 その傷が回復するのも難しいため、ボーリングの難度が非常に高くなる。

 そのため、中国海油は、海上プラットホームから深部の硬い地層に傷をつけずにハイスピードでボーリングする技術を考案し、高強度の新型ドリルヘッド、ドリルを研究開発した。210度の高温にも耐えるクリーンアップ型ソリッドフリー貯留層保護ボーリング液システムを構築し、貯留層を全く傷つけることなく作業ができるようになり、ボーリング周期も119日間から45日間に短縮された。

 謝氏は、「深層大型コンデンセート田調査理論をベースにし、調査をめぐるカギとなる技術を駆使し、渤中19-6で、ガスを大量採掘できる大型コンデンセート田の発見を実現した」と説明する。また「渤海湾盆地深層大型コンデンセート田調査理論技術革新と重大発見」と題する成果鑑定会で、中国石化集団公司の総裁で、中国工程院の院士の馬永生氏ら鑑定専門家は、「渤海でのガス調査に関する複数の技術は世界最先端のレベルに達している」との見解で一致した。


※本稿は、科技日報「千億方天然気田如何"浮"出渤海湾」(2019年4月2日付1面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。