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5G営業ライセンス発行―中国の5G元年

2019年6月12日 劉艶、崔爽(科技日報記者)

 工業情報化部(工信部)は5月6日午前、中国国内の4つの通信事業者に対して5G営業ライセンスを発行した。これは、5Gの事業利用の開始、中国の5G時代への突入を意味するものである。

 中国3大通信事業者の中国移動(チャイナモバイル)、中国聯通(チャイナユニコム)、中国電信(チャイナテレコム)のほか、中国広播電視網絡有限公司(中国広電)が4社目の5G営業ライセンスを獲得し、4番目の大手通信事業者となった。

 市場予想よりも早い段階でのライセンス発行、臨時ライセンスの段階を飛び越えた正式な営業ライセンスの直接発行。これらはデバイスや製品の分野において、中国は準備万端であることを示している。

 さらに重要なことは、中国は他の国と先を争うようにライセンス発行を行っており、中国の5G営業ライセンス発行の意味するところは特殊である:つまり中国の市場規模とユーザー数により、5Gの商用は象徴的な意義がある。

中国広電がライセンス獲得 4番目の大手通信事業者に

 5G営業ライセンスが何枚発行されるかに関してはずっと注目の的となっており、最終的には中国広電に4社目の5G営業ライセンスが発行された。どうして中国広電だったのだろうか。

 中国広電の曾慶軍副総経理は、「今回のライセンス発行は事実上、中国全国の有線テレビおよびラジオ・テレビ業界に向けたものだといえる」との見方を示し、「中国広電の高水準なサービスを通して、4K高解像度のライブ配信など、生き生きとした人々の生活に身近な新しいサービスを提供することができる。また、現代のスマート都市におけるIoTの先進的なネットワークを構築し、技術や産業、サービスを全面的に向上させ、5Gの全面的な先導態勢を推進させる」と述べた。

 そのほかの通信企業3社と比較すると、中国広電の5Gネットワークはテレビ・ラジオなど現代の通信やIoTサービスの5Gネットワークをまとめたものであり、ユーザーにスマートテレビ・ラジオのサービスを享受させ、その上ソーシャル化されたスマート都市サービスとなっている。

 このことは5G建設における「共に建設し、共に分かち合う」という原則にマッチしている。(通信基地局運営の)中国鉄塔は、「共に分かち合うことができ、新しいものを建設せず、共に建設することができ、単独では建築しないという状態を維持し、通信企業4社のスピーディで経済的な5Gネットワークの建設に対するサービスを全力でサポートする。5G基地局の基礎を低コストかつスピーディに構築するため、現時点で875万本の街灯や監視カメラ付きポール、350万本以上の鉄塔、および33万棟の不動産ビルをすでに用意している」としている。

ライセンスを直接発行 通信事業者の自由度がさらに向上

 これまで通信事業者はまず臨時ライセンスを獲得し、実験を行ってから大規模な商用利用を行ってきていたが、今回の5Gライセンス発行は手際よく進められた。これに対して、中国信息通信研究員副院長、IMT-2020(5G)推進グループのリーダーである王志勤氏は、「ライセンスを直接発行することは国際慣例に沿ったものであり、通信事業者の自由度がさらに高まる」とした。

 これまでは実験を経てから、ビジネスへの応用が進められていたが、今回は5Gライセンスを直接発行している。このようなスタイルは国際慣例とは比較的一致しており、他の国は早期にライセンスを発行・支給している。また、政策環境が安定し、通信事業者はネットワークや事業の計画をより良く自主的に立てることができる。中国は5Gのライセンス発行においてこのようなスタイルを採用し、通信企業の自由度をさらに向上させた。

5Gチップ、華為が大規模商用をすでに実現

 5Gライセンス発行に関しては、世界で5G商用解決プランを提供できる唯一の通信企業として、華為が「通信事業者が中国の5G建設を全力でサポートする」と表明している。

 また、華為は、「当社は2009年から5Gの研究に着手し、5G技術、製品の研究開発にすでに20億ドルを投入している。現時点で、チップや製品からシステムネットワークに至るまで全面的に先を行く5G能力をすでに備えている」としている。

 現在までに、華為は5Gの標準提案を1万8,000本以上提出しており、その本数および採用数は世界首位となっており、ESTIに向けて5G基本特許の2,570件を発表し、業界ランキングトップを維持している。また、その主導的なポーラー符号、アップリンク・ダウンリンクのデカップリング、大規模アンテナや新型ネットワークアーキテクチャなどの重要技術はすでに5G国際標準の重要な構成要素となっている。

 現在、華為は世界初の5G基地局向けのチップ「TIANGANG」、5G端末チップ「Balong」および次世代プロセッサ「Kirin 980」を含め、すべての系列の業界に先駆けて自主研究したチップの大規模商用化をすでに実現している。

早い段階でのライセンス発行―デジタル経済発展の新たなきっかけ

 なぜ今回、ライセンス発行されることになったのだろうか。王志勤氏は、「先ごろ5Gのデバイスや製品は基本的に成熟し、商用条件を備えており、今年4月に韓国や米国も5G使用を相次いでスタートさせた。このような大きな環境下で、中国は5Gのライセンスを発行し、一方ではネットワークの建設を通して産業チェーンや製造業・サービス業の発展を促し、もう一方では5Gの性能の向上をもたらしている」とした。

 5Gは社会経済を構成するインフラであり、5Gネットワークの構築が実体経済のモデルチェンジ・アップデート、工業や農業、交通などの業界との結びつきを通して、5Gの融合的応用を形成し、経済のモデル転換や発展を促進させ、今回のタイミングを選んでライセンスの発行を行い、デジタル経済発展の新たなきっかけをつかむ。これらのことはさらに重要だといえる。

 工業情報化部が発表したところによると、2019年5月までに、全世界の企業20社以上の5G標準規格が特許出願を必要としており、そのうち、中国企業が占める割合は30%以上で、トップとなっている。産業発展の分野において、中国は率先して5G技術の研究開発テストをスタートさせており、5Gデバイスの研究開発や産業化の進捗を早めた。現在、中国の5G中間周波数帯システム機器、端末チップ、スマートフォンはグローバル産業の先頭集団に属している。

サービス開始時期は? 今年末から来年初めの間に

 広く注目されている一般顧客に対しての携帯番号発行の問題について、王志勤氏は、「これは0と1の概念ではなく、それぞれの通信事業者が異なる策略を取ることで、個人ユーザーへの発給は遅れることはないだろう」としている。

 通信企業もユーザー体験を行っており、事業が比較的成熟している条件下で、異なる政策を取ることも考えられる。

 市場の全般的な予測によると、個人ユーザーが5Gサービスを享受できるようになる時期はおそらく今年の年末から来年上半期の間であるという。

 しかし、王志勤氏は、「5G事業はまず個別の都市・地区で展開され、全都市で開通する必要はない。4Gに基づいて5Gを構築し、初期段階で通信企業はやはり北京・上海・広州・深センにおける完全カバー、事業展開に対応し、その他の都市では事業育成式の点状展開が行われ、特殊業界での応用のカバーが優先されるだろう」との見方を示した。

 中国移動は、「5G事業の経営許可を獲得した後、5Gネットワークの配置を早め、世界規模で最大の5G優良ネットワークを立ち上げ、今年9月末より前に40都市以上に5Gサービスを提供し、顧客に対して『SIMカード交換なし』、『番号交換なし』で5Gサービスを開通させる。また、後にサービス範囲の拡大を続け、多くの顧客に便利でスピーディな5G事業を利用してもらい、5Gの新技術がもたらす恩恵を享受させる」と述べた。

 中国聯通は、「今週、40都市の範囲で『聯通5Gを身近で体験』をテーマとした5G体験イベントを開始した。多くの顧客に聯通5Gサービスを体験してほしい」と述べた。

5Gの人体への危害は? 専門家「心配なし」

 先ごろ捜狐(SOHU)の張朝陽CEOが、「5G基地局の密度が非常に高まり、人体への危害も大きくなっている」と語り、世間の人々の論議を引き起こした。

 これに対して、王志勤氏は、「放射測定により、5G基地局の放射は中国国内基準に沿ったものとなっており、国際基準より5-6倍厳しいことがわかる。中国の放射基準はこれまでずっと国際基準より厳しく設定されており、通信企業に対しても厳しい環境保護基準を設定しているので、心配する必要はない」と強調した。

5Gスマホの値段は? そこまで安くはならない

 現時点で5Gスマホの価格は少なくとも1万元前後(約15.6万円)ということが分かっており、ある電気通信アナリストは、来年第4四半期には価格が2,000-3,000元安くなるとしている。これに対して、王志勤氏は、「この予測は楽観的なものであり、その見込みは高くないと感じる」との見方を示した。

 中国聯通は、「現在、各端末メーカーはすでに様々なタイプの5G端末を研究開発しており、ネット接続試験を行い、ネット接続の許可を獲得してから市場販売を行う予定。通信事業者は端末製品類の多様性や製品の成熟化を積極的に推進し、端末の量産やさらなる値下げを進めていき、5G端末に対するユーザーのニーズを満たしていく」とした。

5Gスマホの使用料金は? 通信容量は考慮すべき重要要素

 5Gスマホの使用料金はどのくらいになるのだろうか。

 これについて、中国聯通は、通信容量は考慮すべき重要な要素の一つであるとしている。

 初期の計画では消費者市場に対して、5Gの料金体系と4G製品はこれまでのものを引き継ぎつつ、イノベーションを図り、5G事業の技術・特色の研究に基づいた新たな料金体系となる可能性がある。

 行政・企業の顧客市場において、ネットワークと関連した5Gサービスの構築はさらに個性化・シーン化され、顧客のニーズに基づき、顧客に合わせた政策を打ち出し、シーンに基づいた多元化した料金体系を設定するとされている。

ネットワークの先行 5G商用で直面する多くの挑戦

 3Gの商用サービスは2008年末にはじまり、4Gの商用はほかの国々より3年も遅れた。中国で使用されるデバイスは非常に成熟・安定しており、価格もすでに下がっており、ユーザーは直接使用できるようになっている。

 しかし、5G時代が到来し、中国は先頭集団となり、より多くの挑戦に立ち向かわなければならない。

 5Gネットワークが先行し、ライセンス発行によって通信事業者は大規模なネットワーク建設を進め、続けてネットワークの最適化やスマホ製品の相互運用などを行う必要があり、これらの点については、ライセンス発行後に慣れるまでの期間が必要となる。

 そのほか、5Gの特徴に関して、ビジネスモデルが比較的成熟したモバイルインターネット以外に、業界の応用もあり、これは大きな挑戦となる。全世界においても同じで、モバイルインターネットからモバイルIoTに移行するという挑戦に直面している。

 ネットワークが先行した後、より大きな挑戦となるのは、ネットワーク上で新たな業界による応用を育成し、実体経済と共に最適な応用シーン、モデル技術、解決方法、IoT端末製品などを探すことであり、まだしばらくの間は模索する必要がある。

 中国電信は、「すでに提携パートナーと豊富な5G応用のイノベーション実践を展開しており、現時点で政務、製造、交通、物流、教育、医療、メディア、警察業務、観光、環境保護の10大垂直産業の主要な応用シーンをすでにカバーしており、共同試験を行う顧客はすでに200社を超えている」とした。

5G発展に外国企業のサポート 互恵・ウィンウィンの関係に

 5Gの建設において、開放、包摂、提携、ウィンウィンは一貫して保持してきた理念だ。

 2013年、中国ではIMT-2020(5G)推進グループ、エリクソン、ノキア、クアルコム、インテル、ローデ・シュワルツなどの多くの有名な外国企業が推進グループメンバーに属していた。推進グループプラットフォームに基づき、中国内外の企業が技術研究や技術テスト、製品の試験・検証を共同で展開し、技術基準や試験基準を制定し、積極的にテストに参加した。また、中国の5G産業チェーンの発展成熟を早めるのに重要な作用をもたらすため、システム機器、チップ、端末、測定器などにおける全世界の企業の相互協力、共同促進を行った。

 5Gのライセンス発行に対して、インテルは、「インテルは全世界の範囲で5Gの急速な発展を支持している。インテルが中国の5Gネットワーク配置において重要な役を務めるということを知り、とてもうれしく感じている。また、中国の科学技術産業・エコシステムにおける協力を展開し続け、5Gの持続的な発展をサポートする」とした。

 現在、全世界のモバイル通信産業の発展は「あなたの中には私、私の中にはあなたがいる(とても親密な状態)」という構造をすでに形成しており、各国の企業が力を合わせて協力し、互恵・ウィンウィンの関係となっている。4G時代には、多くの外国企業が中国のモバイル通信市場に参加し、中国のモバイル通信市場の重要な構成部分となった。

 現時点で、中国は正式に5Gの商用元年に突入した。工業情報化部は、「我々は、中国の5Gネットワーク建設と応用推進に積極的に参加する外国企業をこれまで通り歓迎する。また、協力の深化を続け、5G発展やイノベーションを共に目指し、中国の5Gの発展成果を共に分かち合う」とした。


※本稿は、JSTが参加する国際科技伝播聯盟に提供された記事「5G発牌,商用元年!中国位于第一梯隊」(科技日報、2019年6月6日付)を日本語訳/転載したものである。