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レアアース産業の革新で内モンゴル自治区の質の高い発展を促進

2019年8月1日 李宝楽、胡紅波、張景陽(科技日報記者)

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視覚中国より

「神舟」と「嫦娥」の打ち上げ成功は、サマリウムコバルト永久磁石放射ループと切り離すことはできない。中国初の磁気共鳴(MR)診療車は毎日18人の農民・牧畜民を診察しているが、これはレアアース永久磁石材料の軽量化と切り離すことはできない。中ロ天然ガスパイプライン東ルート工事向けX80高強度鋼クラス・パイプライン鋼生産は、なおのことレアアースと切り離すことはできない......

 内蒙古モンゴル自治区の科学技術奨励大会開催を前に、レアアースプロジェクトの各成果を総括することは、これからのレアアース産業の質の高い発展に有益な参考材料を提供することができる。理念の革新が技術革新をけん引し、技術革新が産業高度化を促進し、この地域の革新に全く新たな意味を添えている。

地域の発展によって起こったレアアース「防衛戦」

 内モンゴル自治区の4年間にわたる科学技術奨励プロジェクトを見渡してみると、レアアースの受賞プロジェクトはレアアース冶金、環境保護、新材料・産業化、ハイエンド製造などの分野に及んでいる。

 中国科学院包頭レアアース研究開発センター主任の池建義氏は、「レアアースはあらゆるところで役立っていると言っていいだろう。レアアースは新エネルギー、新材料、航空宇宙、情報、バイオ、軍事産業といった先進的科学技術分野と国防建設の重要な基礎材料になっている」と語った。

 包頭市のレアアース工業埋蔵量は4,350万トンで、中国のレアアース埋蔵量の83.7%、世界の埋蔵量の38.7%を占めている。今世紀に入って以来、中国はレアアース輸出を徐々に制限しはじめ、レアアース開発利用への人的資源や物資の投入を強化し、国家レアアース新材料・応用製品産業拠点を作るべく努力し、レアアース永久磁石材料に代表されるレアアース新材料産業を大いに推進し、「中国磁谷(マグネットバレー)」を作り上げるべく尽力している。

 理念の革新はまず産業政策の大変革に現れた。包頭市は「レアアース産業発展の一層の加速に関する包頭市の若干の政策意見」を打ち出し、包頭レアアースハイテク産業開発区はそれに合わせて「レアアース新材料企業の販売奨励に関するレアアースハイテク産業開発区の実施意見」、「包頭レアアースハイテク産業開発区レアアース新材料生産企業の先進設備更新に対する支援に関する暫定規則」などの施策を打ち出した。このように政策がまとめて打ち出され、強化されたことで、古い企業のモデル転換や新プロジェクトの実施にとって重要な支援と保障が提供された。

 プラットフォームの革新も政府が技術革新を進める上での必須事項だ。専門的な開発区内産業パーク・拠点の建設を通じて、インフラを整えて入居企業を強力に招致している。レアアースハイテク産業開発区国家双創(大衆による起業・革新)モデル拠点、レアアース新材料高付加価値加工拠点である上海交通大包頭研究院産業パークと中国科学院包頭レアアース研究開発センター産業パークをそれぞれ建設し、100件近くのプロジェクト投資が行われ、レアアース産業の力強い発展を大いにけん引している。特にレアアース新材料高付加価値加工拠点は、包頭市の永久磁石後加工産業発展を制約するボトルネックとなっていた問題を解消し、産業チェーンを延伸し、現地で加工まで行える産業配置が実現した。

技術革新でレアアースをより使いやすく

 2015年に自治区科学進歩二等賞を受賞した「NdFeB廃棄物・レアアース電解残留物総合回収利用」プロジェクトの製品は主にレアアース金属電解生産に用いられている。包頭市璽駿レアアース有限責任公司研究開発部部長の趙海営氏は、「プロジェクトでは毎年レアアース廃棄物を約1万トン回収しており、そこからレアアース酸化物を約3,400トン回収。その回収したレアアース酸化物を利用して金属を約2,800トン生産しており、企業に約8,670万元(1元は約15.7円)の経済効果・利益をもたらした」と語った。趙氏の説明によると、プロジェクトは環境保護面で、酸/塩基廃ガスと分離廃液の環境に対する汚染を低減し、ネオジム鉄ボロン業界の廃棄残留物・泥を十分に活用し、「レアアース溶融塩電解炉残留物と廃棄溶融塩基を分解しにくい」、「レアアース元素の収率が低い」という問題を解決し、レアアース資源の二次利用と保護を念頭に置いた採掘に有利となっている。

 レアアースの応用により、伝統的鉄鋼産業の特殊化に向けた発展も促進された。包頭鋼鉄レアアース鋼板材工場の熱間圧延生産ラインでは、「一帯一路」重点プロジェクトである中ロ天然ガスパイプライン東ルート工事向けにX80高強度鋼クラスのパイプライン鋼を生産している。3年間で、包頭鋼鉄集団の輸出は趨勢に反して増加しており、鋼材輸出量は92万トン以上で、前年同期比で12.74%増加し、伸び率は全国一となっており、「一帯一路」沿線21ヶ国に製品を輸出している。

「レアアースの高効率利用は、抽出・分離と応用研究開発の二つの面から同時に着手する必要があり、二つのうちどちらも欠けてはならない。喜ばしいことに、中国のレアアース元素抽出・分離技術が徐々に世界の先進レベルになっていくにつれて、新材料分取技術の発展も注目すべき成果を上げ、レアアースの革新は必然的に内モンゴル地域の革新における重要な一環となった」と池建義氏は語った。

産業高度化で北部地域のレアアースチェーンを形成

 2017年に内モンゴル自治区科学進歩一等賞を受賞した「大容量ニッケル水素動力電池正極材料キーテクノロジー研究開発と応用」プロジェクトは電極材料製造コストを削減するキーテクノロジーであり、中国内外の科学研究機関から重視された。

 内モンゴル稀奥科ニッケル水素動力電池有限公司研究開発部で品質を担当する皇甫益氏は、「このプロジェクトの成果は管式合成技術をベースに、段階的共晶という漸進的な化学的共沈法を採用しており、水酸化ニッケル正極材料高温大電流充電・放電性能を改善する有効なアプローチだ。同プロジェクトの成果は企業の経済効果・利益、地方経済、中国エネルギー材料の発展に重要で深遠な影響をもたらした」と語った。

 包頭レアアースハイテク産業開発区経済発展局総合科科長の高揚氏は、「『土を掘って土を売る』構造の打破から自前の抽出・分離まで、さらには新材料分取から産業チェーンの延伸に至るまで、内モンゴルのレアアースは着実にしっかりと歩みを進め、独自の地域産業体系を作り上げている。世界から受注し、業界内で尊重されていると同時に、革新の力がこれらすべてを変えたのだということを述べておかなければならない」と説明した。

 現在、内モンゴルにはすでにレアアース採掘、研究開発、生産から貿易に至るまでの比較的整った産業体系が形成されており、レアアース精鉱42万トン、永久磁石4.5万トン、研磨材2万トン、水素貯蔵0.7万トン、触媒助剤3.5万トン、レアアース合金100万トンの生産能力を備え、産業チェーンは双方向に延伸し、全国最大のレアアース原材料科学研究、生産拠点、応用生産研究開発拠点となっている。レアアース永久磁石、レアアース発光、レアアース水素貯蔵、レアアース研磨材などレアアースの機能性材料は、電子情報や国防軍事産業、省エネ・二酸化炭素排出量削減、グリーン環境保護、バイオテクノロジーなどの分野で広く応用されており、多くの新興戦略産業の急速な台頭を実現させている。


※本稿は、科技日報「用稀土産業産業創新 撬動内蒙古高質量発展」(2019年7月17日付7面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。