第166号
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中国の貧困撲滅が世界的な貧困削減にも貢献

2020年7月14日 リウ・ハイイン(科技日報)、ドゥ・ハイビン(科技日報)、ロン・ユン(科技日報記者)

7億人以上が貧困から脱却し、国連「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の貧困削減目標を10年前倒しで達成

 5月18日に開催されたビデオリンクによる第73回世界保健総会(WHA)の開幕式で中国の習近平国家主席は「中国はCOVID-19(新型コロナウイルス)対策と被災諸国、特に発展途上国の経済社会開発を支援するため、今後2年間に20億米ドルを拠出する。さらに、G20諸国と協力して、最貧国の債務返済猶予に関するイニシアチブを実行する」と発表した。また、国際社会とともに巨額債務負担に苦しむ国々が現在の困難を克服できるよう支援を強化するつもりであると続けた。

 フランスの中国研究専門家、ソニア・ブレスラー氏は、習主席の演説は「人類は同じ空の下に住んでいる」という中国のビジョン、および、伝染病封じ込めと貧困撲滅で団結と連帯を促進する中国のコンセプトを世界に示したと語った。

「改革開放政策の導入以来、中国の圧倒的多数の国民は自ら貧困から脱却し、国連ミレニアム開発目標を達成した初めての途上国になる。極貧撲滅はアフリカの政府が最優先すべきであり、この点で中国の経験は参考になる。」と南アフリカの主要メディア、インディペンデント・オンラインの記事は報じ、「中国は指導部が明確な政策、資源、現実的目標、厳格な規律によって国家を動員したことから、貧困との闘いで飛躍的発展を遂げた」と付け加えた。

 貧困撲滅は、中国政府が常に最優先してきた重要テーマである。中国は改革開放政策を採用して以来、貧困撲滅にコミットしてきた。経済発展に沿って徐々に貧困削減目標を調整し、貧困削減業務を標準化、制度化する特別な部署を創設した。習主席は2013年、湖南省湘西で「標的型貧困救済」戦略を推進した。2014年5月12日、国務院貧困救済室はその他の部署と共同で「標的型貧困撲滅実行メカニズム設定の実施計画」を策定した。2016年12月2日、国務院は第13次5カ年計画(2016-2020年)の貧困撲滅計画を発表した。地方政府が貧困と闘う行動指針、関連部署が特別貧困撲滅計画を策定する重要な基礎になるものである。

 中国国家統計局のデータによると、地方の貧困住民は1978年の約7億7,000万人から2019年末までに551万人に減少し、貧困率はこの間97.5%から0.6%に減少した。97.5%から0.6%へ、7億7,000万人から551万人へ、この大きな差異の背景には、中国が数十年にわたり「貧困撲滅」の為に、絶え間ない探究と努力がある。

 3月6日、貧困撲滅の決定的勝利確保に関するシンポジウムで習主席は「今年、貧困撲滅の課題を完了する。中国は国連・持続可能な開発のための2030アジェンダの貧困削減目標を10年前倒しで達成することになる。それは中国と世界の双方にとって大きな意味がある。世界のどの国も、これほど短期間にこれほど多くの人々を貧困から脱却させたことはなかったからである」と語った。

 持続可能な開発のための2030アジェンダと持続可能な開発目標(SDGs)の実行サポートを主な任務とする国連開発計画(UNDP)は、ここ数十年の中国の発展を称賛した。それは世界に深い印象を与えている。中国は、国連・持続可能な開発のための2030アジェンダが設定した貧困撲滅の目標を達成する初めての国になる。

 UNPDが編纂に関わっている最新版の「中国人間開発報告書特別版」では、中国の多角的アプローチによる包括的な貧困撲滅戦略は、中国が推進する人類発展のモデルケースであり各国の参考ともなる、と指摘している。

 UNDPのアヒム・シュタイナー総裁もメディアに対し、中国の貧困撲滅達成は規模と期間で前例がないと語った。より体系的、組織的に経済を発展させるやり方は各国にとってヒントとなり、また国連のSDGs、および、誰ひとり取り残さないという考えと一致していると指摘した。

 国連は持続可能な開発のための2030アジェンダの貧困削減目標を達成するのは困難と予測している。とりわけ、COVID-19パンデミックが途上国などグローバル経済にマイナスの影響を与えるとみている。

 アミーナ・J・モハメド副事務総長は、今年2月ジンバブエで次のように話した。アフリカ諸国が近年、持続可能な経済社会開発の振興で前進していると語った。しかし、全体的にみるとアフリカ大陸は国連の持続可能な開発のための2030アジェンダが設定する目標の達成には程遠い。世界の貧困者の大半がサハラ以南のアフリカに住んでおり、この地域は世界的な貧困ガバナンスの中心になっている。中国以外の途上国の貧困削減率は極めて低く、貧しい人々の数はむしろ増えている。例えば、サハラ以南のアフリカで極貧状態にある人々の数は1990年の2億7,800万人から2015年に4億1,300万人に増加し、世界の貧困者の半数以上を占めている。

 実際、中国はアフリカの貧困削減と開発に大きく貢献し続け、中国とアフリカの貿易・投資はアフリカの経済発展を促進し、経済状況を改善して、貧困をある程度削減している。

 2015年の中国・アフリカ協力フォーラム・ヨハネスブルク首脳会合に習主席が出席した際、中国は中国・アフリカ貧困削減計画など10件の大型協力計画を今後3年間で実行すると発表した。中国は、①アフリカで200件の「ハッピーライフ」のプロジェクト、女性と子どもを主要な受益者とする貧困削減プログラムを遂行し、アフリカの100村落では生活水準を引き上げる農業強化プロジェクトを実施する ②多くのアフリカ諸国でエルニーニョによる不作が懸念される中、中国は被災諸国に緊急食糧援助として10億元を供与する、としている。

 南アフリカのウィットウォーターズランド大学の中国研究専門家、ガース・シェルトン教授は「中国型社会主義が国家の調和と安定を確保する」という見方を示している。中国の改革開放政策が「中国の夢」の実現を推進し、国内の貧困者を大幅に削減したという。一方、ヨハネスブルク大学の研究者、リタ・オゾメナ氏は「中国は国民を第一に考え、その生活向上と貧困削減に一連の大きな成果を上げ、国民に本当の幸福をもたらす」と語った。

 南アフリカの著名経済学者、マーティン・デービス氏は、中国が実際の結果に注目し、改革を追求して新境地を開く勇気があると考えている。そしてデービス氏は「中国は同時に、制度構築を強化して詳細な政策を立案し、実効ある実施を確保している。これらが中国の経済的成功の基本的原因であり、成功モデルの本質である。アフリカの指導者たちにとって、中国の発展モデルは参考になるものである」と主張している。


※本稿は科技日報より提供された記事である。