最も小さなツールでがん治療をナビゲート

2021年11月18日　AsianScientist

　新しいソフトロボットレーザーを使えば、外科医は近くの重要な組織に損傷を与えることなく頭頸部手術を行うことができる。

　AsianScientist ― もっと小刻みに動くことのできるツールをお探しだろうか？ 研究者たちは、MRI中であっても頭頸部手術に使用できるソフトロボットレーザー顕微鏡下手術システムを開発した。このデバイスは Science Robotics 誌で発表され、人間の解剖用死体を使った試験で成功したことが証明されている。

　頭頸部癌は世界で7番目に多いがんであり、毎年およそ45万人が死亡している。通常はレーザー切除治療が使われる。レーザー切除治療では標的レーザーを使用し、小さな腫瘍を破壊する。残念なことに、口腔と咽頭腔を正確に視覚化してナビゲートする機能がないと、外科医は頭頸部内の重要で健康な組織に損傷を与える可能性がある。

　香港中文大学（CUHK）と香港大学（HKU）の共同研究チームは治療の精度を高めようとして、手術とMRI画像を組み合わせるように設計されたMRIに対応したソフトロボットを開発した。

　通常、MRI装置内の閉鎖された高磁気空間では、外科用デバイスを使うことはできない。正確な画像を提供しながら頭頸部の狭い角を巧みにナビゲートすることを目的として、研究チームは、ミリメートル単位のソフトロボット内視鏡を作り上げ、MRIとの電磁干渉をゼロとした。

　このデバイスは頭頸部がん治療の方法を変えるために設置され、MRIで使用できる素材で作られたソフトロボティクスアクチュエータを搭載し、学習ベースのコントローラーが効率的なナビゲーションを行う。

　MRIの中、解剖用死体の頭部でデバイスを試験した後、柔軟で軽量のレーザーデバイスは解剖用死体の体腔の奥深くにある組織を正確かつ素早く探り出した。外科医は解剖用死体の位置を変えることなく、標的組織の3D切除と熱マップを見ることができた。これにより、かなりの正確性をもって空間をナビゲートし、損傷した組織の小さな領域を標的にすることができた。

「サイズを小型化すれば、ロボットは鼻腔や副鼻腔などさらに閉鎖性の高い部位にアクセスできるようになります。また、特定の画像シーケンスを実装すれば、画像をより速くロボットにフィードバックできるようにします」と、HKUの責任著者である郭嘉威（Ka Wai Kwok）博士は述べている。

発表論文等：Fang et al. (2021) Soft Robotic Manipulator for Intraoperative MRI-guided Transoral Laser Microsurgery.

原文記事(外部サイト)：
●Asian Scientist
https://www.asianscientist.com/2021/09/tech/soft-robotic-laser-endoscope-mri/

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Source: Chinese University of Hong Kong; Photo: Shutterstock.
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