2011年10月03日-10月07日
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米紙:中国の原発推進政策は福島原発事故の影響を受けず

2011年10月14日

 日本の福島第1原発事故は世界の原発産業に大打撃を与えたが、中国は例外だ。ドイツとスイスは今夏、国内の原発の段階的停止を決定した。日本は原発の新規建設を停止。米国は不景気によって電力需要が停滞し、原発の魅力も低下している。こうしたことから、今後数年間に建設される原子炉の数は中国が他国の合計を上回る事態となっている。だが問題は、中国がこれによって世界原発産業の救世主となるか、あるいは欧米原発企業にさらなる試練をもたらす獰猛な競争相手になるかだ。米ニューヨーク・タイムズの10日付の記事を環球時報が14日に引用する形で伝えた。

 中国は福島原発事故を受けて、既存と建設中の全ての原子炉について、4カ月間にわたって安全性の全面検査を行い、全基について安全宣言を出した。中国政府高官は「2015年までに5000万キロワット」との目標を堅持することも明らかにしている。

 昨年末の時点で、原発は中国の発電総量の1.1%を占めるに過ぎない。中国は他のどの国をも上回るスピードで風力発電所と石炭火力発電所の建設を進めているため、2015年でも4%以上になることはない。だが北京市にとって原発の魅力は、毎日24時間、毎週7日間連続で発電できるという点にある。

 中国は昨年、米国を上回り世界最大の風力発電国となったが、電力の柱は依然石炭だ。石炭が電力産業最大の汚染源である一方、原発は最もクリーンなエネルギーの1つだ。中国では炭鉱事故によって毎年2000人以上が亡くなっている。エーオン・リスク・サービスのジェームズ・マクワイヤー氏は「風力発電や太陽光など再生可能エネルギーの安定的かつ大規模な蓄電システムが開発されるまでは、中国人は原子力を基礎エネルギーの1つとし続けざるを得ない。世界で最も人口過密な地区を抱えるため、中国は原発の安全性を特に重視している」と指摘する。

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