2011年11月21日-11月25日
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神舟8号に搭載のトマト、宇宙で開花・結実

2011年11月22日

 中国宇宙技術研究院で21日、宇宙船「神舟8号」の帰還モジュールを開く開船式が行われた。モジュール内からは「中国宇宙開発の父」と呼ばれた故・銭学森氏の写真、書画作品「和平頌」、一般の人々から寄せられた4万通以上の「夢」を保存したチップ、農作物・花卉の種など、宇宙船と共に宇宙を17日間旅した「乗客」たちが取り出された。これらの搭載物は、式典後に関連機関に引渡された。

 中国有人宇宙プロジェクトの牛紅光副総指揮は、「神舟の搭載物は、中国宇宙開発事業の発展の歴史を記録する証拠であり、今や有人宇宙飛行文化の重要な一部となった」と述べる。

 神舟8号に搭載された科学実験物品のうち、中国・ドイツが共同で行う宇宙生物実験プロジェクトのサンプルは着陸場で取り出され、残りの搭載物は開船式の際に取り出された。

 今回注目を集めたのは、神舟天辰科技実業有限公司が行った「トマト苗の宇宙での開花・結実」実験が成功したことだ。8本の試験管中のトマトの苗が17日間の宇宙飛行の間に実をつけた。

 専門家によると、中国が宇宙で高等植物の開花・結実実験を行ったのはこれが初めてであり、トマトが宇宙で開花・結実したのは世界初となる。同プロジェクトの成功は重要な学術的価値、科学的意義を持ち、生命保証システムにおける高等植物の栽培と科学実験・研究に向け、科学的データを提供するものとなる。

 微小重力環境の中でトマトを開花・結実させるのは難しく、世界的にも先例がない。同実験は時間的な制限があるため、栽培時間、栽培温度、栽培状態などはいずれも極めて高い条件が要求される。研究者は宇宙と同じ環境を作り出すために培地・栽培条件を最適化し、実験設備を改造し、独自開発した微小重力機で十回以上のテストを繰り返し、成功にこぎつけた。

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