浪潮集団が自主開発したPB(ペタバイト)級の高性能大容量記憶システムが3月、国による検収に合格した。これは「第11次五カ年計画(2006-2010年)」および、「863計画(ハイテク研究発展計画)」の重大プロジェクト、「大容量記憶システムのキーテクノロジー研究」の成果である。人民日報海外版が3日に報じた。
中国がマルチコントローラ・スイッチ構成の記憶システムを開発したのはこれが初となる。中国はこれにより、ハイエンドメモリ分野でゼロからの突破を果たし、市場と技術が長期的に国外メーカーに占領されてきた局面を打開した。また、中国は米国と日本に続き、世界で3番目にハイエンドメモリのキーテクノロジーを掌握した国となった。
中国のこれまでの技術では、メモリコントローラを2つ搭載するデュアルメモリコントローラ構成が最大だったが、大容量記憶システムでは、メモリコントローラを8つ搭載するシステムの開発が目標とされた。その接続の複雑さはデュアルメモリコントローラの16倍にのぼり、さらにシステムの性能と信頼性を保障することは非常に困難だ。
浪潮は3年間の研究の末、国内初となる8つのメモリコントローラを搭載するシステム構成を開発、国産大容量記憶システムのゼロからの突破を果たし、EMC、IBM、日立に続き、同システムを自主開発した4番目の企業となった。
浪潮の大容量記憶システムはすでに中国資源衛星応用センターと国家スーパーコンピュータ済南センターで利用されている。中国資源衛星応用センターの業務システムは衛星7基分のデータ受信・処理を担当しており、毎日6TB(テラバイト)、年間2PBのデータを処理する。スパコン済南センターのスパコン「神威藍光」には、浪潮の2.3PB級大容量記憶システムが設置され、1秒あたりの帯域幅は200GBに達し、高性能コンピューティングのバックエンド・メモリのボトルネックが解消された。
▽浪潮の大容量記憶システムの特徴
・データ管理規模は32PB。これはテレビドラマ600万話分に相当する。中国のドラマ制作量(毎年1万作品、1作品あたり平均20話)から計算すると、30年間分のドラマを全て保存できる。
・10億件のファイルを管理できるため、単一システム内に中国国民全ての写真入り資料を保存することも可能。また大規模なインターネット企業の1千日分のファイル(1日あたり100万件増加)を保存できる。
・データ転送帯域幅は毎秒64メガに達し、中規模都市の監視カメラ(13万カ所)のデータなら、全て同時にアップロードができる。また、1秒間に14本の高画質映画を保存できる。