2012年10月08日-10月12日
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北京師範大、温暖化とハリケーンの潜在的な関連性指摘

2012年10月18日

 地球温暖化と大西洋のハリケーン活動を関係付けるのはこれまで難しいとされてきたが、デンマーク・コペンハーゲン大学の地球物理学者であるAslak Grinsted氏と北京師範大学の研究者がこのほど行った研究により、気温が低い年よりも高い年のほうが大西洋の熱帯低気圧が頻繁に発生し、規模も大きくなることが分かった。同研究は、6台の験潮儀(海面の昇降を測定・記録する設備)が記録した1923年以降のデータを分析したもので、研究成果は「米国科学アカデミー紀要」にも掲載されるという。人民網が報じた。

 これまでの研究では、歴史的な暴風雨の強度を推定し、その温暖化との関係性が研究されてきたが、観測方法が時代と共に変わることから、推定にも差異が生じていた。衛星時代以降であっても観測方法は時間に伴い大きく進歩を遂げている。一方で、験潮儀には他の観測方法よりも古い年代のデータが記録されている。

 熱帯低気圧によってもたらされる強い風や低気圧は海水面を突如として上昇させるが、その高さは暴風雨の中心までの距離によって異なる。このため、高潮の記録は米国南東部に対するハリケーンの影響を研究する上で、一貫性のあるデータといえる。また、高潮は主な熱帯低気圧とも関係し、深刻な破壊や経済的影響をもたらす。

 データの分析を行った結果、1923年以降、中型・大型の高潮の数が大幅に増えたことがわかった。また、気温が低い年よりも温かい年のほうが、ハリケーン・カトリーナ級の災害が発生する可能性が高く、地球の温暖化とハリケーンの間の潜在的な関連性が示された。

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