2013年01月28日-01月31日
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二次元コード、春節の様々な場面で活躍

2013年01月30日

 今年の春節、実家に帰省する人は様々な場面で二次元コードに遭遇することだろう。

 大小の荷物を抱えて列車を降りた李さんは、切符に印刷された二次元コードの部分を細かくちぎってからごみ箱に捨てた。鉄道の切符購入に実名制が導入されてからというもの、二次元コードには個人情報が含まれるようになり、むやみに切符を捨てれば情報流出につながるという警告が後を絶たない。李さんは「ニュースでは鉄道部門が二次元コードを暗号化したと言っていた。確かに、自分で試したところ普通のソフトウェエアでは読み取りができなかった。でも、最新の暗号解読ソフトを持っている人もいるかもしれないので、やっぱり気をつけたほうがいい」と語る。

 四川省に住むある夫婦は今年、飛行機で娘の住む都市を訪れる予定だが、ここでも二次元コードが活躍している。娘が航空会社のウェブサイトで搭乗手続きを済ませると、航空会社から夫婦の元にすぐにショートメッセージが届いた。ショートメッセージにはURLが貼られていて、クリックすると画面に二次元コードが出現した。夫の何さんは携帯電話を片手に、「娘には、空港に着いたら何もせず、これをもって直接セキュリティチェックに行くだけでいいと言われている」と語る。

 列車や飛行機を降りた後、タクシーで帰宅する人も多いだろう。杭州、成都、青島、嘉興、済南などの18都市に実家を持つ人なら、二次元コードでタクシー料金を支払うという「流行の最先端」が体験できるかもしれない。タクシードライバーはそれぞれ自分専用の二次元コードを持っていて、それが支付宝(オンライン決済サービス)の口座とリンクしている。支付宝は代金が振込まれるまでわずか5秒しかかからないため、レシートが打ち出される間に決済が完了できるという。

 このほか、年貨(年越し用の品物)の購入でも二次元コードが欠かせない。重慶の地元紙「重慶晨報」は1カ月前に「年貨街」と題するイベントを開催した。紙面には十数種類の商品が所狭ししと載せられており、それぞれの商品の隣には、紹介と共に小さな二次元コードが印刷されている。コードを読み取れば支付宝の画面にアクセスでき、パスワードを入力し確定を押せば1分もせずに買い物ができるという仕組みだ。電話やネットショップでの購入よりもスピーディで、多くの市民が便利さを感じている。

 春節の集まりでも二次元コードが役に立つ。レストラン探しで迷っていた張さんは、あるチェーン店に立ち寄り、看板にあった二次元コードを何の気無しにスキャンしてみたところ、割引券が手に入った。張さんはこのレストランにしようと決めた。

 ▽二次元コードのすごさとは?

 二次元コードは二次元バーコードとも呼ばれる。まるで碁盤のような小さな四角形をしているが、なぜバーコードなのだろうか?実は、二次元バーコードには、スタック式とマトリックス式の2種類があり、前者は1次元バーコードを上下に複数重ねたものであるため、ここからこの名称がついた。

 現在中国で普及している二次元コードはほとんどが正方形のマトリックス式(QRコード)で、3つの角に黒い四角があり、中心部は細かい点がランダムにちりばめられている。3つの角の四角形は方向を定めるための物で、黒い点は二進法の「1」、白い点は「0」を表し、黒白の配列の組合せが意義を持っている。コード1つに漢字500字前後の情報を含むことができ、容量はバーコードを大幅に上回る。

 二次元コードは今や、様々な進化を遂げつつあり、正方形ではない物もある。さらには二次元コードの中に模様や企業のロゴを入れる事も可能だ。例えばチャットツール「微信」の某アプリを使えば、中心部分に自分のプロフィール画像が入った二次元コードを自動的に作成することができる。

 これらが実現できるのも、二次元コードが強い誤り訂正能力を持ち、一部分が消失・破損しても情報を読み取ることができるためだ。専門家によると、二次元コードには情報が重複して組み込まれており、一行の中に他の行の情報も含まれているという。二次元コードを読み取った経験のある人なら分かると思うが、二次元コードは読み取りスピードが早く、半分も読み取っていないのに情報が出てくることがある。コードを全て読み取る必要はないのだ。

 二次元コードのもう1つの特徴は素早さだ。最も普及している二次元コードの一種、QRコードの名前は「Quick Response(素早い反応)」に由来し、もともとはトヨタグループの自動車部品メーカー・デンソーが部品工場などでの使用を念頭に開発した物だった。その他の方式の二次元バーコードも同じく高速で便利という特徴を有する。

 中国では2007年より二次元コードの利用が始まったが、当初はあまり広まらなかった。その後、スマートフォンの普及とモバイルネットワークの台頭に伴い、二次元コード発展の土壌が作られた。2012年、微信や微博(ミニブログ)、アリババなどが一斉に二次元コードを推進したことにより、二次元コードはみごと「逆襲」を果たし、大発展を遂げた。

 ▽読み取りには注意 リスクを伴う場合も

 現在、二次元コードはビジネスの場面で主に誘導、すなわちオンラインのユーザーをオフラインの店舗に導くという役割を果たしている。インターネット調査会社易観国際の董旭アナリストは「二次元コードは一種の技術、オンラインとオフラインをつなぐツールであり、代替可能性は高い。真の意味で価値があるのはリンク先の部分だ。二次元コードの発展を決定付けるのが技術そのものではなく、リンク先のサービスであることは、業界の共通認識となっている」と語る。

 また、二次元コードは絶対的に安全なものではない。「悪意あるコード」には気をつける必要がある。むやみにスキャンすると携帯電話がウイルスに感染したり、情報が流出したり、利用料金詐欺の被害に遭う可能性もある。北京網秦天下科技有限公司の携帯電話セキュリティ専門家は、「二次元コードの安全において、現在できることはフィッシングソフトの防止だ。むやみにリンクを開いたりダウンロードしないことだ。悪意あるコードのほとんどは、携帯電話から直接料金を引き落とすことはできず、何らかのプログラムをインストールする必要がある。リンクを開いたり、ソフトをダウンロードする前に十分注意すれば、リスクを防ぐことができるだろう」と語る。人民日報が伝えた。(編集SN)

 用語解説

 二次元コード(二次元バーコード)は日本で発明されたもので、ある特定の幾何学図形を一定の規律で平面状に分布させ、白黒の図形でデータ情報を記録する。

 二次元コードは大容量、高セキュリティ、トレーサビリティ、損傷に強い、バックアップ可能、低コストといった特徴があり、安全機密、証明書、在庫チェック、資料バックアップなどの面での使用に適している。

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