中国のがん患者の8割が、発見時すでに中期-末期の状態であることが分かった。がんが末期になると、診断5年後の生存率が極めて低下する。末期の肺がんの場合、余命は1年、末期の肝臓がんで黄疸や腹水の症状が出ると余命はわずか1-3カ月となる。北京市疾病予防コントロールセンターなどは14日午前、「がん早期発見プロジェクト」を始動し、より多くの患者ががんを早期発見し、がんの芽を摘み取ることができるよう望むとした。北京晩報が伝えた。
宣武病院胸部外科の支修益主任によると、肺がんの場合、もし早期発見できれば、手術後に慢性病として治療を受け、数年から十数年生きることができるという。
中国医科院がん病院の田艶濤・腹部外科主任は、「中国で毎年増加する胃がん患者のうち、7割が末期患者だ。一方、日本や韓国では早期胃がん患者が85%を占める。中国の胃がん予防レベルは韓国や日本に比べ50年遅れている」と語る。
またある専門家は、「中国のがん治療能力は低いわけではなく、大病院の設備や診療水準はすでに先進国に近づいている。ただし、中国はがんの予防コントロール能力が低い」と指摘する。
早期がんの90%ははっきりとした症状がないため、多くの人はがんを患ったことに気づかない。中期から末期になり、痛みや出血、明らかな体重減少などの症状が出て初めて気づく人が多い。この段階で病院に行っても、多くの患者は治療の機会を逃してしまう。
がんを早期発見するには定期的な検査を行う他ないが、普通の健康診断とがん検診は異なる。北京市疾病予防コントロールセンターのがん早期発見プロジェクト担当者によると、普通の健康診断にはがんの検査が含まれないため、がんの前兆やリスクを発見することができないという。
同センターと市の予防医学研究センターは近年、がんの早期発見に研究の重点を置いている。このほど始動したがん早期発見プロジェクトでは、血液検査で肝臓がん、乳がん、食道がん、前立腺がんなど10種類のがんリスクを判定し、予防に向けたアドバイスを行うことができる。
現在、中国の一部の公立病院、第三者の遺伝子検査機関などではがん検診を実施しているが、いずれも検査費用が高い。上述のプロジェクトが始動され、国薬陽光健康管理研究院によるP53遺伝子(がん抑制遺伝子)検査が各地で行われるようになれば、検査費用が大幅に下がると見られる。