毎年ノーベル賞の発表前、多くの機関と個人が受賞者を予想する。トムソン・ロイター知財・テクノロジー中国区総裁の郭利氏は人民網のインタビューに応じた際に、「当社は中国人科学者が、今後10-15年内にノーベル賞を受賞すると予想している」と語った。人民網が伝えた。
科学界で権威ある「SCI」、「インパクト・ファクター」を発表するトムソン・ロイターは、ノーベル賞予想で高い的中率を誇る。現在までに、2013年ノーベル賞の3大科学賞が発表されている。今年のノーベル生理学・医学賞の受賞者3人のうち、2人は2009年の時点でトムソン・ロイターに予想されていた。またノーベル物理学賞の2人の受賞者も今年予想されており、ノーベル化学賞の3人のうち1人は2011年に予想されていた。
◆論文被引用数に基づく予想
トムソン・ロイターのノーベル賞の予想は「トムソン・ロイター引用栄誉賞」とも呼ばれており、主に論文の引用状況に関する分析によって導き出されている。これを踏まえた上で、研究の発展の歴史、誰が最も早く手がけたかといった要素を検討し、論文の執筆者が国家クラスのアカデミーのメンバーであるか、権威ある科学賞を受賞したことがあるかを加味する。
郭氏は、「被引用数の分析により、高い影響力を持つ科学者を絞り込み、最高の影響力を持つ科学者を見つけることができる。この作業はまた、被引用数分析の科学研究の評価に対する有効性、論文引用がなぜ効率的な情報検索手段であるかを示している。論文の引用は科学者個人の学術的判断だ。ゆえに、論文引用データベースには世界の科学者全体の判断が凝縮されており、研究活動の持続性と知識の伝承が反映されている」と指摘。「トムソン・ロイター引用栄誉賞は主にノーベル賞クラスの科学者を見つけることに用いられ、ノーベル賞の予想の他に、世界の科学研究に重大な影響をもたらした科学者を称えることができる」と語った。
◆ノーベル賞予想にビッグデータが活躍
郭氏は、「ビッグデータに基づく情報分析は、科学技術計画と方針決定に向け各方面から貢献している。これには科学技術革命のすう勢の判断、チャンスとリスクの発見、合理的な発展目標・指標の作成、開発費の投資による産出状況の判断に基づく資源分配の改善などが含まれる」と述べた。
トムソン・ロイターは年初に報告を発表し、被引用数の分析により科学の最先端の構造を明らかにした。 郭氏は、「当社は中国科学技術部(科学技術省)情報研究所と共同で科学計量学共同実験室を設立し、また中国科学院国家科学図書館と共同で未来に向けた技術分析センターを建設中で、この分野の研究と応用を推進している」と話した。
◆中国人ノーベル賞受賞者はいつ?
近年、中国の科学研究論文は「量」の蓄積を実現し、「質」も向上した。この点については、全世界の学術界が認めている。
これはトムソン・ロイターの分析する被引用データによっても裏付けられる。郭氏は、「データベースで被引用数が多い論文のうち、中国の寄与度が上昇している。当社が今年6月に発表した、2012年に最も注目された研究者と科学論文では、21人のうち4人が中国人だった。この流れによれば、中国人研究者が10-15年でノーベル賞を受賞すると期待できる。しかしこれは当社の現状に基づく推測にすぎず、未来を予想することは常に困難だ」と語った。
郭氏は中国が受賞する可能性が最も高い賞について分析し、「現状を見ると、化学・材料科学・物理学などの分野は中国の得意科目であり、ノーベル賞を受賞する可能性が最も高い。しかし科学技術の急速な進歩により、中国がバイオ科学で画期的な進展を実現する可能性もある」と述べた。